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【無料本】サラ・ジョン『ゴミのインターネット』

インターネットにおける「ゴミ」とは?

 ジャーナリスト、サラ・ジョン(Sarah Jeong)の著書 The Internet of Garbage(『ゴミのインターネット』)の改訂版が無料公開されている。2015年に発表されたオンライン・ハラスメントについてのノンフィクションである。公開しているのは、彼女がライターを務めるテクノロジー系サイト The Verge で、PDF、ePUB、mobi の形式でダウンロード可能だ(The Verge のダウンロード・ページ

 同書の根幹にあるのは、「言論の自由」をめぐる問題としてフレームされやすいヘイトスピーチやオンライン・ハラスメントは、むしろカテゴリー的にはスパムに近いものであり、「ゴミ」の問題としての対応が要される、という洞察だ。あらゆるオンライン空間は、「ゴミ」の問題に何らかのかたちで対応してきたのである。

【海外記事紹介】「児童虐待者、レオナルド・ダ・ヴィンチ」(Splice Today)

 紹介するのは、ノア・バーラツキー(Noah Berlatsky)の短い記事「児童虐待者、レオナルド・ダ・ヴィンチ」("Leonardo da Vinci, Abuser", Splice Today, 2017/12/29)

 2017年10月に刊行された、ウォルター・アイザックソン(Walter Isaacson)による600ページを超えるレオナルド・ダ・ヴィンチの伝記(Leonardo da Vinci, Simon & Schuster, 2017)が、事実としては認識しながらその含意を軽視している伝記的事実について論じたもの。

 プロデューサーのハーヴェイ・ワインスタイン、俳優ケビン・スペイシーといったハリウッドの大物によるセクハラ・性的虐待に対する告発の波をもたらした”#metoo”運動との重なり合いの中で、虐待の事実を前にダ・ヴィンチをどう描くべきか、という問いは、単なる過去の問題ではないことを示唆している。

 以下、記事より抜粋。

【海外記事紹介】「オルト・ライトは、ニーチェのダメな読みに心酔している。ナチスもそうであったように」(Vox)

 紹介するのは、Voxの記事「オルト・ライトは、ニーチェのダメな読みに心酔している。ナチスもそうであったように」(Sean Illing, "The alt-right is drunk on bad readings of Nietzsche. The Nazis were too." Vox, 2017/08/17)。「オルト・ライト」「オルタナ右翼」(Alt-Right)を自称するネットに軸足を置いた極右グループは、かつてのナチスがそうであったように、頭の悪い読み方をされたバージョンの哲学者ニーチェ(1844-1900)に勝手に心酔してうぬぼれている、というお話。

 アメリカの白人至上主義者についての記事だが、「ニーチェに影響を受けた」と自称する人々の約8割から9割が、誰も相手にする必要のないアホである(※出典不要)理由も示唆してくれる。

【海外記事紹介】「ロシアの隣国ウクライナは、アメリカの何年も前から『フェイク・ニュース』とハッキングに悩まされてきた」(Snopes)

 紹介するのは、アメリカのファクト・チェック・サイト、Snopes.com のニュース記事「ロシアの隣国ウクライナは、アメリカの何年も前から『フェイク・ニュース』とハッキングに悩まされてきた」(Bethania Palma, "Russia’s Neighbor Ukraine Besieged by ‘Fake News’ and Hacking Years Before United States", 2017/06/27)

 6月27日に欧米の政府機関や企業がランサムウェアを用いた大規模なサイバー攻撃に晒されたが、被害の中心はウクライナであり、そこから被害が広まった、と目されている(朝日新聞2017/06/29)。攻撃者の正体や動機は依然として不明であるが、直後からロシア政府機関の関与が疑われており、その疑いの背景には、ウクライナに対するさまざまな形でのサイバー戦争、というこれまでの経緯が関わっている。

『困った時のロジャー・ストーン』×『部屋の中にいる象』

アメリカ政治を変えた男


映画『困った時のロジャー・ストーン』:ロジャー・ストーン(右)とアレックス・ジョーンズ(中央)

 5月にネットフリックスで公開されたドキュメンタリー映画『困った時のロジャー・ストーン』(Get Me Roger Stone, 2017)は、ネットフリックスに登録しているなら必見の作品だ。

【海外記事紹介】「歴史家ティモシー・スナイダー曰く、トランプがクーデターと民主主義の転覆を試みようとするのは『ほとんど避けがたいことである』」(Salon)

 紹介するのは、Salonの記事「歴史家ティモシー・スナイダー曰く、トランプがクーデターと民主主義の転覆を試みようとするのは『ほとんど避けがたいことである』」(Chauncey DeVega, "Historian Timothy Snyder: 'It’s pretty much inevitable' that Trump will try to stage a coup and overthrow democracy", Salon, 2017/05/02)。日本でも『ブラックアース』(慶應義塾大学出版会)、『ブラッドランド』(筑摩書房)の訳書がある、イェール大学の歴史学教授ティモシー・スナイダー(Timothy Snyder)へのインタビューをまとめた記事(私自身は聴いていないが、インタビューそのものもポッドキャストとして公開されている)。スナイダーは、ベストセラーとなっている新著『専制について:20世紀からの20の教訓』(On Tyranny: Twenty Lessons from the Twentieth Century, Tim Duggan Books, 2017)を下敷きに、アメリカの民主主義は専制への転落の危機状況にある、という持論を語っている。

ジョン・ロンソン『ルポ ネットリンチで人生を壊された人たち』で少し気にかかった訳語:「男性人権運動」

 ジョン・ロンソン『ルポ ネットリンチで人生を壊された人たち』(夏目大訳、光文社新書、2017年〔原著2015年〕)は、とても面白い本だ。ネットリンチの各事例もさることながら、炎上でグーグルはどれくらい儲けているのか、群衆論の元祖ギュスターヴ・ル・ボンは最低な人間、映画『es』(2002)の元ネタ実験は相当に胡散臭いかもしれない、暴力と恥の感情の関係、などなど興味深い話題を飛び回って、あっという間に500ページを読み進んでしまう。1200円(税抜)。

 ただ、一点、訳文で少々気にかかったくだりがある。

トランピネス vs. オバマケア

アメリカがどうもまずいことになっていると大衆が意識しだしたのは、二〇〇五年であったろう。コメディアンのスティーヴン・コルベアが真実っぽさ(truthiness)という新語を広めた年だった。この言葉は、政治家が合理性、証拠、さらには事実に基づいた議論に代わって、むやみに感情や「勘」に訴えるようになってきている現状を評したものだ。コルベアが示した定義によれば、ある主張が「真実っぽい」のは、たとえ厳密には真実でないとしても、真実だと感じられるときである。彼が当時のインタビューで語ったように、感情はいまや客観的真理に勝利したのだ。「かつては誰しもに自分の意見を持つ権利が認められていた。自分の事実を持つ権利ではなかった。だが、もはやどうでもいいことだ。事実がどうであってもかまわない。認識こそがすべてなのだ」
(ジョセフ・ヒース『啓蒙思想 2.0』栗原百代訳、
NTT出版、2014年、p.5)

【海外記事紹介】「ポスト真実という誤謬」(Jacobin)

「僕は、この狂った世界のなかでようやく偽りのないものを見つけたと思っていた。だけど、いまになって、すべては嘘だった、と理解したわけだ」僕が厳かに認めた。
「すべてではないよ」と、ユニコーンが僕を安心させる。「嘘なのは、君の保守派の友人がソーシャル・メディアに投稿するイカれた陰謀論だけさ」

(Chuck Tingle, Fake News, Real Boners

 紹介するのは、アメリカの左翼雑誌Jacobinの記事「ポスト真実という誤謬」(Rune Møller Stahl & Bue Rübner Hansen, "The Fallacy of Post-Truth", Jacobin, 2016/12/14)
 アメリカ大統領選でのドナルド・トランプ共和党候補の勝利後、この結果にショックを受けたリベラル派のあいだで、「SNSの影響」「フェイク・ニュースの蔓延」といった話題とともに、「もはや政治において事実が無視される『ポスト真実』(post-truth)すなわち『真実以後』の時代に突入したのだ」といった診断が流行していることに対して、「事実の時代なんてものが一体いつあったというのか?」と異論を唱えている。その上で記事は、「事実に依拠したマネジメント的な政治」という発想こそが現実離れした空想であり、トランプ的なものと対決するためには、オルタナティヴを提示する本来の意味での「政治」の復活こそが問われている、と説く。

[2016/11/01更新]Kindle Unlimited の印象とオススメ本


【更新】(2016/10/01)
記事の下のほうに追記したように、読み放題対象タイトルの大幅な消去を確認。利用者が振り回される状況が続きそうなので、「今のところ、おすすめできる」という評価を取り消します。

【更新2】(2016/11/01)
大量撤去の落胆を打ち消すほどではないが、追記をもう一つ付け加えたように、改善の兆しも感じられるので、期待したい。


 サービス開始からやや遅れて利用を始めたが、Amazon Kindle Unlimited を一ヶ月無料で試してみての感想は、「本が探しにくい」の一言に尽きる。品揃えにも満足とは言いがたいが、そもそもの品揃え自体が分かりにくいのである。

 では、使えないのかと言うと、そんなこともない。

【海外記事紹介】「『ハドソン川の奇跡』で、クリント・イーストウッドは英雄を政治の武器にしてしまっている」(The Guardian)

Stephen Cass, "Sullied: with Sully, Clint Eastwood is weaponizing a hero"(The Guardian, 2016/09/12)

 クリント・イーストウッド監督の映画『ハドソン川の奇跡』(原題Sully)は、「ハドソン川の奇跡」と呼ばれた、2009年に起きたUSエアウェイズのジェット機のハドソン川への不時着水を題材にした、いわゆる「実話もの」だ。トム・ハンクスが、離陸直後にエンジン機能を失ったジェット機を乗員乗客無事に不時着させた機長チェズレイ・“サリー”・サレンバーガーを演じている。

ビッグ・データのダークサイドとは? キャシー・オニール『数学破壊兵器』書評の拾い読み

 自分で読んでいない本を紹介するのは、無責任かつ怠惰な行いなのだが、書評やインタビューを各所で見かけて興味深く思ったので、キャシー・オニールによる話題の書『数学破壊兵器:ビッグ・データはどのようにして不平等を拡大しデモクラシーを脅かすか』(Cathy O'Neil, Weapons of Math Destruction: How Big Data Increases Inequality and Threatens Democracy, Crown, 2016)について、SF作家コリー・ドクトロウの書評より抜粋して紹介しておく。そのうち邦訳も出るのではないだろうか?

【書評】辻田真佐憲『楽しいプロパガンダ』

 アメリカでいま、アメリカン・フットボール選手コリン・キャパニック(Colin Kaepernick)の国歌演奏に対する起立拒否が物議をかもしている。国内における人種差別への抗議の意思表明として、試合前の国歌演奏時に起立を拒み、ベンチに座り続けるキャパニック選手の行為が、賛否を呼んでいるのだ[1]

 コメディアンのスティーブン・コルベア(Stephen Colbert)が、これについておもしろいコメントをしている[2]

Zoë Quinn と Chuck Tingle によるゲーム“Project Tingler”

Vice Gaming Meets Zoë Quinn

 Vice のビデオで、インディー・ゲーム・クリエイターのゾーイ・クイン(Zoë Quinn)が、制作中のゲームについて語った。ゲイ・ポルノ作家チャック・ティングル(Chuck Tingle)とのコラボレーションによるフル・モーション・ビデオ(FMV)の恋愛シミュレーション・ゲームである(“Project Tingler”と仮称されている)。