【海外記事紹介】「リチャード・スペンサーの人種主義のエリート的なルーツ」(Jacobin)

 「トランプの大統領選勝利を支えたのは、『オルト・ライト』(Alt-right)ではなく、『キリスト教右派』だ」という別サイトの記事の紹介を書いたあとで、こちらを読んで「ふむ」と思ったので、紹介。Jacobinの記事「リチャード・スペンサーの人種主義のエリート的なルーツ」(Michael Phillips, "The Elite Roots of Richard Spencer’s Racism", Jacobin, 2016/12/29)

 タイトルのリチャード・スペンサーとは、少し前から英語圏ネット上の雑多な極右グループによって自称の語として用いられている「オルト・ライト」(Alt-right, オルタナ右翼)なる語の考案者とされる人物。2016年米大統領選におけるドナルド・トランプへの熱狂的支持によってグループの存在に注目が集まり、トランプ勝利後の演説会で「ハイル・トランプ!」とナチスを模して叫んだスペンサーの名も大きく報じられた(The Atlantic)。

【海外記事紹介】「キリスト教右派なくして、トランプ大統領はなかった:その見返りに彼らは何を求めているのか?」(AlterNet)

 「トランプの勝因」みたいなものにあんまり関心がないと言うと、こんな記事を書いたりもしたので、ちょっと欺瞞めいてしまうのだが、一般投票で300万票近く負けていた彼のきわどい当選は、なにか突発的な新しい事態や新たなトレンドというより、いくつかの中長期的なトレンドの歪な結節点のようなものとして論じられるべきものであろう、と思う。AlterNetの記事「キリスト教右派なくして、トランプ大統領はなかった」(Jason Wilson, "Without the Christian Right, There'd Be No President Trump: What Do They Want in Exchange?", AlterNet, 2016/12/18)は、その際の重要なトピックを正面から取り上げている。すなわち、話題としては何の目新しさもない、しかし政治的には重要な、「キリスト教右派」(Christian right)という存在である。

【海外記事紹介】「ポスト真実という誤謬」(Jacobin)

「僕は、この狂った世界のなかでようやく偽りのないものを見つけたと思っていた。だけど、いまになって、すべては嘘だった、と理解したわけだ」僕が厳かに認めた。
「すべてではないよ」と、ユニコーンが僕を安心させる。「嘘なのは、君の保守派の友人がソーシャル・メディアに投稿するイカれた陰謀論だけさ」

(Chuck Tingle, Fake News, Real Boners

 紹介するのは、アメリカの左翼雑誌Jacobinの記事「ポスト真実という誤謬」(Rune Møller Stahl & Bue Rübner Hansen, "The Fallacy of Post-Truth", Jacobin, 2016/12/14)
 アメリカ大統領選でのドナルド・トランプ共和党候補の勝利後、この結果にショックを受けたリベラル派のあいだで、「SNSの影響」「フェイク・ニュースの蔓延」といった話題とともに、「もはや政治において事実が無視される『ポスト真実』(post-truth)すなわち『真実以後』の時代に突入したのだ」といった診断が流行していることに対して、「事実の時代なんてものが一体いつあったというのか?」と異論を唱えている。その上で記事は、「事実に依拠したマネジメント的な政治」という発想こそが現実離れした空想であり、トランプ的なものと対決するためには、オルタナティヴを提示する本来の意味での「政治」の復活こそが問われている、と説く。

スタジオジブリ『海がきこえる』、ついに北米リリース

 スタジオジブリの『海がきこえる』(望月智充監督、氷室冴子原作、1993、英題“Ocean Waves”)がニューヨークのIFCセンターで今月28日から上映される。同作のアメリカでの初めての一般劇場公開となるらしい。配給会社GKIDSによると、NYに続き1月、2月に各地での上映が予定されている。同作はイギリスでは2010年に英語字幕付きDVDが出ているが、北米ではこれまでのところソフト・リリースがなく、この上映後、2017年春に北米での初めてのホームビデオ形式でのリリースともなるようだ。

全米50の州とデートする擬人化恋愛シミュレーション


Griffin and Nick Date ALL 50 STATES (with Austin Walker!) — CoolGames Inc

 ・・・というのは、実在のゲームではなくて、リスナーからの投稿をもとに「クールなゲーム」をゲストとともにその場で企画開発する、アメリカのゲーム専門サイトPolygonのポッドキャスト“Cool Games Inc”で考案された架空のゲーム。上は、YouTube動画化された傑作選より(英語)。

【映画予告】『Domain』:パンデミックに劣らず怖いSNS


Domain (2017) - Official Trailer

 パンデミックによる終末後のシェルターを舞台にSNSによって増幅される孤独・不信・恐怖を描くSFスリラー映画『Domain』(2016)の予告編。

 公式サイトよりあらすじ:

【海外記事紹介】「投資家たちはトランプがよいプレス・リリースの見返りにソフトバンクに規制上の好意を約束したと考えている:体系的な腐敗を示唆」(Vox)

 本題の記事の紹介の前に、たとえば、こういう報道。

「ソフトバンク、米で500億ドル投資へ 孫氏、トランプ氏会談で約束」(AFPBB日本語)
「ソフトバンク、米国に5.7兆円投資へ トランプ氏が『手柄』を強調」(CNN日本語)

 読み比べると、CNNの記事は見出しでトランプ氏の誇張を示唆し、「〔ソフトバンクは〕米大統領選に先立つ今年10月には、サウジアラビア政府と共同で1000億ドルの基金を設立し、世界のIT企業に投資するとの合意に達していた。」とも述べているが、会談で約束された500億ドルというのがこのトランプ勝利以前に合意済みの1000億ドルの一部なのかそれと別のものなのか、はっきりしない書き方だ。

【ゲームレビュー】『ISLANDS: Non-Places』:点在する「場所ならざる場所」

作品名:ISLANDS: Non-Places
開発元:Carl Burton
発売年:2016年
PC(Steam

 公式の紹介文には「ありふれたもの(the mundane)のなかへのシュルレアルな旅。10の風変りな環境に隠されたエコシステムを解明せよ。不思議な、しかし見慣れた光景を探索して雰囲気あふれる体験への扉を開くのだ。」とある。