ドン・デリーロ『ホワイト・ノイズ』の映画化が進行中

 アメリカ現代文学の巨匠ドン・デリーロ(Don Delillo)の代表作『ホワイト・ノイズ』(1985)の映画化企画が進行中らしい。
 Variety 誌の報道によると、ユーリ・シンガー(Uri Singer)の BB Film Productions が同作の映画化権を取得し、イーサン・ホーク主演の『ハムレット』(2000)などで知られる映画監督のマイケル・アルメレイダ(Michael Almereyda)が脚色に着手する予定だという。シンガーとアルメレイダはプロデューサーと監督として、「ミルグラム実験」を題材にした映画『Experimenter』(2015、日本未公開)でコンビを組んでいる。

 デリーロ作品の映像化には、これまでに、デリーロの脚本をマイケル・ホフマンが監督した『ライフ・イズ・ベースボール』(2005)のほか、小説を原作とするデヴィッド・クローネンバーグ監督『コズモポリス』(2012)、ブノワ・ジャコ監督『ネヴァー・ネヴァー』(2016、原題“À jamais”原作『ボディ・アーティスト』)がある。と、書いてる私は『コズモポリス』しか見ていないが・・・。


映画『コズモポリス』予告編

 また、直接の映画化ではないが、『ホワイト・ノイズ』絡みで言えば、『ホワイト・ノイズ』と『マオ2』(1991)というデリーロの二作品を引用しながら航空機ハイジャックの歴史を資料映像から語る、『Dial H-I-S-T-O-R-Y』(1997、日本未公開だと思う)という風変りなドキュメンタリー映画がある。


Dial H-I-S-T-O-R-Y - Trailer

 デリーロ自体、日本では知名度が今一つな印象で、『ホワイト・ノイズ』は集英社から単行本で翻訳が出たっきり絶版のようだが、ノーベル文学賞候補と噂される大作家の名を世に知らしめた作品である。私自身も、指折りの衝撃を受けた小説として記憶していて、ニュースを読んで早速再読してみたくなった。
 映画が公開される頃には、文庫化でもされるだろうか? 映画が日本に来なかったら何も始まらないが・・・。