tag:blogger.com,1999:blog-90247767977579663642024-02-21T16:28:54.220+09:00Subculture +サブカル、ときどき政治。Subculture+(サブカルチャー・プラス)は、映画、読書、PCゲーム、ウェブ・カルチャーなどを主な題材に、要注目の新作・日本未公開作情報から、海外記事の紹介、レビュー・考察まで、娯楽と思索を横断する記事をお届けします。Unknownnoreply@blogger.comBlogger174125tag:blogger.com,1999:blog-9024776797757966364.post-8401852675036058402018-12-06T23:06:00.000+09:002018-12-06T23:06:16.189+09:00【音楽】HEALTH - "SLAVES OF FEAR"<head>
<meta name="description" content="アメリカのノイズ・ロック・バンドHealthの4枚目のアルバム『Vol.4 :: Slaves of Fear』表題曲のミュージック・ビデオ兼アルバム予告。">
</head>
<p align="center">
<iframe width="480" height="270" src="https://www.youtube.com/embed/b-4CljCTSYI" frameborder="0" allow="accelerometer; autoplay; encrypted-media; gyroscope; picture-in-picture" allowfullscreen></iframe>
</p>
<p align="center" style="font-size: x-small;">
HEALTH - SLAVES OF FEAR
</p>
<p>
アメリカのノイズ・ロック・バンド Health の2019年2月発売予定の4枚目のアルバム『Vol. 4 :: Slaves Of Fear』から表題曲のミュージック・ビデオ兼アルバム予告。
</p>
<a name='more'></a>
<p>
なお、コメント欄によると、バンドのキャッチフレーズ(?)“YOU WILL LOVE EACH OTHER”のあとに表示される電話番号にかけたら、ベースのジョン・ファミグリエッティ(John Famiglietti)その人が出て(レコーディング・メッセージではない)、「アルバムは2月8日発売予定で、ツアーも再開するよ」と教えてくれたそうだ。
</p>
<p>
前作『Death Magic』(2015年)のアルバム予告はこちら。
</p>
<p align="center">
<iframe width="480" height="270" src="https://www.youtube.com/embed/4VoTIYqJVaU" frameborder="0" allow="accelerometer; autoplay; encrypted-media; gyroscope; picture-in-picture" allowfullscreen></iframe>
</p>
<p align="center" style="font-size: x-small;">
HEALTH :: DEATH MAGIC TRAILER
</p>Unknownnoreply@blogger.com0tag:blogger.com,1999:blog-9024776797757966364.post-36814716457314144652018-11-15T02:51:00.002+09:002018-11-15T03:00:11.854+09:00【ベスト・オブ・YouTube】「かつてない農場経営体験」<head>
<meta name="description" content="『Farming Simulator 19』の予告編を『Doom』サウンドトラックとともに。かつてない農場経営を体験せよ!">
</head>
<p>
YouTube の厳選動画をコメントなしで紹介。
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<p align="center">
<iframe width="480" height="270" src="https://www.youtube.com/embed/eicqRLGfFw0" frameborder="0" allow="accelerometer; autoplay; encrypted-media; gyroscope; picture-in-picture" allowfullscreen></iframe>
</p>
<p align="center" style="font-size: small;">
Farming Simulator 19 trailer, But its BFG Division | Epicflyinmaddog<br />
「『ファーミングシミュレーター19』の予告編、ただし“BFG Division”〔『Doom』サウンドトラック〕」
</p>Unknownnoreply@blogger.com0tag:blogger.com,1999:blog-9024776797757966364.post-77169515062029111692018-11-11T02:56:00.000+09:002018-11-11T14:22:02.927+09:00【海外記事紹介】「任天堂の新しいゲームは、障害を持つ人々にとってみすぼらしいものとなっている」(Medium)<head>
<meta name="description" content="「いつでも、どこでも、誰とでも」を謳うゲーム機Ninentdo Switch。しかし、障害者にとってそのゲームをプレイするのはしばしば苦難の技。任天堂は皮肉にも、アクセッシビリティにおいて遅れをとっている。">
</head>
<h5>イノベーションと負の側面</h5>
<p>
紹介するのは、マーク・ブラウンの Medium への寄稿<a href="https://medium.com/s/thenewnew/nintendos-new-games-are-hell-for-people-with-disabilities-8e9d6b2182e9">「任天堂の新しいゲームは、障害を持つ人々にとってみすぼらしいものとなっている」(Mark Brown, "Nintendo’s New Games Are Miserable for People With Disabilities", Medium, 2018/11/08)</a>。ブラウン氏は、ゲーム・デザインの鮮やかな分析で定評のある、YouTubeの人気ビデオ・エッセイ・シリーズ“Game Maker's Toolkit”のクリエイターである(一部は日本語字幕も利用可能な、氏のチャンネルについては、<a href="http://subcultureplus.blogspot.com/2017/07/event-0-game-makers-toolkit.html">別の記事</a>を参照)。
</p>
<p>
記事のテーマは「アクセッシビリティ」(accessibility)。直訳すれば「近づきやすさ」を意味するこの単語は、誰にとっても扱うことが容易な設計、とりわけ年齢や障害の有無にかかわらず利用可能である設計を意味して用いられる。
</p>
<p>
ブラウン氏の記事は、「手軽で直感的な操作」といったふうにもてはやされるある種のイノベーションが、実際のところ、従来ゲームにアクセスできていた人々を容赦なく閉め出す結果になっている場合があることに注意をうながしている。
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<p>
<a href="https://www.nintendo.co.jp/hardware/switch/">任天堂の日本語公式ウェブサイト</a>には、「『Nintendo Switch™』は、プレイシーンにあわせてカタチを変えるゲーム機。いつでも、どこでも、気の向くままに、自由なスタイルでゲームを楽しむことができます。」とあるが、障害者の視点から見るとき、全く違った風景が見えてくるのである。
</p>
<a name='more'></a>
<h5>「いつでも、どこでも、誰とでも(ただし障害者を除く)」</h5>
<blockquote>
<p>
イノベーションには、語られない負の側面がある。新たなテクノロジーへの努力が特定の人々を置き去りにしてしまうことがあるのだ。ヴァーチャル・リアリティーやタッチスクリーン、3Dテレビといったアイディアは、私たちの大多数にとって新たな経験を約束するかもしれない。だが、障害を持つ人々にとっては、乗り物酔いや筋肉痛、さらに酷いものを意味するかもしれないのである。
</p>
<p>
イノベーションと障害のギャップは、ビデオ・ゲームにおいて大きな問題であり、そして、ある会社はこの問題への取り組みにおいてとりわけ杜撰な仕事をしている。任天堂は、新しいゲーム機 Nintendo Switch の成功で波に乗っているが、障害を持つ人々は同社のゲームを楽しむために苦闘しているのである。障害を持つゲーマーたちは、『スーパーマリオ オデッセイ』のようなヒット作をプレイしながら直面した苦難について不満を述べている——それも、彼らがそもそも Nintendo Switch のゲームがプレイできた場合の話だ。というのも、これらのゲームは、手首の素早いひねりや、コントローラーの振動感知を要求する、やっかいなインタラクションでいっぱいだからである。任天堂は回答の求めに対して期日までに返答をしなかった。
</p>
<p>
Nintendo Switch のこれらの問題は、実際のところ、同社の製品に何年も前からつきまとっている。同社のゲーム機 Wii は、2006年に発売されたが、やはり革新的なモーション・コントロールに頼るもので、少なからぬ人々をシステムから閉め出したのである。Wii が誰にとっても扱いやすいこと(accessibility)をデザインの中心に置いたとされていたことを思えば皮肉なことだ。
</p>
<hr style="border:none;border-top: 2px dashed #bfbfbf;width: 90%;">
<p>
突然、ゴルフ・ゲームをプレイすることは、パターのハンドルのようにコントローラーを握ってテレビに向かって振る、といった風に直感的なものとなったのである。Wiiリモコンは、テニス・ラケットや野球バットや指揮棒や楽器、剣や銃に魔法のように変身できるものだった。
</p>
これは宮本茂が望んだように、全く新しい層にゲームを開くものだった。〔……〕だが、ある種の障害を持つ人々にとっては、Wiiリモコンは完全にアクセス不可能なものであったのである。
</p>
<hr style="border:none;border-top: 2px dashed #bfbfbf;width: 90%;">
<p>
任天堂のゲームという枠を超えて見渡せば、ゲームがかつてよりアクセッシブルなものになっていることに気が付くだろう。ゲームの製作者たちは、自分たちのゲームをさまざまな障害に対応可能にする方法を見つけてきたのである。
</p>
<p>
色を切り替えていくことで遊ぶパズルゲーム『Hue』はシンボルを加えることで、色盲の人でもプレイ可能にしている。『フォートナイト』は、足音や銃声を視覚的に翻訳するオプションを加えることで聴覚に障害のある人々を助けている。Nintendo Switch の主要なライバルであるプレイステーション4と Xbox One はともに、どのボタンが何をするかについて完全に変更することを許している。
</p>
<p>
なかでも最良の例は、マイクロソフトの発表した、Xbox One と PC のための新しい順応型コントローラー(Adaptive Controller)だ。この小洒落たカスタマイズ可能な装置は、車イスに装着可能で、足用コントローラーにしたり、片手用ジョイスティックにしたり、簡単に押すことができるスイッチにしたりとあらゆる様式のアクセッシブルな入力装置へと組み立てることが可能なのだ。
</p>
<p>
だが、プレイステーション機種やMacとさえも(適切なアダプターを使うことで)互換性がある一方で、「このコントローラーが唯一活躍できない場所が、任天堂のゲーム機なんだ」——そう語るのは、障害を持つゲーマーのために活動している慈善団体 AbleGamers の代表スティーヴン・スポーン(Steven Spohn)だ。
</p>
<p>
スポーンは、順応型コントローラーの開発でマイクロソフトと協力したが、任天堂からは「協力の申し出を繰り返し断られてきた」という。
</p>
<p>
「障害のある人から、『Nintendo Switchを手に入れるところだ』という興奮気味のメールを受け取るたびに心が痛む。彼らは、どうやって Nintendo Switch をアクセッシブルにできるか知りたがるのだけれど、ほとんどの場合、僕らはそれをほんのわずかもよりアクセッシブルにすることができないからだ」と彼は語った。
</p>
<p>
任天堂は、いくつかのゲームについては、良質なアクセッシビリティ・オプションを用意している。格闘ゲーム『ARMS』はコントロールを完全にカスタマイズ可能だ。カラフルなシューティング・ゲーム『スプラトゥーン2』は、色盲のゲーマーに配慮している。『1-2-Switch』の詳細な音でのフィードバックは、ゲームを目の見えないゲーマーでもプレイ可能なものにしている。
</p>
<hr style="border:none;border-top: 2px dashed #bfbfbf;width: 90%;">
<p>
だが全般的に言えば、2018年において、任天堂は、イノベーションやハードウェア新装置の追求のなかで障害のあるゲーマーを置き去りにしていない他のゲーム会社に対してかなりの遅れをとっている。任天堂が、ゲームを誰にとっても近づきやすいものにする、という自ら掲げる使命を本当に信じているのならば、もっと努力する必要がある。
</p>
</blockquote>
<h5>遅れをとった任天堂</h5>
<p>
ブラウン氏は以下の動画では、まさに他の制作者からデザインの最良の部分を学び取りつつ全く革新的なゲームを作り出すということについて、任天堂のゲームを絶賛していた。任天堂のゲームへの称賛(そして、Ubisoft のオープンワールドへの当てこすり)を惜しまない彼の言だけに、上の批判は重みのある指摘だろう。
</p>
<p align="center">
<iframe width="480" height="270" src="https://www.youtube.com/embed/vmIgjAM0uh0" frameborder="0" allow="accelerometer; autoplay; encrypted-media; gyroscope; picture-in-picture" allowfullscreen></iframe>
</p>
<p align="center" style="font-size: x-small;">
ゼルダの伝説 ブレス オブ ザ ワイルド オープンワールドにおける冒険| Game Maker's Toolkit<br />
(日本語字幕利用可能)
</p>
<p>
なお、マイクロソフトの「Adaptive Controller」については、日本発売は未定のようだが、日本語でも詳細を読むことができる(参考:<a href="https://japanese.engadget.com/2018/05/17/xbox-adaptive/">endgadget 日本語版</a>、<a href="http://www.itmedia.co.jp/pcuser/articles/1805/20/news015.html">ITmedia</a>)。日本語での正式名がないため、「順応型コントローラー」という仮の直訳を当てた。
</p>
Unknownnoreply@blogger.com0tag:blogger.com,1999:blog-9024776797757966364.post-12384146432719251682018-11-07T02:20:00.000+09:002018-11-14T00:06:51.294+09:00【備忘】Peter Murphy - "I'll Fall With Your Knife"<head>
<meta name="description" content="ピーター・マーフィーが妻のために歌う"I'll Fall With Your Knife"。">
</head>
<p>
何だか忘れてしまう前に。ネットで出会った映像・音源の備忘録。
</p>
<p align="center">
<iframe width="480" height="270" src="https://www.youtube.com/embed/q2XXq_xmi-I" frameborder="0" allow="accelerometer; autoplay; encrypted-media; gyroscope; picture-in-picture" allowfullscreen></iframe>
</p>
<p align="center" style="font-size: x-small;">
Peter Murphy - I'll Fall With Your Knife (Live in Turkey Lyrics)
</p>
<p>
元Bauhaus(バウハウス)のボーカリスト、ピーター・マーフィーによる、ソロ・アルバム『Cascade』(1995年)収録曲“I'll Fall With Your Knife”のライブ・パフォーマンス。
</p>
<p>
パフォーマンスを見守る姿が画面に映り込む女性は、妻で振付師のベイハン・マーフィー。ピーター・マーフィーはイギリス出身だが、ベイハンはトルコ人で、二人は1992年以来、トルコで暮らしている。ピーター・マーフィーは、イスラム神秘主義のスーフィーに改宗していることでも知られる。(※参考:<a href="https://en.wikipedia.org/wiki/Peter_Murphy_(musician)">Wikipedia〔最終アクセス 2018/11/07〕</a>)
</p>
<p>
上の動画は2010年に投稿されているが、2008年にもう少し長いクリップが<a href="https://youtu.be/o8n50pdHl_s">トルコ語で投稿されている</a>。時期的にはその頃のものだろうか? ふと思い出して、何年ぶりに再生したが、「ゴスのゴッドファーザー」の優しいまなざしと歌声に涙してしまった。
</p>Unknownnoreply@blogger.com0tag:blogger.com,1999:blog-9024776797757966364.post-53451859499203598472018-10-28T00:19:00.000+09:002018-10-28T00:19:43.117+09:00【ゲームの英語】『Fallout 4』:“Hit the road.”<head>
<meta name="description" content="「お前は軍隊タイプじゃない、一匹狼だ」 『Fallout 4』で学ぶ英語表現。">
</head>
<h5>「お前は軍隊タイプじゃない、一匹狼だ」</h5>
<div class="separator" style="clear: both; text-align: center;"><a href="https://blogger.googleusercontent.com/img/b/R29vZ2xl/AVvXsEiMPv_htbFKDoulDRT1f_f9F9MNNeYcCUE1FIJJAr84Ailm6-gLMSadTqZbBpAVZPv0CUPxz6QhpQnbk1bHs65xOJIi2vwUa0dRxwEIx6__embQu5e5itzTg2dt4ZBWV7Yl59B0DTjMKtA/s1600/fallout4_hit_the_road.bmp" imageanchor="1"><img border="0" src="https://blogger.googleusercontent.com/img/b/R29vZ2xl/AVvXsEiMPv_htbFKDoulDRT1f_f9F9MNNeYcCUE1FIJJAr84Ailm6-gLMSadTqZbBpAVZPv0CUPxz6QhpQnbk1bHs65xOJIi2vwUa0dRxwEIx6__embQu5e5itzTg2dt4ZBWV7Yl59B0DTjMKtA/s1600/fallout4_hit_the_road.bmp" data-original-width="1600" data-original-height="900" with="480" height="270" /></a></div>
<p>
本日のフレーズ:
</p>
<blockquote>
<p>
I can usually size people up at a glance, but you...you're different. And it's bugging the heck out of me. You're not the military type, you're a loner. So I can't figure out why you're sticking around. You got what you wanted, so why don't you <b>hit the road</b>?
</p>
</blockquote>
<p align="right">
(<i>Fallout 4</i>, Bethesda Softworks, 2015)
</p>
<a name='more'></a>
<p>
核戦争による文明崩壊後の世界を舞台とするオープンワールド・アクションRPG『Fallout 4』(フォールアウト4、2015年)より。
</p>
<p>
技術と知識の保全・管理を目的とする軍隊組織 Brotherhood of Steel(ブラザーフッド・オブ・スティール)の偵察隊と遭遇。プレイヤーが彼らを助けた場合、部隊のリーダーがブラザーフッドへの加入を誘ってくる。これを受諾し加入すると、主人公に対して終始厳しい態度を見せる隊員の一人が、上のセリフを述べる。
</p>
<p>
“at a glance”は「一目見ただけで」。“the hell [heck] out of...”は動詞の強意に用いられる俗語表現で、<a href="https://www.merriam-webster.com/dictionary/the%20hell%20out%20of">ウェブスター辞典</a>によると「口語的」かつ「無作法」(informal + impolite)な表現。“loner”は「一人でいることを好む人」のこと。“stick”は自動詞としては「くっつく」といった意味を持ち、“stick around”で、「近くにいる」「あたりをぶらぶらする」「離れずに一緒にいる」といったニュアンスとなる。
</p>
<p>
“You got what you wanted.”は、直訳すると、「あなたはあなたが欲しかったものを手に入れた」だが、相手(you)に向かって一方的に断定するので、「満足しただろ?」といった含みとなる。同じ『Fallout 4』の中で見かけた事例を挙げると、あるクエストの終わりに、コンパニオンとなるキャラクター、ハンコックが別のキャラクターに向かってこんなセリフを発する。冷酷なようで、彼なりの優しさでもあるような、ちょっと面白いセリフだ。
</p>
<blockquote>
<p>
Why the long face? You got what you wanted.
</p>
<p>
浮かない顔するなよ。満足したんだろう?
</p>
</blockquote>
<p>
終わりの“hit the road”は、“hit”(打つ、叩く)が接触・到達のイメージでさまざまに用いられることを理解すると、分かりやすい口語表現。「出発する」「立ち去る」といった意味となる。別のコンパニオン、ニック・ヴァレンタインは、“Time to hit the road?”とプレイヤーに問いかけてくる。この場合、「(一緒に)出発するかい?」という誘いの言葉である。
</p>
<p>
私的訳文:
</p>
<blockquote>
<p>
俺は普通なら一目見ただけで人間が分かる。だけど、お前は……お前は何か違う。それが俺をいらつかせるんだよ。お前は軍隊タイプじゃない、一匹狼だ。だから、どうしてお前がうろうろしているのか、俺には分からん。用は済んだだろう、だったら、どうしてさっさとよそへ行かないんだ?
</p>
</blockquote>
<h5>「人類」の名のもとに</h5>
<p>
『Fallout 4』では、シリーズ過去作品に見られたカルマ・システムが廃止されている。ただ、この廃止によって、「善悪の判断は、プレイヤー次第です」と丸投げされているのかと言えば、それは少し違うだろう。
</p>
<p>
『Fallout 4』においてカルマ・システムに代わるものとして、プレイヤー・キャラクターの行動に対するコンパニオンたちの反応が用意されている。パワーアーマーに乗り込むたびにいちいち歓喜する奴がいたりするので、それほど極端に嫌われ続けることを心配する必要はないが、自分の行動が、それぞれの背景を持ったキャラクターたちの目にどう映るかを推し量ることができるのである。そして、メインクエストに必ず絡んでくるコンパニオン・キャラクターは、実のところ、ニック・ヴァレンタインとパイパー・ライトの2人なので、メインクエスト上、どれが歩むべきでない道で、どれがベターな選択肢と考えられているのか、作り手側の意図は比較的明瞭となっている。
</p>
<p>
メインクエストには、4つのファクションが登場するが、対立の要となるのは“humanity”という言葉だ。「人間性」、そしてまた、集合としての「人類」(=humankind, mankind)をどのようにとらえているか、というところで対立の主軸が形成されている。あるファクションの指導者は、自らの組織を「人類最良の希望」(mankind's best hope)と呼ぶ一方で、地表を堕落し汚染された、死んだ世界とみなす。荒廃した地表に暮らす人々に人間性を見出さず、彼らを人類の一員と考えないのである。このゲームには悪役がはっきりと設定されており、この人物に最後まで加担するならば、地表に生きるキャラクターたちから軽蔑されるにふさわしいのである。
</p>
<div class="separator" style="clear: both; text-align: center;"><a href="https://blogger.googleusercontent.com/img/b/R29vZ2xl/AVvXsEiMIj8s7Yr6nBi7yLx2om44RtH7PjCxxI2dnyZSTGgO8olovB5K-5zuoIsyOPYC0TfbH5x4KQ9z16Ljrjo0ufb15qtXkJbcYEpPatpvzdtrp710HEGvH5hFLtoh_e1wRSKctvnW6PyTyjM/s1600/fallout4_humanity.bmp" imageanchor="1"><img border="0" src="https://blogger.googleusercontent.com/img/b/R29vZ2xl/AVvXsEiMIj8s7Yr6nBi7yLx2om44RtH7PjCxxI2dnyZSTGgO8olovB5K-5zuoIsyOPYC0TfbH5x4KQ9z16Ljrjo0ufb15qtXkJbcYEpPatpvzdtrp710HEGvH5hFLtoh_e1wRSKctvnW6PyTyjM/s1600/fallout4_humanity.bmp" data-original-width="1600" data-original-height="900" width="480" height="270" /></a></div>
<p>
残りの3つのファクションの違いは、この組織をなぜ止めるべき脅威とみなすか、というところにある。別の言い方をすれば、何を守るべきものと考えているか、という違いにある。それは、予告編でそれぞれのリーダーの口から語られていることでもあり、プレイヤーは実際のプレイのなかで、何が両立し得るか、両立し得ないかを見極めて、選択を下していくことを求められるのである。
</p>
<p align="center">
<iframe width="480" height="270" src="https://www.youtube.com/embed/X5aJfebzkrM" frameborder="0" allow="autoplay; encrypted-media" allowfullscreen></iframe>
</p>
<p align="center" style="font-size: x-small;">
Fallout 4 - Launch Trailer
</p>
<p>
繰り返せば、『Fallout 4』はクエスト上は等価な選択肢(4つのファクションのいずれかを選ぶ)を、物語的には必ずしも等価な選択肢とはみなしていない。そして、そのことについて率直でもある。「お前は軍隊タイプじゃない、一匹狼だ」というのは、このオープンワールド・ゲームそのものへのメタ的な言及として受け取れるだろう(前作『Fallout 3』の主人公には、文字通り“Lone Wonderer”=「孤独な放浪者」という呼び名が与えられていた)。
</p>Unknownnoreply@blogger.com0tag:blogger.com,1999:blog-9024776797757966364.post-78947019498720112042018-10-18T01:30:00.000+09:002018-10-18T01:35:50.809+09:00【音楽】The Midnight - Kids:暗い時代のシンセウェイブ<head>
<meta name="description" content="The Midnightの2018年9月発売のアルバム『Kids』は、クリス・エヴァンズも絶賛のシンセウェイブの傑作。">
</head>
<p>
半月乗り遅れたが、The Midnightの新作『Kids』は素晴らしい。
</p>
<p align="center">
<iframe width="480" height="270" src="https://www.youtube.com/embed/aQYTuk-_hKg" frameborder="0" allow="autoplay; encrypted-media" allowfullscreen></iframe>
</p>
<a name='more'></a>
<p>
キャプテン・アメリカも絶賛。
</p>
<blockquote class="twitter-tweet" data-lang="ja"><p lang="en" dir="ltr">I love this album <a href="https://t.co/0rAJHLLd9O">https://t.co/0rAJHLLd9O</a></p>— Chris Evans (@ChrisEvans) <a href="https://twitter.com/ChrisEvans/status/1046775393980698626?ref_src=twsrc%5Etfw">2018年10月1日</a></blockquote>
<script async src="https://platform.twitter.com/widgets.js" charset="utf-8"></script>
<p>
購入・試聴:<a href="http://smarturl.it/TheMidnightKids">http://smarturl.it/TheMidnightKids</a>
</p>Unknownnoreply@blogger.com0tag:blogger.com,1999:blog-9024776797757966364.post-47408920923638763732018-10-14T15:44:00.001+09:002018-10-21T06:51:41.147+09:00【映画予告】『Mad Heidi』:チーズ・ファシストを血祭りにあげる、大人になったアルプスの少女<head>
<meta name="description" content="映画『Mad Heidi』(マッド・ハイジ)は、『アイアン・スカイ』プロデューサーによる史上初の「スイスプロイテーション」映画。近未来のスイスで、大人になったハイジが、チーズ・ファシストと死闘を繰り広げる。">
</head>
<div class="separator" style="clear: both; text-align: center;"><a href="https://blogger.googleusercontent.com/img/b/R29vZ2xl/AVvXsEjfs-ZU5-SDfUEd91bTt3mQVx38_P1MCkoOKn6oQ3VydxwkC2N5lKtbdQOXPKLgm6adGFZ8bjPSL4V2-nPRt0Z3Hh0655qFOYZqxllw0vMUnojaQuIsUuXRFLI9vXypGETfYXx7MOwhap0/s1600/MAD-HEIDI_Poster_Teaser2018_RGB_web-screen.jpg" imageanchor="1"><img border="0" src="https://blogger.googleusercontent.com/img/b/R29vZ2xl/AVvXsEjfs-ZU5-SDfUEd91bTt3mQVx38_P1MCkoOKn6oQ3VydxwkC2N5lKtbdQOXPKLgm6adGFZ8bjPSL4V2-nPRt0Z3Hh0655qFOYZqxllw0vMUnojaQuIsUuXRFLI9vXypGETfYXx7MOwhap0/s1600/MAD-HEIDI_Poster_Teaser2018_RGB_web-screen.jpg" data-original-width="1179" data-original-height="1600" width="480" /></a></div>
<p align="center" style="font-size:"></p>
<p>
うっかり見逃していたが、史上初の「スイスプロイテーション」映画を名乗る『Mad Heidi』(マッド・ハイジ)の予告編を紹介。
</p>
<p align="center">
<iframe src="https://player.vimeo.com/video/291492096?color=dcbe31&title=0&byline=0&portrait=0" width="480" height="218" frameborder="0" webkitallowfullscreen mozallowfullscreen allowfullscreen></iframe>
<p align="center" style="font-size: x-small;"><a href="https://vimeo.com/291492096">MAD HEIDI Swissploitation Teaser</a> from <a href="https://vimeo.com/decoycollective">Decoy Films</a> on <a href="https://vimeo.com">Vimeo</a>.</p>
<a name='more'></a>
<p>
<a href="https://madheidi.com/">公式サイト</a>によると、「有名なスイスの山岳の少女ハイジと、チーズと、美しいアルプスを、ナチスの財宝、チョコレート、スイス・アーミー・ナイフと組み合わせてみよう。そして、大量の血糊とたっぷりのおふざけを加えます。それが『マッド・ハイジ』です!」
</p>
<p>
あらすじ:
</p>
<blockquote>
<p>
ハイジの物語はかつて世界中のあらゆる世代を感動させました。でも、私たちがそうであるように、ハイジも大人になりました。彼女はもう愛くるしい幼い子どもではないのです。
</p>
<p>
近未来、世界が戦争と混沌へと滑り落ちていくなか、スイスは富裕層の国として自国を世界から隔絶していました。専制的なチーズ業界の有力者が国を支配し、人工的な絵葉書風のスイス・イメージを強圧的に維持しているのでした。凶暴な政府の軍隊によって誘拐されたとき、ハイジは自らの身を守り、チーズによって駆動する憎悪の機構に対する彼女の戦争を戦わなければならなくなります。彼らはまもなく、触れてはならないハイジに手を出したと知ることになるでしょう。
</p>
</blockquote>
<p>
前段と後段のつながりがさっぱりわからないが、本作が成功すれば(すでにクラウドファンディング目標は達成済み)、絵葉書風のスイスに低予算の血糊をたっぷり塗りつけた「スイスプロイテーション」映画が後に続くことになるのであろう。
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<p>
『アイアン・スカイ』(2012年)とその続編『Iron Sky: The Coming Race』(原題、2018年)のプロデューサー、テロ・カウコマー(Tero Kaukomaa)がプロデューサーを務めており、監督ヨハネス・ハートマン(Johannes Hartmann)は本作が長編デビュー。
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<div class="separator" style="clear: both; text-align: center;"><a href="https://blogger.googleusercontent.com/img/b/R29vZ2xl/AVvXsEhPT6I1bGhIZzwTlf2hKNXZFfzYWJ0ooSdoYJE088XjyfSFvyq1IZHO4RfjVF8qmhQcJ-xGM0o5QBPTxOLnQLrTuBrZaaTiBqxgbJBlWi-KkFu636yPc0PVvVGSgU47eAXYOdwzkFvuWK4/s1600/MAD-HEIDI_Still_6.jpg" imageanchor="1"><img border="0" src="https://blogger.googleusercontent.com/img/b/R29vZ2xl/AVvXsEhPT6I1bGhIZzwTlf2hKNXZFfzYWJ0ooSdoYJE088XjyfSFvyq1IZHO4RfjVF8qmhQcJ-xGM0o5QBPTxOLnQLrTuBrZaaTiBqxgbJBlWi-KkFu636yPc0PVvVGSgU47eAXYOdwzkFvuWK4/s1600/MAD-HEIDI_Still_6.jpg" data-original-width="1600" data-original-height="727" width="480" /></a></div>
<p> <div class="separator" style="clear: both; text-align: center;"><a href="https://blogger.googleusercontent.com/img/b/R29vZ2xl/AVvXsEgKYqhhzjXa2T8_8W-WVl1FheYG-hQ6Z4dVJD3B2-zq_1oVoiBVGLp9T61oAM1o7IUtGniCcSGvwCNmTWtCAMtBbHv58dzgR6WW7aRNgei8g_i2WwwABqpf9XH_JOITT2SbnmG7PlFDlg4/s1600/MAD-HEIDI_Still_4.jpg" imageanchor="1"><img border="0" src="https://blogger.googleusercontent.com/img/b/R29vZ2xl/AVvXsEgKYqhhzjXa2T8_8W-WVl1FheYG-hQ6Z4dVJD3B2-zq_1oVoiBVGLp9T61oAM1o7IUtGniCcSGvwCNmTWtCAMtBbHv58dzgR6WW7aRNgei8g_i2WwwABqpf9XH_JOITT2SbnmG7PlFDlg4/s1600/MAD-HEIDI_Still_4.jpg" data-original-width="1600" data-original-height="727" width="480" /></a></div>
(ソース:<a href="https://madheidi.com/">madheidi.com</a>)
</p>Unknownnoreply@blogger.com0tag:blogger.com,1999:blog-9024776797757966364.post-50968209297652118862018-10-07T21:51:00.000+09:002018-10-07T21:57:13.500+09:00【無料ゲーム】『Afterlife Arcade』:終末はゲームセンターで<head>
<meta name="description" content="無料ゲーム『Afterlife Arcade』は、1990年代のゲーム・センターでゾンビの群れを迎え撃つ、ウェーブ式のサバイバルFPS。">
</head>
<p align="center">
<a href="https://blogger.googleusercontent.com/img/b/R29vZ2xl/AVvXsEiDRuWoovo66H8zX7tng0nTqs_LEdEFd7vhHDQIJ0lsv__EY8bbtcDR5RqWD4j4uPcuA72J3roSNxm9jEnxlX-2qwwpi1zYWrrtmXGecM7us3LMz-3sbTs92AZoqpk8jwLGMGWIqj-ciC0/s1600/afterlife_arcade.jpg" imageanchor="1"><img border="0" src="https://blogger.googleusercontent.com/img/b/R29vZ2xl/AVvXsEiDRuWoovo66H8zX7tng0nTqs_LEdEFd7vhHDQIJ0lsv__EY8bbtcDR5RqWD4j4uPcuA72J3roSNxm9jEnxlX-2qwwpi1zYWrrtmXGecM7us3LMz-3sbTs92AZoqpk8jwLGMGWIqj-ciC0/s1600/afterlife_arcade.jpg" data-original-width="960" data-original-height="540" width="480" height="270"/></a>
</p>
<p>
作品名:Afterlife Arcade<br />
開発元:Rickperros<br />
発表年:2018年<br />
<a href="https://rickperros.itch.io/afterlife-arcade">itch.ioにて無料配布</a>
</p>
<p>
1990年代のゲーム・センターでゾンビの群れを迎え撃つ、ウェーブ式のサバイバルFPS。
</p>
<p>
プレイヤーは、ゾンビを倒して得られるチケットを、武器やスキルのアップグレードと、次のエリアに進むための扉の開放、あるいはゾンビ出現ポイントのバリケード(すぐに破壊されるが)に使用でき、ラウンド形式の攻防を繰り返しながら、自分のタイミングで次のエリアに進んでいくかたちとなる。
</p>
<a name='more'></a>
<p>
所要時間は20~30分ほど。難易度は高くないが、適度には忙しい。ネオン・カラーのアート・スタイルを楽しむゲームである。ローカル・マルチプレイ対応。
</p>
<p align="center">
<iframe width="480" height="270" src="https://www.youtube.com/embed/wf6QOVbKP50" frameborder="0" allow="autoplay; encrypted-media" allowfullscreen></iframe>
</p>
<p align="center" style="font-size: x-small;">
Afterlife Arcade Trailer
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<p>
なお、予告編で流れている"Come and Get Your Love"は、ゲーム本編では流れないのであしからず(?)。
</p>Unknownnoreply@blogger.com0tag:blogger.com,1999:blog-9024776797757966364.post-88051188646469360272018-09-29T02:07:00.000+09:002018-11-15T02:56:43.620+09:00【ベスト・オブ・YouTube】「死ぬとき?」<head>
<meta name="description" content="BLVCK CEILINGによる Charli XCX - "Grins"のウィッチハウス・リミックス。">
</head>
<p>
YouTube の厳選動画をコメントなしで紹介。
</p>
<p align="center">
<iframe width="480" height="270" src="https://www.youtube.com/embed/6xMmTkfg5XU" frameborder="0" allow="autoplay; encrypted-media" allowfullscreen></iframe>
</p>
<p align="center" style="font-size: small;">
± BLVCK CEILING - Grins ± | N¡gh†m∆res ∆nd 8Ø8s <br />
「BLVCK CEILING - Grins 〔原曲:Charli XCX〕」
</p>Unknownnoreply@blogger.com0tag:blogger.com,1999:blog-9024776797757966364.post-80418361005732718302018-09-21T03:12:00.000+09:002018-09-21T03:12:04.122+09:00【海外記事紹介】「エドワード・スノーデン再考」(The New York Review of Books)<head>
<meta name="description" content="エドワード・スノーデンは私たちの救世主ではない。スノーデンの暴露が予見させていたイデオロギー上の再編とは?">
</head>
<h5>スノーデン現象、もう一つの物語</h5>
<p>
紹介するのは、The New York Review of Books に載せられた長文エッセイ<a href="https://www.nybooks.com/daily/2018/09/13/edward-snowden-reconsidered/">「エドワード・スノーデン再考」(Tamin Shaw, "Edward Snowden Reconsidered", The New York Review of Books, 2018/09/13)</a>。スノーデンによる機密暴露5周年を念頭に書かれた、スリリングな論考である。
</p>
<p>
何か知られていなかった事実が述べられているわけではないが、エドワード・スノーデン本人というより、スノーデンを取り巻く群像を今日の視点から再構成することで、彼ら自身の語り口からは見えづらい、「スノーデン現象」の帯びてきた不穏な側面に光を当てている。
</p>
<p>
記事でも言及されているローラ・ポイトラスの二つのドキュメンタリー映画、『シチズンフォー』(2014年)と『リスク』(2017年)を見ておくと、時系列や登場人物が理解しやすいだろう。もちろん、この記事を読むと、彼女のドキュメンタリーの印象も少し変わってくるのであるが。
</p>
<a name='more'></a>
<h5>「偏執的リバタリアニズム」の仄暗い衝動</h5>
<p>
以下、長いが、記事より抜粋:
</p>
<blockquote>
<p>
この夏、NSAの監視についてのエドワード・スノーデンの暴露の5周年が静かに過ぎ去った。〔……〕この数年のあいだ、私たちは、大手テック企業(Big Tech)がNSAとデータを共有しているだけでなく、膨大な情報を自らの目的のために収集していることについてより多くのことを学んだ。そしてまた私たちは、ビッグ・データの用いられるさまざまな戦略的な目的を認識し始めている。その意味で、私たちは、スノーデンの暴露の本当の重要性をようやく理解し始めたところなのである。
</p>
<p>
このことは、2013年当時に比べて、私たちがスノーデンの動機や目的について今日多くを知っているということを意味しない。スノーデンが最初からロシア政府の協力者だったのではないか、という疑問が持ち出され、議論された。そうであると示す証拠は存在しない。彼が中国のスパイであると示す証拠が存在しないのと同様に。彼自身の述べた動機は、米国市民に対する監視の、問題のある拡張ということだった。だが、彼が盗み出したドキュメントの多くは、この公言された関心とは関わりのないものであった。彼がアクセスしたと諜報機関が信じているところの170万のドキュメントのうちの一部は、確かに、国内向けプログラムについての重要な情報をもたらした。たとえば、9.11事件後にジョージ・W・ブッシュ大統領によって認可され、のちのオバマ政権下での拡張の基礎となった、捜査令状を必要としない監視プログラム「Stellar Wind」の継続についてがそうだ。だが、ドキュメントのほとんどは、外国の監視やサイバー戦争に関わるものであったのである。このことは、彼が何らかの他の組織や大義のために働いているのではないか、という憶測を招くこととなった。私たちには知るよしもない。
</p>
<p>
しかしながら、彼個人の意図がどうであったにせよ、スノーデン現象は、彼自身よりも、さらに彼のリークしたドキュメントよりも、大きなものであった。ふりかえってみて、スノーデン現象は、新たに出現しつつあるイデオロギー上の再編を垣間見させるものであったのである。初めてのことではないが、極左と極右、リバタリアンと権威主義の合流である。そしてまた、私たちが突入していることを当時知らなかったが、いまになって理解する必要に迫られている、情報戦への強力な介入でもあったのである。
</p>
<hr style="border:none;border-top: 2px dashed #bfbfbf;width: 90%;">
<p>
スノーデンは、マーク・フェルトやダニエル・エルスバークのような単なる内部告発者になるつもりはなかった。彼は指導者的存在になりたかったのである。そして彼はおおむね成功した。5年間のあいだ、彼が公衆の心のうちに打ち立てた物静かで高潔な人柄は、アメリカの「ディープ・ステイト」に対する抵抗を活気づけてきた。それは、部分的には、スノーデン自身が主役のアカデミー賞に輝いたドキュメンタリー映画や、彼が登場するオリバー・ストーン監督の長編映画、そして、彼の主な収入源となっているビデオ・リンクで行ってきた多くのトークによって鼓舞されてきたものだ。彼は現在383万人のツイッター・フォロワーを持つ。彼は「インフルエンサー」であり、しかも有力なその一人なのである。
</p>
<hr style="border:none;border-top: 2px dashed #bfbfbf;width: 90%;">
<p>
実際のところ、公衆がスノーデンについて知っていることのほとんどは、選ばれた協力者たちからなる少人数のサークルによって組み立てられた彼の肖像のフィルターを通している。彼らの全員が、当時はウィキリークスの支持者であった。スノーデンはウィキリークスとはやっかいな、しかし緊密な関係を結んでいる。スノーデンは、当初ドキュメントをウィキリークスを通してリークすることを考えたが、2012年にアサンジがエクアドル大使館へと逃げ込み、彼とコンタクトすることが困難でリスキーになったため、考えを変えたのだという。代わりに、スノーデンはウィキリークスを熱心に擁護していた独立のジャーナリスト、グレン・グリーンウォルドに接触しようとした。これが失敗に終わり、彼はドキュメンタリー映画監督のローラ・ポイトラスに接触した。彼女が、オサマ・ビンラディンのボディガードだった人物を追ったドキュメンタリーを制作して政府から執拗な監視を受けていた際に、グリーンウォルドが声高に彼女を擁護していたのである。
</p>
<hr style="border:none;border-top: 2px dashed #bfbfbf;width: 90%;">
<p>
ポイトラスは、2010年にジェイコブ・アッペルバウムと接触して以来、Tor プロジェクトのコミュニティのメンバーであった。Tor プロジェクトは、プライベートなオンライン上のやりとりを可能にする暗号化された Tor のウェブ・ブラウザーを開発するもので、アッペルバウムは、Tor プロジェクト、そしてアサンジの親しい友人・協力者となってからはウィキリークスの双方における重要メンバーであった。Wired のケヴィン・ポールセンの取材から、スノーデンが少なくとも2012年には Tor のコミュニティと接触していたことが分かっている。
</p>
<hr style="border:none;border-top: 2px dashed #bfbfbf;width: 90%;">
<p>
2014年に映画『シチズンフォー』が公開されたとき、ポイトラスが Tor と ウィキリークスにどれほど深く関わっていたのか、あるいは、アサンジとのイデオロギー的親近性を当時持っていたのかを、ほとんどの人々は知らなかった。ガーディアン紙は賢明にも、ベテランの記者エヴァン・マッカースキルをポイトラスとグリーンウォルドの香港行きに同行させたが、そのことは、スノーデンの暴露の動機がイデオロギー的なものであるよりジャーナリスティックなものである、という印象を与えることを助けた。私たちはその後、ポイトラスのアサンジとの複雑な関係を、2017年に公開されたウィキリークスについての彼女の映画『リスク』で垣間見ている。
</p>
<hr style="border:none;border-top: 2px dashed #bfbfbf;width: 90%;">
<p>
このグループに共有されている政治的なイデオロギーがあったとしても、定義しづらいものである。彼らはしばしば左派に属するとみなされてきた。監視公安国家(National Security State)に対する批判は、左派から提起される傾向にあったからである。だが、ウィキリークスの編集者でアサンジのアドバイザーであるサラ・ハリソンがスノーデンに会うために香港へと飛んだとき、彼女は、アサンジの失敗に終わったオーストリア上院選挙のキャンペーンを監督していた直後であった。そのキャンペーンで、ウィキリークス党は極右と提携していたらしい。アサンジの父で党書記のジョン・シップトンが率いるウィキリークス党のキャンペーン・チームは、シリアの権威主義的指導者、バシャール・アル=アサドへの人目を引く訪問も行っている。シップトンはロシアの国営ラジオで、アメリカと対比するかたちで、ウラジミール・プーチンのシリアでの活動を褒めちぎった。政治歴史学者のショーン・ウィレンツ(Sean Wilentz)は2014年に、当時としては珍しかったアサンジ、スノーデン、グリーンウォルドについての批判的な記事のなかで、彼らは思想として一貫したものを共有しているわけではないが、共通の政治的衝動を抱いている、と論じて、その衝動を「偏執的リバタリアニズム」(paranoid libertarianism)と名付けた。あとにして思えば、私たちは、ポイトラス、グリーンウォルド、アサンジ、スノーデンが協力関係を結んだ当時、彼らが没頭していたのは、米国政府の欺瞞という問題であったことを見て取ることができる。国際法に従って、人権を尊重し、国際法の枠内で活動すると謳いながら、自身の掲げる規範や価値を破り続ける、という欺瞞である。
</p>
<p>
この見方には十分な根拠があった。嘘やでっち上げの証拠、意図的にあいまいな目標を用いて正当化されたイラク戦争は、数十万もの死を招き、そしてまた、CIAのブラックサイトやグアンタナモの収容施設への「敵戦闘員」容疑者の引き渡しと拷問を導いていたのである。
</p>
<hr style="border:none;border-top: 2px dashed #bfbfbf;width: 90%;">
<p>
だが、法の支配をめぐるシニシズムは一つの連続体のなかに位置している。一方では、政府の欺瞞を暴露することは、自由民主主義政府に向かってその理想に恥じないことを求める要求によって動機づけられる。公的関心の高まりや、監督する委員会の設置、先見的な政治家の選出、リベラル・デモクラシーを恣意的で野放しな統治から守るためのその他のメカニズムの利用などを通して、説明責任を強化しなければならない、という要求である。〔……〕だが、他方の極に存在するのは、法とはつねに実際のところ政治が別の姿を装ったものにすぎない、という考え方である。法は、ひとそろいの抽象的な規範を用意するが、それらが具体的事例に対してどのように運用されるべきかを指定できないため、人間が運用の決定を下すのであり、決定を下すのは究極的には最も権力を有する者たちなのである、という考え方だ。
</p>
<p>
後者の見方においては、合法性と正当性についてのリベラルな観念はつねに欺瞞に満ちたものであることになる。これは、20世紀の最も影響力のある法理論家の一人、カール・シュミットによって広められた見方である。1933年に入党したナチス党員で、第三帝国の「桂冠法学者」として知られることになった人物である。
</p>
<hr style="border:none;border-top: 2px dashed #bfbfbf;width: 90%;">
<p>
私たちは、映画『リスク』で、アサンジが電話に向かって、米国でのウィキリークスの行動の合法性について、次のように話すのを耳にする。「我々は憲法修正第一条〔訳注:報道の自由を定めた条項〕によって守られている。だが、結局は政治の問題だ。法は判事が解釈するのだから」と。彼は繰り返し、合法性とは政治の道具に過ぎない、という見方を表明する〔……〕。だが、スノーデンの周囲の人々のこのシニシズムは、シュミットのように、法の支配についてのメタ的な見方から導き出されたものではない。そうではなく、法の支配を代弁する米国が、法の支配という思想を、「ディープ・ステイト」の野放しな権力を偽る仮面として用いている、という見方から導き出されているのである。
</p>
<hr style="border:none;border-top: 2px dashed #bfbfbf;width: 90%;">
<p>
米国こそが世界における最も有害なアクターである、というこの見方は、プーチンのロシアのような他の国々の行いを批判することをグリーンウォルドにとって気の進まないものとしている。
</p>
<hr style="border:none;border-top: 2px dashed #bfbfbf;width: 90%;">
<p>
この観点からすると、NSAの監視プログラム「PRISM」についてのスノーデンの有名なリークが、グリーンウォルドと、ワシントン・ポストのバートン・ゲルマンによって初めて明らかにされたとき、NSAが完全に無法にふるまっているかのような誤った解釈がなされていた事実は、極めて重大な意味を持つ。(スノーデンのリークについてのグリーンウォルドの著書によると、ゲルマンは、ワシントン・ポストが求める厳格なチェックの前に公表するようにスノーデンから相当なプレッシャーを受けていた、という。)ゲルマンとグリーンウォルド両者とも、最初の報道では、PRISMを通して、NSAとFBIが9個の米国の主要インターネット会社(Microsoft、Yahoo、Google、Facebook、PalTalk、AOL、Skype、YouTube、Apple)のサーバーに直接のアクセスが可能である、と主張していた。「直接のアクセス」(direct access)という言葉は、NSAとFBIがこれらの会社のサーバーを思いのままに何の法的認可もなしに調べまわることが可能である、ということをほのめかすが、これは正確ではなかった。そして訂正が出されたものの、最初に公衆に植え付けられた第一印象が消え去ることはなかったのである。スノーデン自身が彼のプラットフォームを用いてこの誤解を訂正したことは一度もない。
</p>
<hr style="border:none;border-top: 2px dashed #bfbfbf;width: 90%;">
<p>
ロシアを含む多くの国々が、米国のサイバー戦力の急速な拡大に追いつこうとするなかで、スノーデンの暴露を自国の監視プログラムの拡大の正当化に用いた。プーチンは、PRISMについての報道を「ディープ・ステート」についての理論の助長に利用し、インターネットは「CIAの策謀」であると主張したのである。
</p>
<hr style="border:none;border-top: 2px dashed #bfbfbf;width: 90%;">
<p>
グリーンウォルドやアサンジたちが正しく理解していたことがあるとすれば、それは米国が過去70年間のあいだに途方もない経済的・軍事的な勢力となったということである。〔……〕そこで問題は、この強大な力が、欺瞞的であるにせよ一定の制約のもとで自由民主主義的な国家によって運用されるほうがよいのか、それとも、何の制約も受けずにむきだしに公然とした姿で権威主義的な国家によって運用されるほうがよいのか、ということである。スノーデンの暴露から5年、私たちはいくつかの変化を目にしてきた。なかでも、独裁者を公然と賞賛するドナルド・トランプの大統領選出は、米国が権威主義的な未来に向かう可能性を私たちに否応なく想像させる。民主主義的な説明責任、権力分立による抑制と均衡、法の支配は、不完全な手段かもしれないが、米国の力を人道的な目的へと向かわせるうえで最良の希望であるように見える。過去の失敗は、この希望を捨て去るだけの十分な理由とはならない。テクノロジーへの信仰も同じだ。テクノロジーは手段に過ぎず、目的を識別することはない。テクノロジーが私たちを救うことなどないのである。エドワード・スノーデンは私たちの救世主ではない。
</p>
</blockquote>
<h5>オーラとほころび</h5>
<p>
ローラ・ポイトラスとウィキリークスの決裂については、以前別に記事を書いた(<a href="http://subcultureplus.blogspot.com/2017/06/risk-wikileaks.html">「映画『Risk』のプロデューサーら、映画公開をめぐるウィキリークスとジュリアン・アサンジからの妨害に対し反論」</a>)。そこでは、ネット掲示板上でアサンジ本人にぶつけられた、アサンジとスノーデンは全く別の哲学を動機としているのではないか、という問いかけや、ウィキリークスが情報の抑圧を試みたりフェイクニュースを拡散してきたりした事例についても紹介した。
</p>
<p>
また、グレン・グリーンウォルドが、陰謀論の拡散に一役買った事例についても、以前ある記事で触れた(<a href="http://subcultureplus.blogspot.com/2018/01/sunstein-conspiracy.html">海外記事紹介「陰謀論を研究するリベラルの学者が、いかにして右翼の陰謀論の標的となったか」</a>)。
</p>
<p>
その言動にほころびの目立つウィキリークス/アサンジやグリーンウォルドに比べると、スノーデンは相変わらず高潔な人格を思わせるミステリアスなオーラを保っている。とはいえ、記事が述べるように、私たちが知る「スノーデン」という現象は、彼が同志関係が結んだこのサークルによって醸成されてきたものであり、この同志関係の根底に透けて見える、不穏な政治的衝動からスノーデンだけを例外とみなすべき積極的理由は実のところないのである。
</p>Unknownnoreply@blogger.com0tag:blogger.com,1999:blog-9024776797757966364.post-54354785743636539382018-09-15T21:09:00.000+09:002018-10-21T06:51:49.636+09:00【動画】「スパイダーマンが人を殺している(なんてことは断じてありません)」<head>
<meta name="description" content="スパイダーマンは人を殺さない。Insomniac Gamesのゲーム『スパイダーマン』で、スパイダーマンの動きが殺人っぽく見える瞬間を正当化。">
</head>
<h5>
人を殺さないヒーロー?
</h5>
<div class="separator" style="clear: both; text-align: center;"><a href="https://blogger.googleusercontent.com/img/b/R29vZ2xl/AVvXsEgg_LmWSa7fRlnmxZ6F9NG1YkiVzSoCGKQUr7bXGVj51fbk24xqeDYTmBzQGrMk0ELspkqqkKOy24GJsnIbtNnI2soRik68SuUn-wfQMNSdMdrikxs33AnHLy-lv5SEkJDZMU7EQg0P_so/s1600/spiderman.jpg" imageanchor="1"><img border="0" src="https://blogger.googleusercontent.com/img/b/R29vZ2xl/AVvXsEgg_LmWSa7fRlnmxZ6F9NG1YkiVzSoCGKQUr7bXGVj51fbk24xqeDYTmBzQGrMk0ELspkqqkKOy24GJsnIbtNnI2soRik68SuUn-wfQMNSdMdrikxs33AnHLy-lv5SEkJDZMU7EQg0P_so/s1600/spiderman.jpg" data-original-width="852" data-original-height="480" width="480" /></a></div>
<p align="center" style="font-size: x-small;">
敵に仲間を殺させてトラウマを与えるスパイダーマン
</p>
<p>
スパイダーマンは人を殺さない。彼はヒーローであって、全身タイツ姿で街を徘徊する殺人鬼ではない。Insomniac Games のPS4用新作ゲーム『スパイダーマン』(<i>Marvel’s Spider-Man</i>)では、このことをはっきりさせるために、ビルの屋上から敵を放り投げても、クモの糸で別のビルに縛りつけられる、というメカニズムが組み込まれている。スパイダーマンの通り過ぎるところ、ビル周辺の路上には死体が散乱、なんて光景を、誰も想像したくないのである。
</p>
<p>
とはいえ、このオープンワールド・ゲームをプレイする中で、<b>「ピーター、いま人を殺していなかった!?」</b>という瞬間にあなたはたびたび出会うかもしれない。そこでアメリカのゲーム情報サイト Polygon が、スパイダーマンの動きが殺人っぽく見える13の瞬間を正当化する親切な動画を公開している(英語)。
</p>
<p align="center">
<iframe width="480" height="270" src="https://www.youtube.com/embed/98UpAhyD3wc" frameborder="0" allow="autoplay; encrypted-media" allowfullscreen></iframe>
</p>
<p align="center" style="font-size: x-small;">
Spider-Man Is (Definitely Not) Murdering People | Polygon
</p>
<a name='more'></a>
<h5>
人を殺さないヒーロー(正当防衛や当然の報いは除く)
</h5>
<p>
順に見ていくと、
</p>
<ol>
<li>
感電死<br />
【やり過ぎのテーザー銃みたいなもの】
</li>
<li>
建築足場に縛りつけておいて、その足場を倒壊させる<br />
【足場ってそんなに重くないんだよ】
</li>
<li>
走行中の車から放り出す<br />
【シートベルトをしておくべきだった】
</li>
<li>
ロケット弾を投げ返す<br />
【起爆しないから、魔法瓶を頭に投げつけているようなもの】
</li>
<li>
マンホールの蓋を投げつける<br />
【110kgくらいの重さがあるらしいけど、垂直に投げているから、死のフリスビーにはなっていない】
</li>
<li>
オートバイを投げつける<br />
【重い上に爆発しているけど、オートバイ自体がもともと危険】
</li>
<li>
弾丸を跳ね返す<br />
【正当防衛!(明らかに相手に当てることを意図して跳ね返しているけれど…)】
</li>
<li>
相手の股の下をすり抜けて仲間に撃たせる<br />
【悪党の一人に友だちを撃ち殺させているわけだけれど、精神的な殺人をしないとまでは言わなかったよね?】
</li>
<li>
頭を鋼材に叩きつける<br />
【ピーターは賢いから、きっと叩きつける前に糸でマユのようにくるんで、マユが羽化すると蝶の代わりに重い脳損傷が…】
</li>
<li>
首へし折りフィニッシュ・ムーブ<br />
【無認可のカイロプラクティックかもしれない】
</li>
<li>
頭から地面に叩きつける空中フィニッシュ・ムーブ<br />
【正当防衛! いったん蹴りを入れてからわざわざ叩きつけている事実を誰も指摘しないことを願うね】
</li>
<li>
縛りつけた相手を湖に沈める<br />
【計画的な動機があったかのように見えるけど、実は頭を冷やしてあげようとしただけ】
</li>
<li>
爆発しそうなトラックに縛りつける(そして自分で縛りつけた以外の人々だけを爆発から救出する)<br />
【当然の報い、気にしない】
</li>
</ol>
<p>
かくして、「スパイダーマンが人を殺している(なんてことは断じてない)瞬間」とは、結局のところ、「スパイダーマンが人を殺している(かもしれない事実に私たちがオーケーでいる)瞬間」のことなのである。
</p>Unknownnoreply@blogger.com0tag:blogger.com,1999:blog-9024776797757966364.post-58049406642994251382018-09-01T01:02:00.001+09:002018-09-15T20:48:16.812+09:00【無料本】サラ・ジョン『ゴミのインターネット』<head>
<meta name="description" content="オンライン・ハラスメントについての好著、サラ・ジョン『ゴミのインターネット』(Sarah Jeong, The Internet of Garbage)が全文無料公開中。Gamergateやオルト・ライト台頭の持つ意味と対応策を考えるうえでも有益。">
</head>
<h5>インターネットにおける「ゴミ」とは?</h5>
<p>
ジャーナリスト、サラ・ジョン(Sarah Jeong)の著書<i> The Internet of Garbage</i>(『ゴミのインターネット』)の改訂版が無料公開されている。2015年に発表されたオンライン・ハラスメントについてのノンフィクションである。公開しているのは、彼女がライターを務めるテクノロジー系サイト The Verge で、PDF、ePUB、mobi の形式でダウンロード可能だ(<a href="https://www.theverge.com/2018/8/28/17777330/internet-of-garbage-book-sarah-jeong-online-harassment">The Verge のダウンロード・ページ</a>)
</p>
<p>
同書の根幹にあるのは、「言論の自由」をめぐる問題としてフレームされやすいヘイトスピーチやオンライン・ハラスメントは、むしろカテゴリー的にはスパムに近いものであり、「ゴミ」の問題としての対応が要される、という洞察だ。あらゆるオンライン空間は、「ゴミ」の問題に何らかのかたちで対応してきたのである。
</p>
<a name='more'></a>
<blockquote>
<p>
ゴミとは、単純に、望まれないコンテンツのことである。それは、サイトのコードを壊すものかもしれないし、マルウェアかもしれない。機械的に生成された広告文という固有の意味でのスパムかもしれない。他のユーザーに直接に向けられた「明確な脅迫」かもしれないし、あいまいな脅迫かもしれない。Fワードが散りばめられ過ぎた投稿のことかもしれない。モデレーションの厳重なコミュニティにおいては、単にトピックから外れているとみなされた投稿でも削除されることがある。脅迫的であったり不快であったり話題から外れていたりしない投稿でも、ゴミとみなされることはあり得る。SomethingAwful のフォーラム上では、何らコミュニティに貢献するところがないと目された投稿には「クソ書き込み」(shitpost)という印象的な呼び名が与えられる。
</p>
<p>
最も無秩序と目される空間においても、ゴミと分類されるコンテンツは存在する。「何でも」許されるとの評判を持つサイト 4chan では、「晒し(doxing)」(住所など個人情報を許可なく投稿すること)と「フォーラム襲撃(forum raid)」(他サイトに対する破壊行為やハラスメントを画策すること)が禁じられている。かつてドラッグ売買に利用されていた Tor を用いた闇サイト Silk Road において、銃を売ることは禁じられていた。どちらのサイトにおいても、児童ポルノは禁じられている(いた)。
</p>
</blockquote>
<p>
著者は、アメリカ合州国憲法修正第一条が定める言論の自由はオンライン・プラットフォームには適用されない、と明言する。なぜなら、修正第一条は、言論が政府によって制限されることを禁じるものであり、他方、ツイッターやフェイスブックは私企業である、という単純な事実があるからだ。
</p>
<blockquote>
<p>
コンテンツとしてのオンライン・ハラスメントは、「ゴミ」という、より広範で、以前から存在するカテゴリーに含まれる。インターネットの歴史を通じて、コミュニティや、オープンソース・プロジェクト、標準化団体は、ゴミの問題と格闘してきた。いまや、企業が同じようにその問題と格闘するようになったのであり、そして不幸なことに、企業は資本主義の最悪の戦略をデフォルトとして実行している。まず最初に、顧客に責任をとらせて、次いで、薄給の下請け業者、あるいはよりひどい場合、海外の低賃金労働にアウトソースしているのである。
</p>
</blockquote>
<h5>違う標的、同じ手口</h5>
<p>
The Verge のダウンロード・ページの編集長からのコメントにあるように、『ゴミのインターネット』無料公開の背景には、サラ・ジョン自身がこの8月にオンライン・ハラスメント・キャンペーンの標的となった、という経緯がある。彼女のニューヨーク・タイムズ編集委員への就任が発表されると、彼女の過去のツイートを取り上げて就任中止を求める声が拡散されたのである。アジア系女性である彼女への嫌がらせに対して彼女が皮肉で応じたツイートを画像として拾い集めて「人種差別」「白人憎悪」の証拠と主張したものだ。
</p>
<p>
過去のツイートを持ち出して解任を求める、といえば、最近、より目立った(そして成功してしまった)別のキャンペーンがあったことはよく知られている。映画監督のジェームズ・ガンをめぐる一件だ。ドナルド・トランプ大統領に対する批判的な発言を繰り返していたガンが、小児性愛やレイプについて冗談を述べた古いツイートを理由にこの7月に『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー』シリーズから解任されたのである(<a href="https://www.polygon.com/2018/7/20/17595096/guardians-of-the-galaxy-3-james-gunn-disney-marvel">Polygon</a>)。
</p>
<p>
ジェームズ・ガン解任を扇動したのは、オルト・ライト(オルタナ右翼)の陰謀論者として悪名高いマイク・セルノヴィッチ(Mike Cernovich)である。 彼が InfoWars のアレックス・ジョーンズ(Alex Jones)とともに流布した Pizzagate(ピザゲート)は、その陰謀論を信じた人物による銃撃事件にまで発展したことで知られる。また、<a href="https://www.huffingtonpost.com/entry/mike-cernovich-james-gunn-fired_us_5b5265cce4b0fd5c73c570ac">The Huffington Post の詳細な記事</a>は、セルノヴィッチが現在のフォロワーと戦略とを獲得したのは、2014年の Gamergate(ゲーマーゲート)であった、と正確に指摘している。ゲーム業界の女性たちが(記事の言い方では、ゲーマーと白人至上主義者によって)標的とされたこの騒動で、セルノヴィッチ(ちなみに、彼はゲーマーではない)は、ゲーマーをおちょくったあるライターのツイートを取り上げてメディアの広告主に圧力をかけることに成功したのである。そして、ディズニーの対応が示すように、同じパターンが性懲りもなく繰り返されてしまっているわけだ。
</p>
<p>
2015年に発表された『ゴミのインターネット』は、この現代的なネットの風景をいち早く観察していたともいえる。今回新しく加えられた序文でサラ・ジョンは、初版発表以来の状況について次のように言及している。
</p>
<blockquote>
<p>
〔……〕私が第2章で簡潔に触れた Gamergate の周到なハラスメント・キャンペーンは以来、私たちの国の政治・文化をめぐる議論を圧倒してしまっている。これらの嘘と歪曲と怒りの捻じれたもつれは、単なる奇妙で不愉快なだけのオンラインのゴミではないのである。これらのハラスメント・キャンペーンは、大統領令、新任の裁判官をも含む裁判所の判決につきまとっており、この先何年も、私たちを悩ますことになるのである。私たちはみな、言論の自由市場における詐欺の被害者なのだ。
</p>
</blockquote>
<hr>
<p>
<b>【関連記事】</b>
</p>
<p>
<a href="http://subcultureplus.blogspot.com/2018/01/sunstein-conspiracy.html">「陰謀論を研究するリベラルの学者が、いかにして右翼の陰謀論の標的となったか」</a>
</p>Unknownnoreply@blogger.com0tag:blogger.com,1999:blog-9024776797757966364.post-28062927592123850412018-08-14T01:03:00.000+09:002018-08-14T22:54:25.431+09:00【ゲーム予告】『Gris』:水彩画的世界を旅する少女<head>
<meta name="description" content="『風ノ旅ビト』を思わせる美しいアートスタイルのゲーム『Gris』。ヒロインの精神的成長を通して、世界が色鮮やかに変化。">
</head>
<p align="center">
<iframe width="480" height="270" src="https://www.youtube.com/embed/gvECQlxrhbw" frameborder="0" allow="autoplay; encrypted-media" allowfullscreen></iframe>
</p>
<p align="center" style="font-size: x-small;">
GRIS - Reveal Trailer | Developer Digital
</p>
<p>
『風ノ旅ビト』をどこか思わせるゲーム『Gris』の予告編。
</p>
<p>
制作元は、今作がデビューとなるスペイン・バルセロナに拠点を置くNomad Studio (<a href="https://nomada.studio/">公式サイト</a>)。公式ツイッターによると、「一部は、東京で開発されてい」る。<a href="https://store.steampowered.com/app/683320/GRIS/">Steam ストア</a>の対応言語にも「日本語」が含まれている。販売元は、Devolver Digital。Nintendo Switch と PC で今年発売予定(Steam の配信予定は「2018年12月」)。
</p>
<a name='more'></a>
<blockquote class="twitter-tweet" data-lang="ja"><p lang="ja" dir="ltr">グリスの一部は、東京で開発されています。随時日本語でもアップデートしていきます!よろしくお願いします。<a href="https://twitter.com/hashtag/%E3%82%A4%E3%83%B3%E3%83%87%E3%82%A3%E3%83%BC%E3%82%B2%E3%83%BC%E3%83%A0?src=hash&ref_src=twsrc%5Etfw">#インディーゲーム</a> <a href="https://t.co/0ye19EYkYJ">pic.twitter.com/0ye19EYkYJ</a></p>— Nomada Studio (@nomadastudiobcn) <a href="https://twitter.com/nomadastudiobcn/status/720514771448111105?ref_src=twsrc%5Etfw">2016年4月14日</a></blockquote>
<script async src="https://platform.twitter.com/widgets.js" charset="utf-8"></script>
<p>
公式紹介文より:
</p>
<blockquote>
<p>
グリスは、人生の苦しみに満ちた経験と向き合うなかで、彼女自身の世界で迷い込んでしまった、希望に満ちた若い少女です。悲しみを通り抜ける彼女の旅は、彼女のドレスによって表されます。ドレスが、彼女の色あせた現実をよりよくナビゲートする新たな能力を授けてくれるのです。物語が進むにつれ、グリスは感情的に成長し、彼女の世界を異なったかたちで見るようになります。そうして、彼女の能力を駆使して新たな探索の道筋を解明していくのです。
</p>
</blockquote>
<p>
「危険や苛立ちや死のない、穏やかで感情を喚起する」作品と名乗っており、軽めのパズル、プラットフォーミング要素があるものの、スキルの要求されるチャレンジはオプショナル、とされている。
</p>
<p>
スタジオの共同創設者は、アメリカのゲーム・サイト <a href="https://www.polygon.com/2018/8/13/17683148/gris-trailer-release-date-preview-devolver-digital">Polygon</a> の取材に対して、「終わりに、あなたはすべての色と、世界が変わるのを目撃する」と語っており、主人公の精神的成長とゲームプレイの進展とが「色」を通して表現されていくようだ。
</p>Unknownnoreply@blogger.com0tag:blogger.com,1999:blog-9024776797757966364.post-18287157442624633452018-07-10T02:26:00.000+09:002018-07-12T01:20:22.537+09:00【動画】「フォト・モードを称える歌」<head>
<meta name="description" content="『God of War』『Hellblade: Senua's Sacrifice』『Horizon Zero Dawn』『Bound』『Mad Max』…ゲームの最も美しい機能「フォト・モード」の魅惑的な世界。">
</head>
<p align="center">
<iframe width="480" height="270" src="https://www.youtube.com/embed/PZ4jY0LOPVg" frameborder="0" allow="autoplay; encrypted-media" allowfullscreen></iframe>
</p>
<p align="center" style="font-size: x-small;">
Every Game Should Have A Photo Mode | Polygon
</p>
<p>
紹介するのは、「フォト・モードを称える歌」(An Ode To Photo Mode)と題された、アメリカのゲーム情報サイト Polygon の動画。『God of War』(2018)、『Hellblade: Senua's Sacrifice』(2017)、『Horizon Zero Dawn』(2017)、『Bound』(2016)、『Mad Max』(2015)など、フォト・モード搭載のゲームを使って作られている。
</p>
<p>
YouTube の紹介文より:
</p>
<blockquote>
<p>
私たちはこの2ヵ月間、可能な限り多くのゲームをフォト・モードでプレイすることに費やして、ビデオ・ゲームの最も美しい機能へのこのトリビュートを創りました。
</p>
</blockquote>
<p>
<b>【追記】</b>(2018/07/12)
</p>
<p>
投稿後に動画のタイトルが「すべてのゲームはフォト・モードを持つべきだ」(Every Game Should Have A Photo Mode)に変更された。
</p>Unknownnoreply@blogger.com0tag:blogger.com,1999:blog-9024776797757966364.post-66347392201449742932018-07-04T01:53:00.000+09:002018-07-05T00:27:26.746+09:00【海外記事紹介】「白人至上主義者の元リーダーが指摘、マルチプレイヤー・ゲームはリクルートに使われている」(GameRevolution)<head>
<meta name="description" content="「ライフ・アフター・ヘイト」創設者のクリスチャン・ピッチョリーニが指摘。白人至上主義運動は、オンライン・ゲームをリクルート経路に利用している。">
</head>
<p>
紹介するのは、アメリカのゲーム・サイト GameRevolution の記事<a href="http://www.gamerevolution.com/news/401799-former-white-supremacist-leader-multiplayer-gaming-recruitment">「白人至上主義者の元リーダーが指摘、マルチプレイヤー・ゲームはリクルートに使われている」(Astrid Johnson, "Former White Supremacist Leader Says Multiplayer Gaming is Used for Recruitment", GameRevolution, 2018/06/29)</a>。白人至上主義運動からの離脱を支援する非営利団体「ライフ・アフター・ヘイト」の創設者が掲示板サイト Reddit で行なった質疑応答を紹介している。
</p>
<h5>「『フォートナイト』『マインクラフト』『COD』全部さ」</h5>
<p>
以下、記事より抜粋。
</p>
<a name='more'></a>
<blockquote>
<p>
クリスチャン・ピッチョリーニは『ホワイト・アメリカン・ユース:アメリカで最も暴力的なヘイト運動への私の転落、そして私はどのように抜け出したか』の著者で、アメリカ最初のネオナチ・スキンヘッド・グループであるシカゴ・エリア・スキンヘッズの元メンバーだ。彼は現在、平和の唱道者であり、人々がヘイト・グループを去るのを手助けすることを使命とする「ライフ・アフター・ヘイト」の創設者である。彼は Reddit の AMA 〔訳注:”Ask Me Anything”(「何でも質問して」)〕に参加し、白人至上主義運動について人々から質問を受けた。参加者の一人がリクルートのためにどのような狡猾な手口が用いられているかを尋ねたところ、答えの一つはマルチプレイ・ゲームというものだった。
</p>
<p>
「私たちは、疎外された若者を見つけ出して彼らに『楽園』を約束していた」と、ピッチョリーニ。「今日では彼らは、鬱やメンタル・ヘルスのフォーラムやマルチプレイヤー・ゲームに入り込んで疎外された若者をリクルートするような悪質な戦術を用いている。」 別の参加者が、『オーバーウォッチ』や『リーグ・オブ・レジェンド』を一日中差別発言を連呼しながらプレイする白人至上主義者の要員でもいるのか、とマルチプレイヤー・ゲームについてさらに尋ねたところ、彼は「さしさわりのないほのめかしをそれとなく口にしたうえで、かかった瞬間に飛びかかるんだよ…『フォートナイト』『マインクラフト』『COD』全部さ」と答えた。
</p>
<p>
AMA のスレッドには、ネオナチや白人至上主義者のリクルーターを目にした自身の経験を語る反応が多くから書き込まれた。frickineh というユーザーはこう語る。「自分は『The Elder Scrolls Online』でも、その手の連中を見かけてきた。ゲーム内の種族について多くの人が『人種差別的な』ことを言うんだけど、時折、現実世界について踏み込んで他の人々からも同意を得ようとし始める奴がいるのさ。ただのクソ野郎どもだと思っていたけれど、少なくとも一部は同類を釣ろうとしているのだと賭けてもいい。」
</p>
</blockquote>
<h5>「人種主義者ではない」という嘘</h5>
<p>
本人の自己紹介によると、ピッチョリーニは、1987年、14歳の時にリクルートされ、1996年に22歳で去るまでの8年間、暴力的な白人至上主義運動に属していた。その後、2009年に「ライフ・アフター・ヘイト」を創設し、現在に至る(<a href="https://www.christianpicciolini.com/bio">ピッチョリーニの公式サイト</a>は2009年、<a href="https://www.lifeafterhate.org/about">ライフ・アフター・ヘイト公式サイト</a>は2011年を創設年としているが、おそらく登記上の事情によるものだろう。同団体の Twitter や YouTube などのアカウントは2010年1月に作成されている)。
</p>
<p>
「ライフ・アフター・ヘイト」は昨年、まだオバマ政権下であった1月に国土安全保障省からの助成金交付が決まっていたにもかかわらず、ドナルド・トランプ大統領就任後に助成対象から外されたことでもニュースとなった(<a href="https://youtu.be/I5a5Yo4_eLM">Full Frontal with Samantha Bee</a> これについては、<a href="http://democracynow.jp/video/20170818-9">Democracy Now! の彼へのインタビューの一部を日本語字幕で見ることができる</a>)。
</p>
<p>
<a href="https://www.reddit.com/r/IAmA/comments/8umemf/i_am_christian_picciolini_a_former_white/">Reddit の AMA </a>のスレッドでは、「白人至上主義者がオンライン・ゲームでセールス・トークをやっているスクリーンショットを見てみたいな。アーリアン・ブラザーフッド〔訳注:白人至上主義の囚人ギャング組織〕みたいなグループが『マインクラフト』のサーバーを立ち上げる、っていうのは…」という茶化した書き込みに対して、ピッチョリーニは「君は、白人至上主義運動がいまだにスキンヘッドやKKK、アーリアン・ブラザーフッドをめぐるものだという誤った想定をしている。」と応じている。
</p>
<p>
これは、ピッチョリーニ自身が警告してきた、「オルト・ライト」「ホワイト・ナショナリズム」といった白人至上主義の新たなブランド付けを念頭に置いたものだろう。ピッチョリーニは、彼らにお決まりの、従来型の白人至上主義から距離を置く身振りについて、①彼らはリクルートの初期段階にある、②彼らは嘘をついている、と解説し、信じてはいけない、と明言していた(<a href="http://www.businessinsider.com/why-no-difference-alt-right-white-nationalism-white-supremacy-neo-nazi-charlottesville-2017-8">Business Insider</a>)。
<blockquote>
<p>
「僕らはつねに嘘をついていた」とピッチョリーニは語る。「メディアに対しては、自分たちはヘイト組織ではない、白人支持の組織(pro-white organization)だ、と。僕らは自分たちの白人としての誇りが奪われたと感じているのだ、と。それはすべて印象操作だった。閉じられたドアの裏側では、優越性と権力、自分たちのようでない人々を抹殺することが一切だったのだから。」
</p>
</blockquote>
<p>
ピッチョリーニの発言は、特定のゲームやオンライン・ゲーム全般を非難するようなものではなく、むしろプラットフォームが利用されることについてプレイヤーも運営会社側もしばしば無防備・無関心であることを警告するものだ。記事がスレッドの反応を紹介しているように、多くのプレイヤーはその手の不穏な言動を目にしていながら、リクルート経路になっているとまでは理解しないわけである。
</p>
<p>
なお、AMA では、ネオナチ・パンク・バンドの過去を持つミュージシャンでもあるピッチョリーニが、「僕の知られてはいけない秘密は、The Clash(左翼のバンドだ)が、永遠の最愛のバンドであったということだ。」と書き込む、微笑ましい(?)一幕も見られた。
</p>Unknownnoreply@blogger.com0tag:blogger.com,1999:blog-9024776797757966364.post-71905165294715946132018-06-20T00:53:00.000+09:002018-11-15T02:56:43.579+09:00【ベスト・オブ・YouTube】場面転換の正しい活用法<head>
<meta name="description" content="YouTube の厳選動画をコメントなしで紹介。ゲーム『The Last of Us Part II』の予告編から余計な場面をカット。">
</head>
<p>
YouTube の厳選動画をコメントなしで紹介。
</p>
<p align="center">
<iframe width="480" height="270" src="https://www.youtube.com/embed/DRw-9EJAWJc" frameborder="0" allow="autoplay; encrypted-media" allowfullscreen></iframe>
</p>
<p align="center" style="font-size: small;">
The Last of Us 2 trailer but it's just the nice kiss | Tristan Cooper<br />
「『The Last of Us 2』の予告編、でも素敵なキスだけ」
</p>Unknownnoreply@blogger.com0tag:blogger.com,1999:blog-9024776797757966364.post-40047608439776229802018-06-17T22:37:00.000+09:002018-06-18T23:41:30.992+09:00『Fallout 76』に登場する「カムデン・パーク」とは?<head>
<meta name="description" content="Bethesda Game Studiosによる『Fallout 76』の舞台はウエスト・ヴァージニア。ローカル・ニュースは「カムデン・パーク」の登場に興奮。観光効果にも期待?">
</head>
<h5>戦いが終わり、死の灰が収まったとき</h5>
<div class="separator" style="clear: both; text-align: center;"><a href="https://blogger.googleusercontent.com/img/b/R29vZ2xl/AVvXsEjYfqxaWkbneFBM3jnuzqLod50nY7Hblumy_K6OUcQom2nO0snGTvfks_iDx9MBvrbE674Si8OLybgmrszJjxlU1y_WcISeQQRz_lvlUwb95Eu_CBAstsd1ekYFs2aNxG3ABqjlmQzfqu4/s1600/Camden+Park.jpg" imageanchor="1"><img border="0" src="https://blogger.googleusercontent.com/img/b/R29vZ2xl/AVvXsEjYfqxaWkbneFBM3jnuzqLod50nY7Hblumy_K6OUcQom2nO0snGTvfks_iDx9MBvrbE674Si8OLybgmrszJjxlU1y_WcISeQQRz_lvlUwb95Eu_CBAstsd1ekYFs2aNxG3ABqjlmQzfqu4/s1600/Camden+Park.jpg" data-original-width="800" data-original-height="450" width="480" height="270"/></a></div>
<p>
Bethesda Game Studios による発売予定のゲーム『Fallout 76』。
</p>
<p>
E3では、先行予告でカバー曲“Take Me Home, Country Roads”によって仄めかされていた通りウエスト・ヴァージニア州が舞台であること、スタジオ初の完全なオンライン・ゲームであること、2018年11月14日のリリースを予定していること、などが明かされた(<a href="https://youtu.be/hPlpOIfFbWI">動画</a>)。
</p>
<a name='more'></a>
<p align="center" style="font-size: x-small;">
<iframe width="480" height="270" src="https://www.youtube.com/embed/M9FGaan35s0" frameborder="0" allow="autoplay; encrypted-media" allowfullscreen></iframe>
</p>
<p align="center" style="font-size: x-small;">
Fallout 76 – Official E3 Trailer
</p>
<p>
また、E3後に公開された、クラウドファンディングによるドキュメンタリー・シリーズ <a href="https://youtu.be/gi8PTAJ2Hjs">Noclip</a> の取材に対して、
</p>
<ul>
<li>
「登場する人間はすべて他のプレイヤー」という原則から過去作のようなレイダー(盗賊)は登場せず、代わりに、人間性をほぼ失っているが銃を扱う知性はある“Scorched”(「焼け焦げた」の意)と呼ばれるグール集団が登場する
</li>
<li>
”Scorch Beast”と呼ばれる翼の生えた巨大モンスターを駆除するために核ミサイルの使用が要され、マップに散りばめられた核攻撃コードの入手と、コードを使っての施設からのミサイル発射、そして、それにより汚染されたエリアの探索、というサイクルがゲームプレイの肝となる
</li>
</ul>
<p>
など、いくつかの要素が、制作舞台裏とともに、スタジオ・メンバーの口から明かされている。
</p>
<p>
…というのがゲーム・ニュース的な話であるが、地元民的には、「カムデン・パークが!?」というのと、「モスマン、出るの?」というのが、熱いらしい。
</p>
<h5>「あんたら、本当に深入りしたね!」</h5>
<p>
ローカル・テレビ各局は、記者をカムデン・パーク(Camden Park)前に派遣し、カムデン・パーク登場の興奮を人々に語らせている。
</p>
<div class="separator" style="clear: both; text-align: center;"><a href="https://blogger.googleusercontent.com/img/b/R29vZ2xl/AVvXsEgq3KpktrxhBubouG3zDg__5IrCdBw7wUMsrAhjtfWjETLmTjmTik5frAK7U58biqg1PpxSBRx_vSBZ8TqNn-SZmDE0hJ8rkDCJ0fw2AAhEDQur9RSTmMHE9dB2rolvo9bnUiFoLuJw-C4/s1600/wv_local_news.jpg" imageanchor="1" style="margin-left: 1em; margin-right: 1em;"><img border="0" src="https://blogger.googleusercontent.com/img/b/R29vZ2xl/AVvXsEgq3KpktrxhBubouG3zDg__5IrCdBw7wUMsrAhjtfWjETLmTjmTik5frAK7U58biqg1PpxSBRx_vSBZ8TqNn-SZmDE0hJ8rkDCJ0fw2AAhEDQur9RSTmMHE9dB2rolvo9bnUiFoLuJw-C4/s1600/wv_local_news.jpg" data-original-width="480" data-original-height="414" /></a></div>
<p align="center" style="font-size: x-small;">
<a href="http://www.wowktv.com/news/local-news/in-depth-how-west-virginia-will-transform-into-a-virtual-world/1232824110">WOWKTV.COM</a>
</p>
<p>
「予告編〔訳注:デモ映像〕でカムデン・パークを見たときは、『あんたら、本当に深入りしたね!』って感じだったよ。よくある類いの表層的な扱いじゃないのさ」(<a href="http://www.wowktv.com/news/local-news/in-depth-how-west-virginia-will-transform-into-a-virtual-world/1232824110">地元出身ゲーム・ジャーナリスト</a>)
</p>
<p>
「ここのTシャツを買いたいという人たちからの電話を受けています。ゲームに登場するからです」(<a href="http://wchstv.com/news/local/interest-in-wv-growing-because-of-fallout-76-video-game">カムデン・パーク従業員</a>)
</p>
<p>
ということで、予習のために、現実のカムデン・パークの映像(2017年撮影)を紹介しておこう。
</p>
<p align="center">
<iframe width="480" height="270" src="https://www.youtube.com/embed/Js_oWZSqhMY" frameborder="0" allow="autoplay; encrypted-media" allowfullscreen></iframe>
</p>
<p align="center" style="font-size: x-small;">
Camden Park July 2017 Park Footage | Coaster Studios
</p>Unknownnoreply@blogger.com0tag:blogger.com,1999:blog-9024776797757966364.post-65374272707483938202018-06-13T01:09:00.000+09:002018-06-13T01:25:59.098+09:00【ゲーム予告】『Sable』:メビウス風の砂漠を探索<head>
<meta name="description" content="2018年E3の注目作『Sable』は、Japanese Breakfast の音楽に乗ってメビウス風の砂漠を探索する内省的なオープンワールド・ゲーム。">
</head>
<p align="center">
<iframe width="480" height="270" src="https://www.youtube.com/embed/KJFQhEY9udE" frameborder="0" allow="autoplay; encrypted-media" allowfullscreen></iframe>
</p>
<p align="center" sytle="font-size: x-small;">
Sable - E3 2018 Announcement Trailer | Raw Fury
</p>
</p>
<p>
今年のE3で公開されたインディー・ゲーム『Sable』(開発元 Shedwork、販売元 Raw Fury)の予告編。
</p>
<p>
<a href="https://www.shed-works.co.uk/">開発元公式サイト</a>の紹介文:
</p>
<blockquote>
<p>
『Sable』は、美しくレンダーされたオープンワールドの砂漠の探索を通じた発見からなる成長物語です。若きセーベル〔訳注:単語“sable”は「クロテン」の意〕として未知の惑星をめぐる深く個人的な旅に乗り出しましょう。太古のモニュメントや、廃墟となった建造物、宇宙から墜落した船を探索し、その居住者たちの歴史を学ぶことで、世界の中の彼女の居場所を見つけるのです。
</p>
</blockquote>
<a name='more'></a>
<p>
同作については、今回の予告編発表に先立ち、<a href="https://twitter.com/ShedworksGreg">デザイナー</a>がツイッター上で制作中の映像をGIFアニメーションとして公開しており、メビウスのグラフィックノベルや『風の谷のナウシカ』を思わせるようなアート・スタイルと世界観が早くから注目を集めていた(<a href="https://twitter.com/i/moments/971351000635314176">その一部はモーメントにまとめられている</a>)。
</p>
<p>
今回の予告編では、同作のサウンドトラックを女性インディー・ポップ・アーティストの Japanese Breakfast(ジャパニーズ・ブレックファスト)ことミシェル・ザウナーが手掛けていることが明らかとされた。予告編で流れているのは、<a href="https://twitter.com/Jbrekkie/status/1006318469615415296">このために書き下ろされたという</a>新曲の“Glider”。</p>
</p>
<p>
Japanese Breakfast も同作のGIFに<a href="https://twitter.com/Jbrekkie/status/995316620766703616">「このアート!」とツイッター上で反応を示していた</a>一人で、ゲーム好き・アニメ好きで知られる彼女のことなので(<a href="http://subcultureplus.blogspot.com/2017/09/japanese-breakfast-rpg.html">関連記事「Japanese Breakfast がレトロな短編RPGを無料リリース」</a>)、とくに意外な印象を受けなかったが、これはささやかな仄めかしだったようだ。
<p>
『Sable』は、2019年にPC(Mac および Windows)と家庭用ゲーム機(特定されず)で発売予定。
</p>Unknownnoreply@blogger.com0tag:blogger.com,1999:blog-9024776797757966364.post-47253096620648038562018-05-30T01:01:00.000+09:002018-09-01T10:53:42.776+09:00【海外記事紹介】「メディアの説明責任を求めるイーロン・マスクのキャンペーンは、彼がセックス・カルトと疑われる団体と結びついたニュース・サイトを勧めるまでの3日間にわたって続いた」(Slate)<head>
<meta name="description" content="自動運転車事故と、生産工場での事故隠しが報じられるテスラのイーロン・マスクがツイッター上でメディア批判を展開し、セックス・カルトの運営するフェイク・ニュース・サイトの記事をシェア。">
</head>
<h5>セックス・カルト運営のフェイク・ニュース・サイト</h5>
<div class="separator" style="clear: both; text-align: center;"><a href="https://blogger.googleusercontent.com/img/b/R29vZ2xl/AVvXsEi2E7AL5SeRnsCeNzEkfxk4_-jiCeM4Phn-tBM4WNXdi1jcvOBJHKy58VhGBO3Ms483hwQfGyEkKN98Z7sREFtE5ECk3xbenVKxAraGJ2APWQxuyuSWzEHRr6obPhc3HocWoBsJAJuruJg/s1600/elonmusktweet.jpeg" imageanchor="1"><img border="0" src="https://blogger.googleusercontent.com/img/b/R29vZ2xl/AVvXsEi2E7AL5SeRnsCeNzEkfxk4_-jiCeM4Phn-tBM4WNXdi1jcvOBJHKy58VhGBO3Ms483hwQfGyEkKN98Z7sREFtE5ECk3xbenVKxAraGJ2APWQxuyuSWzEHRr6obPhc3HocWoBsJAJuruJg/s1600/elonmusktweet.jpeg" data-original-width="780" data-original-height="520" width="480" /></a></div>
<p align="center" style="font-size: x-small;">削除されたイーロン・マスクのツイート</p>
<p>
紹介するのは、タイトルが失笑を誘う Slate の記事<a href="https://slate.com/technology/2018/05/elon-musks-crusade-for-media-accountability-lasted-three-whole-days-before-he-recommended-a-news-site-affiliated-with-a-suspected-sex-cult.html">「メディアの説明責任を求めるイーロン・マスクのキャンペーンは、彼がセックス・カルトと疑われる団体と結びついたニュース・サイトを勧めるまでの3日間にわたって続いた」(Matthew Dessem, "Elon Musk’s Crusade for Media Accountability Lasted Three Whole Days Before He Recommended a News Site Affiliated With a Suspected Sex Cult", Slate, 2018/05/27)</a> 。
</p>
<a name='more'></a>
<blockquote>
<p>
批判的な報道をめぐって始められた、テスラとスペースXの最高経営責任者イーロン・マスクによる、報道機関の信用を傷つけようというキャンペーンは、土曜日に彼が The Knife というサイトの記事を、彼の挑発に対するメディアの反応についての「素晴らしい」分析として勧めた瞬間に暗礁に乗り上げた。
</p>
<p>
The Knife は、The Knife of Aristotle 〔「アリストテレスの刃」〕が改名したサイトであることが判明したのである。昨年 Paste 誌によって「The Knife of Aristotle は単なるフェイクな『フェイク・ニュース』サイトなのではない、カルトである」と単刀直入に報じられたサイトである。サイトは、この3月にリーダーのキース・ラニエールが逮捕された、セックス・カルトと疑われる団体 NXIVM(ネクセウム)とつながっている。キースの容疑は、信者に対して彼とのセックスを強要した疑いから、彼らの体に対して文字通り焼き印を入れた疑いにまで及ぶ。(NXIVM との関わりを疑われ同じく訴追されている『ヤング・スーパーマン』の女優アリソン・マックが、ツイッター上で勧誘活動を行っていたとみられている。)マスクは素早くツイートを削除したが、インターネットが忘れることはなかった。
</p>
<hr style="border:none;border-top: 2px dashed #bfbfbf;width: 90%;">
<p>
マスクがリンクした記事は、Gamergate 風のメディア批判のアプローチを唱えるもので、マスクに関するニュース報道について「偏向」「中傷」「論理」「データ」の4つのカテゴリーからなる数値的分析に基づく、科学的らしく装った「客観的採点」を与えるものだ。(たとえば、マスクのメディア批判に対するワシントン・ポストの報道は、79%の「偏向」度、83%の「中傷」度、22%の「欠陥論理」度、そして、35%の「総合的誠実性」点を与えられる。)マスクはこのアプローチがよっぽど気に入ったらしく、最初のツイートを削除した後にも擁護している。
</p>
</blockquote>
<h5>「客観性」の名のもとに</h5>
<p>
非営利組織「調査報道センター」(The Center for Investigative Reporting)のウェブ・メディア <a href="https://www.revealnews.org/article/tesla-says-its-factory-is-safer-but-it-left-injuries-off-the-books/">Reveal</a> が、テスラの生産工場での負傷事故の頻発と深刻な負傷事故隠しの疑いを報じたのが、今年4月。これを受けて、カリフォルニア州労働安全衛生局が調査に乗り出すことを発表(<a href="https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2018-04-20/P7HWXR6VDKHS01">Bloomberg日本版</a>)。半自動運転機能搭載車の死亡事故をめぐる報道も続くなか(<a href="https://www.huffingtonpost.jp/engadget-japan/tesla-20180402_a_23400573/">ハフポスト</a>)、5月24日になって、テスラの最高経営責任者イーロン・マスクは報道への不満をあらわに、「プラウダ」(Pravda)という名のメディアの信頼度を参加型で測定するサイトを立ち上げる、とツイッターに投稿した。
</p>
<blockquote class="twitter-tweet" data-lang="ja"><p lang="en" dir="ltr">Going to create a site where the public can rate the core truth of any article & track the credibility score over time of each journalist, editor & publication. Thinking of calling it Pravda …</p>— Elon Musk (@elonmusk) <a href="https://twitter.com/elonmusk/status/999367582271422464?ref_src=twsrc%5Etfw">2018年5月23日</a></blockquote>
<script async src="https://platform.twitter.com/widgets.js" charset="utf-8"></script>
<p>
「プラウダ」は「真理」を意味するロシア語で、旧ソ連共産党機関紙の名前。本気とも冗談ともつかないこのメディア攻撃が物議をかもしていた。
</p>
<p>
後段で言及されている Gamergate (ゲーマーゲート)とは、「ゲーム・ジャーナリズムにおける倫理」(ethics in gaming journalism)を求める運動を自称した悪名高いオンライン・グループ。一人の女性クリエイターに対するオンライン・ハラスメントとして始まり(<a href="http://subcultureplus.blogspot.jp/2016/08/project-tingler.html">関連記事1</a>)、反フェミニズムの右翼論客を事実上のリーダーとして活動(<a href="http://subcultureplus.blogspot.com/2017/02/altright-catholic-milo-yiannopoulos.html">関連記事2</a>)。「ゲームをしない人のための文化戦争」と評され(<a href="http://www.newrepublic.com/article/122785/gamergate-culture-war-people-who-dont-play-videogames">The New Republic</a>)、「オルタナ右翼」「オルト・ライト」(Alt-Right)台頭の先駆けとなったとも指摘される(<a href="http://www.theguardian.com/technology/2016/dec/01/gamergate-alt-right-hate-trump">The Guardian</a>)。
</p>
<p>
この Gamergate の掲げた奇妙で滑稽な要求の一つが、「客観的レビュー」なるもので、この考えによると、あたかも家電製品のスペックを列記するかのように、カテゴリーを細分化して数字を並べると、どうしたわけか客観的になるらしい。
</p>
<p>
Slate の記事は、「マスクのツイッターでのヘマは93%の客観的滑稽度を記録した」と皮肉っている。
</p>Unknownnoreply@blogger.com0tag:blogger.com,1999:blog-9024776797757966364.post-13271643862663217312018-05-27T15:16:00.000+09:002018-05-27T18:56:27.006+09:00【海外記事紹介】「Valve の最近の検閲の動きを祝う謎めいたグループを暴く」(Gamasutra)<head>
<meta name="description" content="ビジュアル・ノベル・ゲーム作者に対するSteamの「ポルノ・コンテンツ」削除通告。この動きに勝利宣言を出した、フェミニスト風のレトリックで擬装したキリスト教保守グループNCOSEとは?">
</head>
<h5>Steam の「ポルノ・コンテンツ」規制?</h5>
<div class="separator" style="clear: both; text-align: center;"><a href="https://blogger.googleusercontent.com/img/b/R29vZ2xl/AVvXsEgAEvHdJXqGb1Gro2EOc8Yp_2TXctxdqcbLcbUipRJJqv5EcQNwwNTgwfMEaUVNSRohuoOOQZkkWERzwCaGyBoJ8oWu3VN2X1NBjBsuKLuOpET_D6yn8yiWgxoOyRdMa8KjMSfPJYQ3T_E/s1600/ncose.jpg" imageanchor="1"><img border="0" src="https://blogger.googleusercontent.com/img/b/R29vZ2xl/AVvXsEgAEvHdJXqGb1Gro2EOc8Yp_2TXctxdqcbLcbUipRJJqv5EcQNwwNTgwfMEaUVNSRohuoOOQZkkWERzwCaGyBoJ8oWu3VN2X1NBjBsuKLuOpET_D6yn8yiWgxoOyRdMa8KjMSfPJYQ3T_E/s1600/ncose.jpg" data-original-width="800" data-original-height="213" width="480"/></a></div>
<p align="center" style="font-size: x-small;">
画像:National Center on Sexual Exploitation ウェブサイトより
</p>
<p>
紹介するのは、ゲーム開発者向け情報サイト Gamasutra に寄せられたコラム<a href="http://gamasutra.com/view/news/318579/Opinion_Illuminating_the_shadowy_group_celebrating_Valves_latest_censorship_drive.php">「Valve の最近の検閲の動きを祝う謎めいたグループを暴く」(Katherine Cross, "Opinion: Illuminating the shadowy group celebrating Valve's latest censorship drive", Gamasutra, 2018/05/22)</a>。性的な内容を含むビジュアル・ノベル系のゲームをめぐってゲーム配信サービス Steam 上で起きた騒動の背景を探った記事である。
</p>
<p>
今月17日、複数のビジュアル・ノベル系ゲーム開発元が、Steam の運営会社 Valve から、「ポルノ・コンテンツ」(pornographic content)に修正を加えるか、ストアからゲームを撤去するか、を迫る通告を受けたことをツイッター上で報告した。19日になって彼らは、「誤解を招いた」とする謝罪を Valve から受けたことを報告しているが、販売中のゲームに対する「再検討」(re-review)のプロセスそのものは進行中だともいう(<a href="https://www.polygon.com/2018/5/18/17368814/steam-visual-novels-nsfw-takedown-valve">Polygon</a>)。
</p>
<p>
ガイドラインに則って販売を認められていたはずのゲームに対する一方的な方針転換、『The Witcher』シリーズのような、あからさまなセックス・シーンを含む大作にそんな通告が出されている気配はない、など一貫性や透明性を欠く Valve の動きに反発が寄せられる最中、ある組織が「自分たちの2年にわたるキャンペーンの成果」と勝利宣言を出した。記事は、このフェミニスト風のレトリックで擬装した宗教保守グループについて詳細な情報を提供している。
</p>
<a name='more'></a>
<h5>擬装されたキャンペーン</h5>
以下、Gamasutra 記事より抜粋:
<blockquote>
<p>
Steam の最近の「性的に露骨なコンテンツ」に対する方針転換をめぐる物議の最中、一つの祝勝が注意をあまり引くことなく発せられた。「性的搾取全国センター」(National Center on Sexual Exploitation, NCOSE)と名乗る提唱グループがニュースに歓喜し、息を切らせるように「勝利!」を宣言したのである。
</p>
<hr style="border:none;border-top: 2px dashed #bfbfbf;width: 90%;">
<p>
NCOSE は1962年に、クリスチャンの宗派を超えた「反‐わいせつ」団体、「メディアにおける道徳」(Morality in Media)として創設された。イメージ変更戦略が取られたのは2015年のことで、あからさまな保守派キリスト教色は、目立ちにくいレトリックのなかに覆い隠されるようになったのである。彼らは現在、自分たちの使命を「人間の尊厳を守り、性的搾取に反対する」ものと説明している。
</p>
<hr style="border:none;border-top: 2px dashed #bfbfbf;width: 90%;">
<p>
メインストリーム的な今日性を獲得しようという彼らの企ては、フェミニスト的なレトリックの取り込みにも現れている。たとえば、「私たちは、Steam が、性的暴力がはびこり常態視されている 私たちの #MeToo 文化の現状を変えるべくリーダーシップを取ろうとしていることに感謝します」といった具合に。
</p>
<hr style="border:none;border-top: 2px dashed #bfbfbf;width: 90%;">
<p>
レトリックを別とすれば、この組織は断固として右翼的なものだ。彼らは、保守派のブログやニュース組織で人気の「専門家情報源」であり、代表のパトリック・トルーマンは、第1期ブッシュ政権に仕えた人物で、彼を含む何人かの役員はカトリック教会と結びついた人々である。団体のツイッターは、他の保守派の反ポルノ活動家をプロモートしている。「ニューヨーク州におけるあらゆる物事に、生命尊重(pro-life〔人工中絶反対〕)・家族尊重(pro-family)の保守派クリスチャン的な視点を提供する」と謳うニューヨークの無名の団体 NY Families もその一つだ。NCOSE は、ポルノは州によって「公衆衛生上の危機」と宣言されるべき、という彼らのスタンスに同意しているのである。
</p>
<hr style="border:none;border-top: 2px dashed #bfbfbf;width: 90%;">
<p>
NCOSE は、ゲームにおける本物の検閲を進めようとする団体の典型だ。政治的に保守派で、財政基盤を持ち、政府や企業ロビーといった有力な諸機関とのつながりを持っている。NCOSE の場合、有力なコネを持つ役員メンバーに加えて、第2期ブッシュ政権の司法省から、「わいせつに関する苦情」を投稿するオンライン・データベースの創設にあたって助成金を受けてもいた。彼らは67,000を超える苦情を集め、司法省に提出したが、結局、一件の訴追にもいたらなかったのである。
</p>
<hr style="border:none;border-top: 2px dashed #bfbfbf;width: 90%;">
<p>
NCOSE は巧みに——そしてうんざりさせることに—— #MeToo の機運を、女性たちを傷つける右翼的なアジェンダの推進のために盗用した。現実の暴力のサバイバーたちの血や汗や涙によって勝ち取られたメインストリームの信頼のなかに自ら擬装しようとしているのである。〔……〕その過程で、皮肉にも彼らは、MeToo の名を些末な物事に結びつけることで MeToo 運動それ自体の信頼性を傷つけているのである〔……〕。
</p>
<hr style="border:none;border-top: 2px dashed #bfbfbf;width: 90%;">
<p>
NCOSE の「良識」の名による撲滅キャンペーンが、女性と性的少数者を最も傷つけることを、私たちは歴史の経験から知っている。〔……〕比較的穏やかな内容のレズビアンに関するゲーム(『Kindred Spirits on the Roof』〔『屋上の百合霊さん』〕)が「性的に露骨なコンテンツ」をめぐるモラル・パニックに飲み込まれたことに、驚くべきではないのである。
</p>
<p>
「自覚的」と見られることを望みながらも、政治的リテラシーを欠く企業は、NCOSE のような、さしさわりのない名前とありきたりの目的とを掲げるグループに騙されるかもしれない。結局、いったい誰が人間の尊厳に反対するだろう? だが、これらのグループが実際に求めていることは誰の尊厳とも一切関わりがなく、性的表現と性的労働をともに犯罪化する伝統的なジェンダー秩序の復興にこそ関わっている。テック業界の誰一人として、そんなものに関わろうとすべきではない。
</p>
</blockquote>
<h5>「ポルノ」をめぐる線引きの困難と社会的コスト</h5>
<p>
記事の著者キャサリン・クロスは、大学院で社会学を学ぶフェミニストのゲーム批評家。彼女は、<a href="http://gamasutra.com/view/news/318836/Opinion_So_you_want_to_talk_about_porn_on_Steam.php"> Gamasutra へのもう一つの寄稿</a>では、『Analogue: A Hate Story』(2012)、『Ladykiller in a Bind』(2017)で知られるビジュアル・ノベル・ゲーム作者のクリスティン・ラブ(Christine Love)のコメントを紹介している。ラブは、自身の作品に対して通告を受けなかったものの、この動向に懸念を表明している。
</p>
<blockquote>
<p>
ここで最悪なのは、これが自分たちの作品を検閲したりできないクリエイターに対して不釣り合いに影響を及ぼすことだと思う。もし性的なテーマを表層的にだけ扱って、簡単に取り除くことができるようなゲームを作るのが安全で、セクシュアリティがゲームにとって不可分な要素で単純にパッチで取り除いたりできないようなゲームを作るのが安全でないのだとしたら、それは、ゲームを今以上に表面的なセクシー・コンテンツに向かわせる、倒錯した結果をもたらすでしょう。
</p>
</blockquote>
<p>
著者キャサリン・クロスの観点は、「ポルノ」禁止論は「ポルノ」を定義することの不可能性に直面せざるをえない、というものである。エロティック・アートに対する文化的な批判は不可欠だが、ポルノ禁止論は可否以前に、何が「ポルノ」かをめぐるカテゴリーの泥沼にはまりこみ、そこでまた、性をめぐる表現の可能性を狭めるような、安易な狙い撃ちがなされるようになるのである。
</p>
<blockquote>
<p>
一人の批評家として、私が HunieDev のゲームに軽蔑のまなざしを向けたくなることはあるかもしれないが(そして実際、彼らが Valve の動きを「ワイフ・ホロコースト」と名付けた事実は状況をよくするものではない)、とはいえ、彼らがプラットフォームから消えることを望む理由はない。
</p>
<hr style="border:none;border-top: 2px dashed #bfbfbf;width: 90%;">
<p>
ビジュアル・ノベル『屋上の百合霊さん』は、長い物語のなかにわずかなセックスしか含まないにもかかわず、Valve の検閲の動きにつかまった。明らかに、乳房の露出が、Valve のパターナリズムを招いたのである。このゲームも「再検討」(re-review)を受けている最中である。
</p>
<p>
『百合霊さん』の Steam レビューの一つは、こうしたゲームを禁止することには社会的なコストが伴うことを明らかにしている。
</p>
<p style="margin-left: 15px">
なんてこった、買って損なし。自分はどちらかというと保守派なのだけれど(このビジュアル・ノベルはレズビアンの関係に焦点を当てている)、このビジュアル・ノベルが青少年の恋愛について多くのことを教えてくれると認めなければいけない。自分は最近になって自分の世界についての見方を疑おうとしているのだけれど(同性愛など)、こういうビジュアル・ノベルは本当によい足がかりになっている。これだけは言わせて欲しい、エンディングが素晴らしい。
</p>
</blockquote>Unknownnoreply@blogger.com0tag:blogger.com,1999:blog-9024776797757966364.post-13952755633015741152018-05-17T00:21:00.001+09:002018-05-17T00:21:44.491+09:00【動画】Mitski - "Geyser"<head>
<meta name="description" content="Mitskiの新曲“Geyser”のミュージック・ビデオ。監督は、“Your Best American Girl”(2016年)のビデオを手掛けていたジア・アンガー(Zia Anger)。">
</head>
<p align="center">
<iframe width="480" height="270" src="https://www.youtube.com/embed/3zdFZJf-B90" frameborder="0" allow="autoplay; encrypted-media" allowfullscreen></iframe>
</p>
<p align="center" style="font-size: x-small;">
Mitski - Geyser (Official Video)
</p>
<p>
Mitski(ミツキ)の新曲“Geyser”のミュージック・ビデオ。8月17日発売のアルバム『Be the Cowboy』より。
</p>
<p>
監督は、“Your Best American Girl”(2016年)のビデオを手掛けていたジア・アンガー(Zia Anger)。
</p>
<p align="center">
<iframe width="480" height="270" src="https://www.youtube.com/embed/u_hDHm9MD0I" frameborder="0" allow="autoplay; encrypted-media" allowfullscreen></iframe>
</p>
<p align="center" style="font-size: x-small;">
Mitski - Your Best American Girl (Official Video)
</p>Unknownnoreply@blogger.com0tag:blogger.com,1999:blog-9024776797757966364.post-33432875671421296882018-04-10T20:13:00.000+09:002018-04-11T21:33:45.908+09:00【海外記事紹介】「『レディ・プレイヤー1』におけるスティーヴン・スピルバーグの無自覚で、ゾッとするようなポップ・カルチャー・ノスタルジア」(The New Yorker)<head>
<meta name="description" content="スティーヴン・スピルバーグ監督『レディ・プレイヤー1』は、ポップ・カルチャーへのノスタルジアを通して、ヒップホップもパンクもパティ・スミスも存在しない80年代を捏造する、ホラー映画。">
</head>
<h5>精神的ゾンビたちのホラー映画</h5>
<p>
紹介するのは、The New Yorker のかなり痛烈な記事<a href="https://www.newyorker.com/culture/richard-brody/steven-spielbergs-oblivious-chilling-pop-culture-nostalgia-in-ready-player-one">「『レディ・プレイヤー1』におけるスティーヴン・スピルバーグの無自覚で、ゾッとするようなポップ・カルチャー・ノスタルジア」(Richard Brody, "Steven Spielberg’s Oblivious, Chilling Pop-Culture Nostalgia in 'Ready Player One'”, The New Yorker, 2018/04/02)</a>。
</p>
<p>
アメリカでは2018年3月29日に公開され、日本でも4月20日に公開予定のスティーヴン・スピルバーグ監督のSF映画『レディ・プレイヤー1』(<i>Ready Player One</i>)。《仮想現実「オアシス」を舞台に、少年が仲間たちとともに巨大企業に立ち向かい、世界を救う》という冒険物語風のこの映画をめぐっては、その不穏なディストピア的な性格が指摘されている(<a href="http://subcultureplus.blogspot.com/2018/03/ready-player-one.html">関連記事「『レディ・プレイヤー1』:現実世界の破滅に声援を送る」</a>)。ここで「ディストピア的」というのは、物語の舞台となる世界が荒廃している、という意味においてではなく(その意味でのディストピアは意図されている)、作者たちによって自覚されていない荒涼とした精神風景がそこに広がっている、という意味においてである。
</p>
<p>
The New Yorker 記事は、この映画を「ホラー映画」と評し、物語の中核にあるポップ・カルチャーへのノスタルジアに、すなわち、物語内の仮想現実「オアシス」の創造主ジェームズ・ハリデーと、映画の作者スピルバーグとが二重写しとなって繰り広げられる過去への偏愛にグロテスクなものが潜んでいるのだ、と指摘する。
</p>
<a name='more'></a>
<h5>カウンターカルチャーが消された宇宙</h5>
<p>
以下、The New Yorker 記事より抜粋:
</p>
<blockquote>
<p>
スティーヴン・スピルバーグ監督の『レディ・プレイヤー1』は、ビデオゲームを中心に据えたディストピアを舞台とするティーン冒険物語などではない。ホラー映画である。その魂を数世代にわたる公式的な文化製品の制作者たちによって喰い尽くされ、ポップ・ノスタルジアとして吐き戻された、精神的ゾンビたちについての映画なのだ。企業による専制支配に対する抵抗の物語として描かれているこの映画は、実のところ、死ぬほど愉しませることで、そのえじきとなる人々の思考を支配する、快活な全体主義的略奪者によって繰り返される暴政をめぐる物語なのである。そして映画の息苦しい恐怖は、その事実へのスピルバーグの無自覚さによって倍増されている。
</p>
<hr style="border:none;border-top: 2px dashed #bfbfbf;width: 90%;">
<p>
80年代と90年代の子供であるハリデーは、彼の子供時代の強迫的な愛着を半世紀も引きずり、それを21世紀半ばのポップ・カルチャーの中核へと変容させた。『レディ・プレイヤー1』に織り込まれた何十、もしかすると何百というポップ・カルチャーへの言及は、ときに愛想のよいウインクとともに駆け抜け、ときにビッグフットのようにノシノシと歩き回り〔……〕、病理的で人工的なこだま効果を作り出している。すなわち、重要であったものではなく売れたものを中心に置いた視野狭窄的な20世紀後半像を強化するオタク的なトレンドの楽園である。ハリデーの——そしてスピルバーグの——夢想する70、80、90年代の世界とは、スパイク・リーやジム・ジャームッシュやリジー・ボーデンやジョン・カサヴェテスやコーエン兄弟はおろか、マーティン・スコセッシやフランシス・フォード・コッポラもいない時代なのである。それは、ヒップホップのない、パンクのない、パティ・スミスのいない80年代なのだ。ウェイドの2045年の世界にはカウンターカルチャーは存在せず、そして、「オアシス」の空想上の世界にもまたカウンターカルチャーや芸術的オルタナティヴは存在しないのである。
</p>
<hr style="border:none;border-top: 2px dashed #bfbfbf;width: 90%;">
<p>
映画におけるノスタルジアのアイコンは、グロテスクなゾンビのカーニバルを、実体・歴史・つながりを奪われたアイコンの画一的なぶちまけ状態を形づくっている。『サタデー・ナイト・フィーバー』に基づいたダンス・コンテストがまばゆいダンス・フロアのライトとともに登場するが、そこには何の物語も伴わない。映画にあった民族ギャング間の抗争や、中絶をめぐる葛藤、強姦をめぐるドラマは存在しないのだ。『レディ・プレイヤー1』が描くのは、スピルバーグと彼の映画以上にクールであったり大胆であったり意識的であったりするアーティストと主題とをきれいに除去した、改変された宇宙なのである。そして、ゾッとすることに、一枚岩の仮想現実とその原動力であるノスタルジアは、映画におけるディストピア的世界観の専制的な側面や恐るべき側面としては描かれないのである。ハリデーは、あたかも彼の若き日の偏愛対象を取り戻そうとするかのように、若き精神的クローンたちの世界を創り出し、自分たちの現在への関心を空っぽにされた彼らクローンたちの精神は、ハリデーの強迫的な愛着によって埋められているのだ。
</p>
</blockquote>
<p style="font-size: small;">
(最終更新2018/04/11 ※表記不統一の訂正)
</p>
<hr>
<p>
<b>【関連記事】</b>
</p>
<p>
<a href="http://subcultureplus.blogspot.com/2018/03/ready-player-one.html">「『レディ・プレイヤー1』:現実世界の破滅に声援を送る」</a>
</p>
Unknownnoreply@blogger.com0tag:blogger.com,1999:blog-9024776797757966364.post-54311603001724975982018-03-31T23:23:00.000+09:002018-04-11T21:34:00.345+09:00『レディ・プレイヤー1』:現実世界の破滅に声援を送る<head>
<meta name="description" content="『レディ・プレイヤー1』において、現実世界はもはや修復不可能なまでに壊れており、主人公たちは仮想世界を救う旅に終始する。海外批評の紹介。">
</head>
<h5>(現実じゃない)世界を救う英雄の旅</h5>
<p>
スティーブン・スピルバーグ監督の映画『レディ・プレイヤー1』(<i>Ready Player One</i>)は、人々が仮想現実「オアシス」へと現実逃避する荒廃した2045年の未来で、「オアシス」の創設者の遺産をめぐり、17歳の少年が仲間たちとともに、世界支配をもくろむ巨大企業と争奪戦を繰り広げる物語である。2011年発表のアーネスト・クラインによる同名SF小説の映画化(原作は『ゲームウォーズ』の題で邦訳)。アメリカでは3月29日に公開され、日本でも4月20日に公開予定だ。
</p>
<p align="center">
<iframe width="480" height="270" src="https://www.youtube.com/embed/BlTCXShunpI" frameborder="0" allow="autoplay; encrypted-media" allowfullscreen></iframe>
</p>
<p align="center" style="font-size: x-small;">
映画『レディ・プレイヤー1』予告 | ワーナー ブラザース 公式チャンネル
</p>
<p>
1980年代をはじめとするポップ・カルチャーへの参照が物語においても宣伝においても中心に置かれている本作。
</p>
<a name='more'></a>
<ul>
<li>参照先が、権利の都合上、主にワーナーのカタログから構成されているのは許すとして、それにしてもポップ・カルチャーは2018年で突如として凍結してしまったの?</li>
<li>ゲーム内の死がそのキャラクターに費やしたすべてを失うことを意味するのに、みんながアバターを豪華に着飾ってるなんて、未来の世代は搾取的なDLCに寛大になったの?</li>
<li>ってか、なぜ路上でVRセットをする人々が?</li>
</ul>
<p>
といったツッコミとともに(<a href="http://www.dorkly.com/post/86188/ready-player-one-plotholes-questions">Dorkly</a>)、過去のポップ・カルチャーへの偏愛を武器に仮想世界を守る、という、一見明るい冒険物語の根幹にある(原作/映画がどうやら自覚的でない)ディストピア的な性格が指摘されている。
</p>
<p>
以下で、抜粋的に紹介しておこう。
</p>
<h5>現実世界の破滅に声援を送る</h5>
<p>
<a href="https://www.vox.com/culture/2018/3/29/17171778/ready-player-one-review-nostalgia-dystopia">Vox のレビュー</a>は、終盤に入るまで映画を楽しんでいたことを断ったうえで、物語が進むにつれ無視しがたくなる不協和音を指摘し、「どうして『レディ・プレイヤー1』は、私たちに現実世界の破滅に声援を送ることを求めるのだろう?」と問いかけている。
</p>
<blockquote>
<p>
冒険映画における(そして、偶然ではないことに、ゲームにおける)主人公たちが、世界の運命が自分たちにかかっていることを発見するのは、よくあることだ。だが、この映画の場合、それは現実世界の運命ではない。そっちの世界は、物語が示唆するように、とっくに修復不可能なまでに壊れているのである。唯一救う価値があるのは、「オアシス」であり、それが最終目的なのだ。
</p>
<hr style="border:none;border-top: 2px dashed #bfbfbf;width: 90%;">
<p>
映画の最初のほうのショットは、ウェイドの住む、積み重なったトレイラーハウスをパンで映す。それぞれのトレイラーハウスのなかには、VRゴーグルをつけて、「オアシス」のなかでゲームをプレイしたり闘ったりしているためにやや滑稽な印象を与える人物の姿がある。
<p>
これは、私が映画で見てきたなかで最も怖ろしい光景の一つであった。というのも、私たちが現在暮らす世界とわずかな段階の差しかないからである。それはまるで『ブラック・ミラー』からのシーンのようである。すなわち、人々が輝かしいテクノロジーに目を奪われてしまい、人間生活に関わる物事を完全に無視する世界なのだ。
</p>
<hr style="border:none;border-top: 2px dashed #bfbfbf;width: 90%;">
<p>
私にとっては、これははっきりとディストピア的に映る。その世界が荒廃しているからではなく、誰もそれを直そうなどと思わなくなっているからである。
</p>
<hr style="border:none;border-top: 2px dashed #bfbfbf;width: 90%;">
<p>
だが、『レディ・プレイヤー1』は自らを、世界を救おうとする勇敢で決意に満ちた英雄たちの物語、として提示する。世界といっても、物質世界で起きている現実に関わることから彼らを遠ざけてくれる仮想世界のことなのだが。
</p>
<hr style="border:none;border-top: 2px dashed #bfbfbf;width: 90%;">
<p>
映画の終わりまでに、この奇妙な不協和音に対する唯一の譲歩は、時にはヘッドセットを外して現実世界と実際に関わるのはよいことかもしれない、という声明めいたものとしてやってくる。仮想世界における不正義が現実世界における不正義とひょっとしたら重なり合うかもしれないことを考えたり、問題を解決しようとしたりする、ということはないのである。〔……〕これは、勇敢なティーンエイジャーが、大人たちの引き起こした問題を実際に解決する多くのヤングアダルト・フィクションと、歴然とした対照をなしている。
</p>
<p>
仮にこれが10代の少年の視点から語ることを選んだ物語なのだとしても、『ブラック・ミラー』的なシナリオを(壊れたものとして修理することではなく)維持することに私たちが声援を送るよう物語が求めている、という事実を避けて通ることは相変わらず困難だ。これは風刺ではないし、警鐘でもないのである。英雄の旅だとされているのである。その終わりに何ら問題を解決しない英雄の旅なのだ。
</p>
</blockquote>
<h5>本当に意味のあるものを見つけることが出来る場所</h5>
<p>
あるいは、<a href="http://www.cracked.com/blog/what-ready-player-one-tells-us-about-toxic-fandom/">「『レディ・プレイヤー1』が有害なファンダムについて私たちに教えること」と題された Cracked のコラム</a>は、私たちはもはや、オタク・カルチャー(geek culture)への執着を無邪気に描いていた2011年の原作小説と同じ時代を生きていないのではないか、という見解を提示している。
</p>
<p>
「オタクであることがとうとうクールになった」という楽天的な感覚は過去のもので、何かしらのファンであることだけを自身のアイデンティティとする一部の熱狂的なファン層の存在が、「オタクである<i>だけ</i>でいることは、全くに有毒とまではいわなくても、空疎であり得る」ことを悟らせてしまった、というのである。そして、申し訳程度とはいえ、物語が展開とは別の教訓を語っていたことを指摘する。
</p>
<blockquote>
<p>
ティーンエイジャーの主人公、ウェイドが、半世紀も前の過去のポップ・カルチャーに取りつかれているのは、彼がたまたま Atari 2600 〔訳注:1977年発売のアタリ社製のゲーム機〕に出会ったからではないことは記しておく価値がある。彼の人生が仮想現実を中心に回っているのは、彼の現実世界に救いがないからだ。彼の両親は死亡し、貧困がはびこっているために、彼は過密状態のトレーラーハウスに暮らしている。彼は健康な食品を買うお金がないために肥満で、彼には運動をしようなどという動機を感じられないし、教育システムは腐っている、などなど。2044年〔訳注:原作の設定〕はディストピアで、ポップ・カルチャーについての百科事典的な知識を集めることは彼にとっての現実逃避なのである。
</p>
<hr style="border:none;border-top: 2px dashed #bfbfbf;width: 90%;">
<p>
もしあなたが、ゲームであれ、『ゲーム・オブ・スローンズ』であれ、コミックであれ、銃であれ、ケモナー(furries)であれ、アニメであれ何であれ、現代のファンダムに目をやるならば、あなたは二種類の人々を見つけるだろう。一方に、趣味をストレス発散として楽しみ、週末に「ダンジョンズ&ドラゴンズ」を友人たちと楽しんだり、寝る前の1時間を、ナイルズが神とヤる『スーパーナチュラル』/『そりゃないぜ!? フレイジャー』のファン・フィクションの執筆に費やしたりする人々がいる。だがもう一方に、アイデンティティ全体をファンダムを中心に形成する少数派のファンたちがいる。『Overwatch』のスキルやアニメについての博識に自尊心を求める類の人々だ。
</p>
<hr style="border:none;border-top: 2px dashed #bfbfbf;width: 90%;">
<p>
彼らがそうなった理由がなんであれ、無害な大多数と、自分たちの趣味に対するいかなる批判をも彼らの愛するもの一切への個人的攻撃として受け止める熱狂的なごく一部の集団とのあいだには線が引ける。その一線を越える人々は、たいていの場合、彼らのうちで何かが壊れているのである。
</p>
<hr style="border:none;border-top: 2px dashed #bfbfbf;width: 90%;">
<p>
彼らは彼らの生活がぼろぼろに崩れ落ちるなかで単に逃避しているだけではない。彼らは誰かがそれを指摘しようものなら、激しく食ってかかるのである。なぜなら、批判されたのは、彼らの頭のなかでは、ゲームではなく、彼らのアイデンティティ、ということになるからだ。
</p>
<hr style="border:none;border-top: 2px dashed #bfbfbf;width: 90%;">
<p>
原作が、度を越したファンダムの有害な影響をほとんど軽んじているのは事実だ。それが、今日、その物語があまりに単純に見える理由である。
</p>
<hr style="border:none;border-top: 2px dashed #bfbfbf;width: 90%;">
<p>
だが、『レディ・プレイヤー1』の結末には、無視されてきた重要な教訓も含まれている。このイースターエッグ探しを用意したハリデーは、勝者への遺言を用意しており、そこで彼は、現実を無視するな、なぜなら現実は、怖ろしく、君を傷つけるものであったとしても、君が本当に意味のあるものを見つけることが出来る唯一の場所なのだから、と告げるのである。
</p>
<hr style="border:none;border-top: 2px dashed #bfbfbf;width: 90%;">
<p>
この物語の最後の教訓は、人々がタイラー・ダーデン〔『ファイト・クラブ』〕や、ウォルター・ホワイト〔『ブレイキング・バッド』〕、スカーフェイス〔『スカーフェイス』〕のことをインスピレーションを与えてくれるカッコイイ存在と未だに考えるのと同じ理由で、見過ごされてきた。私たちは、私たちの消費する文化の教訓を忘れる傾向にあるのだ。物語の結びに用意される教訓は、それらに先立つクールなシーンに比べて記憶に残らないことが多い。とりわけ、その教訓が「僕らが物語全体を通して君たちにたっぷり見せてきたばかりのカッコイイことをするのは、悪いことだよ!」というものであるときには。
</p>
</blockquote>
<p style="font-size: small;">
(最終更新2018/04/01 ※引用中、物語の舞台を「2044年」と述べた箇所に対し「『2045年』の誤り」と訳注をつけていましたが、映画ではなく原作への言及であったため訂正。)
</p>
<hr>
<p>
<b>【関連記事】</b>
</p>
<p>
<a href="http://subcultureplus.blogspot.com/2018/04/ready-player-one-nostalgia.html">「『レディ・プレイヤー1』におけるスティーヴン・スピルバーグの無自覚で、ゾッとするようなポップ・カルチャー・ノスタルジア」</a>
</p>Unknownnoreply@blogger.com0tag:blogger.com,1999:blog-9024776797757966364.post-62413487627782703502018-03-25T00:37:00.000+09:002018-03-25T19:48:56.117+09:00「ベッドはびしょ濡れだ」:『Far Cry 5』の「おしっこテープ」ミッション<head>
<meta name="description" content="「ベッドはびしょ濡れだ、繰り返す、ベッドはびしょ濡れだ」 アメリカを舞台にキリスト教カルトと闘うゲーム『Far Cry 5』に、ドナルド・トランプ大統領の「おしっこテープ」疑惑が登場?">
</head>
<h5>「あのお方の特別指令」</h5>
<p>
日本時刻では3月29日に発売予定の『Far Cry 5』(Ubisoft)。アメリカ合州国モンタナ州を舞台とするこのオープンワールド・アクション・ゲームに、ドナルド・トランプ大統領の「おしっこテープ」(Pee Tape)疑惑を仄めかすミッションが登場するそうだ。
</p>
<p>
「おしっこテープ」とは、元MI6諜報員クリストファー・スティール(Christopher Steele)によるプーチン・ロシアとトランプとの関係をめぐる調査報告によって存在が示唆された盗撮記録。トランプ氏がモスクワのホテルの一室で、娼婦たちにベッドに向かって「ゴールデン・シャワー」(放尿)させているところをロシア当局に盗撮されていた、というもの(報告書は2016年に複数の報道機関と諜報機関に提供されていたが、2017年1月に<a href="https://www.buzzfeed.com/kenbensinger/these-reports-allege-trump-has-deep-ties-to-russia">Buzzfeed</a> が全文公開に踏み切った)。
</p>
<p>
アメリカのゲーム情報サイト <a href="https://www.polygon.com/2018/3/23/17157154/far-cry-5-trump-pee-tape-patriot-acts-mission">Polygon</a> によると、問題のテープが登場するのは、「愛国的行為」(Patriot Acts)と名付けられたサイド・ミッション。「あのお方」(the Big Man himself)の指令で送られてきたスペシャル・エージェントを名乗る男(シリーズ過去作に登場するCIAエージェント)が、「国に尽くす準備はあるだろうな?」と切り出して、プレイヤーにミッションを与える。
</p>
<a name='more'></a>
<p align="center">
<iframe width="480" height="270" src="https://www.youtube.com/embed/AkHVTBruicA" frameborder="0" allow="autoplay; encrypted-media" allowfullscreen></iframe>
</p>
<blockquote>
<p>
俺は、あのお方直々の特別指令でここに送られてきたのだ。なんてこった、ちくしょう! そう口にするだけで、俺は半分勃起しちまうぜ!
</p>
</blockquote>
<p>
エージェントは、プレイヤーに「もし公開されることがあれば、あの方の世間的評判を悪くするおそれのあるテープ」を回収する任務への協力を依頼し、見返りとして、ゲームの悪役であるカルト集団「エデンズ・ゲート」との闘いに国が乗り出すことを約束する。
</p>
<blockquote>
<p>
国のためにこの任務を果たせ、そうすれば、国が君のカルト問題とやらを君のために解決するだろう。
</p>
</blockquote>
<p>
テープの内容が明らかにされることはないが、エージェントは無線交信機に向かって、「ベッドはびしょ濡れだ、繰り返す、ベッドはびしょ濡れだ」と謎めいた暗号を用い、プレイヤーに向かって、「これは汚れ仕事(wetworks)ではない。監視に徹しろ。指示のないかぎり、標的とは交戦するな」と説く。そして、この標的は、スイートルーム客のプライバシーを詮索した元ホテル従業員なのだと語られる。
</p>
<p>
回収したテープを手渡すと、エージェントは、「悪いが、もっと重要な仕事があるんでな」と、カルト問題への協力の約束をあっさり裏切り、去って行く。
</p>
<h5>「発売を中止せよ」</h5>
<p>
アメリカを舞台に白人男性の率いるキリスト教カルトを悪役としたシリーズ最新作は、プロットの詳細が定かでない制作発表当初から、ネット上で保守派グループの反発を招き、change.org には「内容を変更しないかぎり発売を中止せよ」と求める署名活動まで投稿された(<a href="https://www.change.org/p/ubisoft-cancel-far-cry-5">Cancel Far Cry 5</a> ※参考:<a href="https://mic.com/articles/178747/the-backlash-to-far-cry-5-is-pure-hypocrisy-and-its-time-to-stop#.5wrPrXGh5">Mic</a>)。「悪役をイスラムにしろ」「クリスチャンだとしても、黒人とメキシコ系の割合を増やせ」という、パロディともつかない、あからさまで滑稽な要求だが、少なくとも、この署名に表明されているタイプのバックラッシュそのものは、冗談ではなく現実に存在している。同じ Ubisoft のゲーム『Watch Dogs 2』(2016)が黒人青年を主人公としたことに対しても、似たようなバックラッシュが繰り広げられたのである(<a href="http://www.thejimquisition.com/watch-dogs-2-and-the-steam-users-who-hate-black-people/">Jimquisition</a>)。
</p>
<p>
火に油、もといトランプ支持者に小便を注ぐサイド・ミッションといったところか。
</p>
<p align="center">
<iframe width="480" height="270" src="https://www.youtube.com/embed/wVbwQ_I5QA0" frameborder="0" allow="autoplay; encrypted-media" allowfullscreen></iframe>
</p>
<p align="center" style="font-size: x-small;">
Far Cry 5 – Story Trailer
</p>
<hr>
<p>
<b>【関連記事】</b>
</p>
<p>
<a href="http://subcultureplus.blogspot.jp/2017/10/wolfenstein-no-more-nazis.html">「オルト・ライトを怒らせているゲーム、『Wolfenstein 2』」</a>
</p>
<p>
<a href="http://subcultureplus.blogspot.com/2017/02/altright-catholic-milo-yiannopoulos.html">「マイロ・ヤノプルス、カトリック的な罪の意識の有力な唱道者」</a>
</p>Unknownnoreply@blogger.com0tag:blogger.com,1999:blog-9024776797757966364.post-5740350494528283312018-03-24T01:52:00.001+09:002018-03-25T21:08:15.132+09:00【ゲームの英語】『Watch Dogs 2』:“Going dark is no longer an option.”<head>
<meta name="description" content="『Watch Dogs 2』オープニングより。“go dark”とは、コミュニケーション・ネットワーク(≒監視網)から姿を消すこと。">
</head>
<h5>あなたとあなたの生み出すデータ</h5>
<p>
本日のフレーズ:
</p>
<blockquote>
<p>
You are now less valuable than the data you produce. This is the new reality. Going dark is no longer an option.
</p>
</blockquote>
<p align="right">
(<i>Watch Dogs 2</i>, Ubisoft, 2016)
</p>
<p align="center">
<iframe width="480" height="270" src="https://www.youtube.com/embed/pKlmdnrqNbc" frameborder="0" allow="autoplay; encrypted-media" allowfullscreen></iframe>
</p>
</p>
<p>
ハッカーを主人公とするオープンワールド・ゲーム・シリーズの第2作『Watch Dogs 2』(ウォッチドッグス2)より。
</p>
<a name='more'></a>
<p>
“go dark”というのは「信号が消える」「連絡が途絶える」といった意味で用いられるが、常時接続の今日では、仕事に集中したり休暇を楽しんだりするために「メールやソーシャル・メディアを〔一時的に〕絶つ」行為を指しても使われる。コミュニケーション・ネットワーク(≒監視網)から姿を消す、ということである。あるいは、もう少し特殊な用語としてFBIは、コミュニケーション・サービスとテクノロジーの変化が警察機関による監視や証拠集めを困難にしていることを「ゴーイング・ダーク問題」と呼ぶ(<a href="https://www.fbi.gov/services/operational-technology/going-dark">FBI</a> ※参考:<a href="https://wired.jp/2012/05/09/fbi-seeks-internet-backdoors/">Wired 日本版</a>)。
</p>
<p>
“no longer”は「もはや…ではない」という否定表現。“no longer an option”(もはや選択肢ではない)は、それ自体慣用表現といえる。
</p>
<p>
私的訳文:
</p>
<blockquote>
<p>
今や、あなたはあなたが生み出すデータよりも価値がない。これが、新しい現実。姿を消すという選択肢はもはや存在しない。
</p>
</blockquote>
<h5>「サイバーパンクっぽい戯言」な現実</h5>
<p>
もう少し長めに引用してみよう。
</p>
<blockquote>
<p>
Big Brother no longer works alone. Thousands of little brothers monitor and aggregate your every move, building a complete digital profile of YOU, to be bought, sold or stolen in an instant. Toys study your children, reporting their playing habits back to marketers. Appliances, consoles and home security systems give corporations a window into your private life. Control of your vehicle and mobile device can now be breached remotely by anyone, at any time. You may think that you are immune or underestimate the risks, but your digital shadow is already compromised. Insurance companies use algorithms to monitor your life habits and limit or deny coverage. Health providers determine if your cancer is worth treating. Search results and news feeds are skewed to bias mood and influence your vote, engineering social uprising on a massive scale. You are now less valuable than the data you produce. This is the new reality. Going dark is no longer an option.
</p>
<p>
「ビッグ・ブラザー」はもはや単独では機能しない。何千何万ものリトル・ブラザーがあなたのあらゆる動きを監視・集約して「あなた」の完璧なデジタル・プロファイルを作り、瞬時に買われ、売られ、盗まれるものにしている。 オモチャはあなたの子どもたちを観察し、子どもたちの遊びの習性をマーケティング立案者たちに報告している。電気器具、制御端末、家庭用セキュリティ・システムは、あなたの私生活へののぞき窓を企業に与えている。あなたの乗り物やモバイル・デバイスの操作は、いつ、誰によっても遠隔侵入され得る。あなたは自分は影響を受けないと思い、リスクを過小評価するかもしれない。だが、あなたのデジタル・シャドウは、すでに誰かの手に渡っている。保険会社はアルゴリズムを使ってあなたの生活習慣を監視し、適用を制限し、あるいは拒否する。医療機関は、あなたのガンが治療に値するかどうかを決定する。検索結果とニュース・フィードは、バイアスを植えつけてあなたの投票行為に影響すべく歪められており、大規模な社会的動乱を画策している。今や、あなたはあなたが生み出すデータよりも価値がない。これが、新しい現実。姿を消すという選択肢はもはや存在しない。
</p>
</blockquote>
<p>
なんというか、「サイバーパンクっぽい戯言」である。だが、問題は、私たちが実際、「サイバーパンクっぽい戯言」な現実を生きている、ということだ。
</p>
<p>
この3月、イギリスのビッグ・データ会社「ケンブリッジ・アナリティカ」の内部告発がニュースとなった。のちにドナルド・トランプの側近とドナーになるスティーヴ・バノンとロバート・マーサーに売り込んで立ち上げられたこの企業が、約5000万人もの Facebook ユーザーのデータを不正に入手し、2016年の米大統領選でトランプ陣営の選挙戦に活用していた実態が、これに関わったデータ・サイエンティストの口から明かされたのである。
</p>
<p align="center">
<iframe width="480" height="270" src="https://www.youtube.com/embed/Q91nvbJSmS4" frameborder="0" allow="autoplay; encrypted-media" allowfullscreen></iframe>
</p>
<p align="center" style="font-size: x-small;">
The Cambridge Analytica exposé: everything you need to know | The Guardian
</p>
<p>
膨大な個人情報の収集を可能にしたのは、アプリを利用している本人だけでなく、その友人の情報までを収集可能にするというアプリの存在だが、話の肝は、これがハッキングなどでなく、Facebook に許可を得てデータを収集していたケンブリッジ大学教授から横流しされたものである、というところ。このデータから、誰にどこでどのくらいの頻度でどのようなメッセージを送ることで意見を左右できるか、というプロパガンダのための心理的プロファイルを編み出した、というのが、内部告発者の語るストーリーだが、根っこにあるのは、《いくらでも起きていそうな杜撰な流出》というショボい話でもある。
</p>
<p>
そんな Facebook に個人情報を自ら提供してしまう個々人がいて、それを横流しする最低な研究者がいて、それを文化戦争・政治闘争の武器とみなすバノンとマーサーがいて、もしかするといくらかはその結果、トランプ大統領がいる、というのだから、私たちは思いっきりウンコなバージョンのサイバーパンクを生きているのだろう。
</p>
<h5>「エイデン・ピアースはクソ野郎だ!」(いや、本当に)</h5>
<p>
ウンコといえば、『Watch Dogs』の一作目は、主人公が周りに被害をもたらすだけの最低なクソ野郎であること、そしてゲームがなぜかそれをクールでストイックなヒーローだと勘違いしていること、で悪名高い。
</p>
<a href="https://youtu.be/nw9cwOcdqs4">Errant Signal:</a>
<blockquote>
<p>
これだけははっきりさせておこう。このゲームは、登場する数々のトピックの何一つについて何ら意味のある批評や洞察を持ち合わせていない。監視国家についてでも、情報文化についてでも、現代世界におけるハッカーの存在についてでも、Facebook のようなツールを通した自発的なプライバシーの喪失についてでも、ビッグ・データと予測的アルゴリズムについてでもないのである。〔……〕このゲームは、いっぱいの「いや、そうでもない」(not really)に留まって終わる。「バットマンだ!」(いや、そうでもない)「サイバーパンクだ!」(いや、そうでもない)「プライバシーと監視についての批評だ!」(いや、そうでもない)「新しいゲームだ!」(いや、そうでもない) ただ、唯一例外がある。「エイデン・ピアースはクソ野郎だ!」(いや、本当に)
</p>
</blockquote>
<p>
二作目『Watch Dogs 2』には明らかに改善の努力が見られる。オープニングから、主人公マーカスの存在がそれを印象付けている。
</p>
<p>
<a href="http://www.thejimquisition.com/Watch-dogs-2-review/">Jimquisition:</a>
</p>
<blockquote>
<p>
マーカスは、死んだ家族の復讐を誓う Ubisoft にありきたりの主人公ではない。〔……〕彼はポップ・カルチャー・オタクで、気取ったお調子者で、理想主義的なハクティヴィストである。要するに、まさに『Watch Dogs』が最初から必要としていたタイプの主人公なのだ。
</p>
</blockquote>
<div class="separator" style="clear: both; text-align: center;"><a href="https://blogger.googleusercontent.com/img/b/R29vZ2xl/AVvXsEjgOuhWLDpsTBucaY7c0TWcscctK1UqnM-l3oBE5IqFqHIst2SFN09cGmJmzkk1SdMkuM3HbaUWyzXN7UkIfwBV_bA1uYhKq_0umF0kjAMqau2ozHXsrR5quJdnDP5hj8qbeGrY-TVomw8/s1600/watchdogs2_dedsec.jpg" imageanchor="1"><img border="0" src="https://blogger.googleusercontent.com/img/b/R29vZ2xl/AVvXsEjgOuhWLDpsTBucaY7c0TWcscctK1UqnM-l3oBE5IqFqHIst2SFN09cGmJmzkk1SdMkuM3HbaUWyzXN7UkIfwBV_bA1uYhKq_0umF0kjAMqau2ozHXsrR5quJdnDP5hj8qbeGrY-TVomw8/s1600/watchdogs2_dedsec.jpg" data-original-width="960" data-original-height="540" width="480" height="270" /></a></div>
<p>
サンフランシスコの街が色鮮やかな舞台を用意し、マーカスとハッカー集団「DedSec」の仲間たちが、ストーリーをシリアスに受け止め過ぎないユーモラスなタッチを作品に与える一方で、肌の色を以て人口グループを潜在的犯罪者として扱う、いわゆるレイシャル・プロファイリング(racial profiling)の存在が語られるなど、この二作目からは、「監視社会」という雰囲気だけの御託を超えて、権力と抵抗について何かしらを語ろうとしているのがうかがえる。
</p>
<p>
ただ、『Watch Dogs 2』は、根本において『Grand Theft Auto』スタイルのオープン・ワールド・ゲームでもある。あなたは、開始早々に車かバイクを盗み、遅かれ早かれ通行人を轢き殺し、ゲーム・システムが勧めるままに人々の端末にハッキングし、通行人の金を盗み、警備員たちを陥れ、交通事故を誘発し、そしてお好みの銃で銃撃戦を演じることになる。カットシーンのマーカスはお調子者の好青年かもしれないが、あなたのプレイするマーカスは、お調子者ではすまない、力の濫用者となるのである。
</p>
<p align="center">
<iframe width="480" height="270" src="https://www.youtube.com/embed/2GIVVsTKTLg" frameborder="0" allow="autoplay; encrypted-media" allowfullscreen></iframe>
</p>
<p align="center" style="font-size: x-small;">
Watch Dogs 2 – Launch Trailer [US] | UbisoftUS
</p>
<p>
(2018/03/25最終更新 ※誤字修正)
</p>Unknownnoreply@blogger.com0