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【無料本】サラ・ジョン『ゴミのインターネット』

インターネットにおける「ゴミ」とは?

 ジャーナリスト、サラ・ジョン(Sarah Jeong)の著書 The Internet of Garbage(『ゴミのインターネット』)の改訂版が無料公開されている。2015年に発表されたオンライン・ハラスメントについてのノンフィクションである。公開しているのは、彼女がライターを務めるテクノロジー系サイト The Verge で、PDF、ePUB、mobi の形式でダウンロード可能だ(The Verge のダウンロード・ページ

 同書の根幹にあるのは、「言論の自由」をめぐる問題としてフレームされやすいヘイトスピーチやオンライン・ハラスメントは、むしろカテゴリー的にはスパムに近いものであり、「ゴミ」の問題としての対応が要される、という洞察だ。あらゆるオンライン空間は、「ゴミ」の問題に何らかのかたちで対応してきたのである。

憎悪の言語:アレックス・ジョーンズが笑えないワケ

 昨日の映画『Assassination Nation』紹介記事に関連して、映画に劣らず怖い現実世界のサンプルを少々。

 現代アメリカの右翼的なパラノイアといえばこの人、ネット陰謀論番組「InfoWars」のホスト、アレックス・ジョーンズ(Alex Jones)。以下は、トランプ大統領就任一周年目の1月20日に抗議の意思表明として全米各地で再び行われた「女性たちの行進」(Women's March)をめぐって、「デモ参加者を逮捕しろ!」と彼が絶叫しているくだりを実際のデモの光景とミックスした風刺動画だが、「もはや笑えない」とのコメントが寄せられている。

 あからさまなでっち上げや自己矛盾にもかかわらず、そこで展開されている「奴らは我々を殺しに来る」「奴らは地上のクズだ」「軍を出動させろ」という憎悪のロジック(?)は「笑えない」のである。

【海外記事紹介】「陰謀論を研究するリベラルの学者が、いかにして右翼の陰謀論の標的となったか」(The New Yorker)

 紹介するのは、The New Yorker の記事「陰謀論を研究するリベラルの学者が、いかにして右翼の陰謀論の標的となったか」 (Andrew Marantz, "How a Liberal Scholar of Conspiracy Theories Became the Subject of a Right-Wing Conspiracy Theory", The New Yorker, 2017/12/27)

 日本でも訳書の多い著名な法学者キャス・サンスティーン(Cass Sunstein)が Fox News や InfoWars といった右派メディアの繰り広げる陰謀論の標的となった経緯が語られている。

「アメリカで最も危険な男」になるまで

 以下、長いが、記事より抜粋:

【海外記事紹介】「『A Gray State』:死にいたる自らの狂気への転落を撮影した右翼の陰謀論者」(Salon)

自らのパラノイアを記録する男

 Salon に「『A Gray State』:死にいたる自らの狂気への転落を撮影した右翼の陰謀論者」(Gary M. Kramer, "'A Gray State': A right-wing conspiracy theorist films his own deadly descent into madness", Salon, 2017/07/06)と題された興味深い記事が載せられていた。『A Gray State』という、今年完成されたドキュメンタリー映画に関する記事だ。ヴェルナー・ヘルツォーク監督のドキュメンタリー映画『グリズリーマン』(2005年)のプロデューサーとして知られるエリック・ネルソンが監督し、ヘルツォークがプロデューサーを務めている。

『困った時のロジャー・ストーン』×『部屋の中にいる象』

アメリカ政治を変えた男


映画『困った時のロジャー・ストーン』:ロジャー・ストーン(右)とアレックス・ジョーンズ(中央)

 5月にネットフリックスで公開されたドキュメンタリー映画『困った時のロジャー・ストーン』(Get Me Roger Stone, 2017)は、ネットフリックスに登録しているなら必見の作品だ。

【海外記事紹介】「ポスト真実という誤謬」(Jacobin)

「僕は、この狂った世界のなかでようやく偽りのないものを見つけたと思っていた。だけど、いまになって、すべては嘘だった、と理解したわけだ」僕が厳かに認めた。
「すべてではないよ」と、ユニコーンが僕を安心させる。「嘘なのは、君の保守派の友人がソーシャル・メディアに投稿するイカれた陰謀論だけさ」

(Chuck Tingle, Fake News, Real Boners

 紹介するのは、アメリカの左翼雑誌Jacobinの記事「ポスト真実という誤謬」(Rune Møller Stahl & Bue Rübner Hansen, "The Fallacy of Post-Truth", Jacobin, 2016/12/14)
 アメリカ大統領選でのドナルド・トランプ共和党候補の勝利後、この結果にショックを受けたリベラル派のあいだで、「SNSの影響」「フェイク・ニュースの蔓延」といった話題とともに、「もはや政治において事実が無視される『ポスト真実』(post-truth)すなわち『真実以後』の時代に突入したのだ」といった診断が流行していることに対して、「事実の時代なんてものが一体いつあったというのか?」と異論を唱えている。その上で記事は、「事実に依拠したマネジメント的な政治」という発想こそが現実離れした空想であり、トランプ的なものと対決するためには、オルタナティヴを提示する本来の意味での「政治」の復活こそが問われている、と説く。