ポール・バーホーベン監督、『スターシップ・トゥルーパーズ』リブート企画を酷評 「トランプ大統領時代にうってつけ」

 『ロボコップ』(1987)『スターシップ・トゥルーパーズ』(1997)でおなじみのオランダ出身の映画監督ポール・バーホーベンが、今月に製作が発表されたばかりの『スターシップ・トゥルーパーズ』のリブート企画についてコメント。ロバート・A・ハインラインの原作小説『宇宙の戦士』(Starship Troopers, 1959)により忠実な映画化を目指しているといわれるリブート企画をアメリカ大統領選の結果と絡めて皮肉った。16日にニューヨークのリンカーン・センター映画協会で行われた同作主演のキャスパー・ヴァン・ディーンとのトーク・セッション中の発言。

 Indie Wireの記事より

「記事で読んだところによると、リメイク版の制作チームは、もっと原作小説に立ち返ったものをやろうとしているらしい。もちろんだが、私たちは、原作小説からできるかぎり遠ざかろうと実に大変な努力をしたんだ。なぜって、私たちは原作小説をファシスト的で軍国主義的なものと感じたからだ」と、バーホーベン。「原作小説に帰る、ってのは、トランプ大統領時代にうってつけだろうさ」
「私たちの哲学は(ハインラインの本とは)全然違うものだった。私たちは二重の物語(a double story)をやりたかったんだ。若い男女が闘うすごくワクワクする冒険物語をやりつつ、しかし同時に、これらの人々が実際には、心のうちで、それと知ることもなしに、ファシズムへの道を歩んでいる、ということを示したかった」バーホーベンはそう語った。

 なお、バーホーベン自身の言葉遣いに従って、「リメイク」(remake)と「リブート」(reboot)を混在させたままとしたが、ニュアンスの違いを確認すると、元となる作品を作り直す、というわりと単純な意味の「リメイク」(再制作)に対して、「リブート」(再起動)はシリーズ展開されてきたものなどを作風や設定などを刷新して一から作り直す、といった意味で用いられる。展開や解釈の改変はどちらでも普通だが、後者の場合、「再起動」、つまり、連続性を一旦切る、という側面に強調が置かれており、とくにシリーズものについて多く用いられる、という印象。
 『スターシップ・トゥルーパーズ』の場合、原作自体がもともと有名な原作モノなので、「リメイク」に該当するか微妙なところだが、バーホーベン流の風刺的解釈を取っ払ってもう一回シリーズを作る、という意味で「リブート」といえるのだろう。