【海外記事紹介】「リチャード・スペンサーの人種主義のエリート的なルーツ」(Jacobin)

 「トランプの大統領選勝利を支えたのは、『オルト・ライト』(Alt-right)ではなく、『キリスト教右派』だ」という別サイトの記事の紹介を書いたあとで、こちらを読んで「ふむ」と思ったので、紹介。Jacobinの記事「リチャード・スペンサーの人種主義のエリート的なルーツ」(Michael Phillips, "The Elite Roots of Richard Spencer’s Racism", Jacobin, 2016/12/29)

 タイトルのリチャード・スペンサーとは、少し前から英語圏ネット上の雑多な極右グループによって自称の語として用いられている「オルト・ライト」(Alt-right, オルタナ右翼)なる語の考案者とされる人物。2016年米大統領選におけるドナルド・トランプへの熱狂的支持によってグループの存在に注目が集まり、トランプ勝利後の演説会で「ハイル・トランプ!」とナチスを模して叫んだスペンサーの名も大きく報じられた(The Atlantic)。

【海外記事紹介】「キリスト教右派なくして、トランプ大統領はなかった:その見返りに彼らは何を求めているのか?」(AlterNet)

 「トランプの勝因」みたいなものにあんまり関心がないと言うと、こんな記事を書いたりもしたので、ちょっと欺瞞めいてしまうのだが、一般投票で300万票近く負けていた彼のきわどい当選は、なにか突発的な新しい事態や新たなトレンドというより、いくつかの中長期的なトレンドの歪な結節点のようなものとして論じられるべきものであろう、と思う。AlterNetの記事「キリスト教右派なくして、トランプ大統領はなかった」(Jason Wilson, "Without the Christian Right, There'd Be No President Trump: What Do They Want in Exchange?", AlterNet, 2016/12/18)は、その際の重要なトピックを正面から取り上げている。すなわち、話題としては何の目新しさもない、しかし政治的には重要な、「キリスト教右派」(Christian right)という存在である。

【海外記事紹介】「ポスト真実という誤謬」(Jacobin)

「僕は、この狂った世界のなかでようやく偽りのないものを見つけたと思っていた。だけど、いまになって、すべては嘘だった、と理解したわけだ」僕が厳かに認めた。
「すべてではないよ」と、ユニコーンが僕を安心させる。「嘘なのは、君の保守派の友人がソーシャル・メディアに投稿するイカれた陰謀論だけさ」
- Chuck Tingle, Fake News, Real Boners

 紹介するのは、アメリカの左翼雑誌Jacobinの記事「ポスト真実という誤謬」(Rune Møller Stahl & Bue Rübner Hansen, "The Fallacy of Post-Truth", Jacobin, 2016/12/14)
 アメリカ大統領選でのドナルド・トランプ共和党候補の勝利後、この結果にショックを受けたリベラル派のあいだで、「SNSの影響」「フェイク・ニュースの蔓延」といった話題とともに、「もはや政治において事実が無視される『ポスト真実』(post-truth)すなわち『真実以後』の時代に突入したのだ」といった診断が流行していることに対して、「事実の時代なんてものが一体いつあったというのか?」と異論を唱えている。その上で記事は、「事実に依拠したマネジメント的な政治」という発想こそが現実離れした空想であり、トランプ的なものと対決するためには、オルタナティヴを提示する本来の意味での「政治」の復活こそが問われている、と説く。

スタジオジブリ『海がきこえる』、ついに北米リリース

 スタジオジブリの『海がきこえる』(望月智充監督、氷室冴子原作、1993、英題“Ocean Waves”)がニューヨークのIFCセンターで今月28日から上映される。同作のアメリカでの初めての一般劇場公開となるらしい。配給会社GKIDSによると、NYに続き1月、2月に各地での上映が予定されている。同作はイギリスでは2010年に英語字幕付きDVDが出ているが、北米ではこれまでのところソフト・リリースがなく、この上映後、2017年春に北米での初めてのホームビデオ形式でのリリースともなるようだ。

全米50の州とデートする擬人化恋愛シミュレーション


Griffin and Nick Date ALL 50 STATES (with Austin Walker!) — CoolGames Inc

 ・・・というのは、実在のゲームではなくて、リスナーからの投稿をもとに「クールなゲーム」をゲストとともにその場で企画開発する、アメリカのゲーム専門サイトPolygonのポッドキャスト“Cool Games Inc”で考案された架空のゲーム。上は、YouTube動画化された傑作選より(英語)。

【映画予告】『Domain』:パンデミックに劣らず怖いSNS


Domain (2017) - Official Trailer

 パンデミックによる終末後のシェルターを舞台にSNSによって増幅される孤独・不信・恐怖を描くSFスリラー映画『Domain』(2016)の予告編。

 公式サイトよりあらすじ:

【海外記事紹介】「投資家たちはトランプがよいプレス・リリースの見返りにソフトバンクに規制上の好意を約束したと考えている:体系的な腐敗を示唆」(Vox)

 本題の記事の紹介の前に、たとえば、こういう報道。

「ソフトバンク、米で500億ドル投資へ 孫氏、トランプ氏会談で約束」(AFPBB日本語)
「ソフトバンク、米国に5.7兆円投資へ トランプ氏が『手柄』を強調」(CNN日本語)

 読み比べると、CNNの記事は見出しでトランプ氏の誇張を示唆し、「〔ソフトバンクは〕米大統領選に先立つ今年10月には、サウジアラビア政府と共同で1000億ドルの基金を設立し、世界のIT企業に投資するとの合意に達していた。」とも述べているが、会談で約束された500億ドルというのがこのトランプ勝利以前に合意済みの1000億ドルの一部なのかそれと別のものなのか、はっきりしない書き方だ。

【ゲームレビュー】『ISLANDS: Non-Places』:点在する「場所ならざる場所」

作品名:ISLANDS: Non-Places
開発元:Carl Burton
発売年:2016年
PC(Steam

 公式の紹介文には「ありふれたもの(the mundane)のなかへのシュルレアルな旅。10の風変りな環境に隠されたエコシステムを解明せよ。不思議な、しかし見慣れた光景を探索して雰囲気あふれる体験への扉を開くのだ。」とある。

【ゲームレビュー】『Orwell』:「思考」を傍受せよ

作品名:Orwell
開発元:Osmotic Studios
販売元:Surprise Attack
発売年:2016年
PC(Steam

【ゲームレビュー】『Slayer Shock』:恋するヒマのない十字架

作品名:Slayer Shock
開発元:Minor Key Games
発売年:2016年
PC(Steam

 TVシリーズ『バフィー〜恋する十字架〜』(Buffy the Vampire Slayer)を彷彿させる、ヴァンパイア・スレイヤーの女の子が主人公の一人称視点の3Dステルス・アクション・ゲーム。『Eldritch』(2013)、『Neon Struct』(2015)で好評を博したデヴィッド・ピットマン(David Pittman)とMinor Key Gamesの最新作。

ポール・バーホーベン監督、『スターシップ・トゥルーパーズ』リブート企画を酷評 「トランプ大統領時代にうってつけ」

 『ロボコップ』(1987)『スターシップ・トゥルーパーズ』(1997)でおなじみのオランダ出身の映画監督ポール・バーホーベンが、今月に製作が発表されたばかりの『スターシップ・トゥルーパーズ』のリブート企画についてコメント。ロバート・A・ハインラインの原作小説『宇宙の戦士』(Starship Troopers, 1959)により忠実な映画化を目指しているといわれるリブート企画をアメリカ大統領選の結果と絡めて皮肉った。16日にニューヨークのリンカーン・センター映画協会で行われた同作主演のキャスパー・ヴァン・ディーンとのトーク・セッション中の発言。

 Indie Wireの記事より

「トランプは本当に大統領になりたかったのか?」問題

Photo: The Concourse

「ドナルド・トランプは一度として大統領になろうとなんて思っていなかった」

トランプ勝利が意味するものは「民主主義にとっての災難」・・・トランプ氏曰く?

 紹介を書こうかな、と思っているうちに、日本でも報じられるようになった普通のニュース的な話題だが、アメリカ大統領選の票差問題について、Independentの記事「ヒラリー・クリントンは、バラク・オバマを除くほかのいかなるアメリカ大統領候補よりも多くの票を受け取っていた」(Ben Kentish, "Hillary Clinton set to receive more votes than any US presidential candidate in history except Barack Obama", Independent, 2016/11/14)が、ちょっとおもしろいことを述べていた(得票数と得票率を混同させるかのような書き方にはやや疑問もあるが・・・)。

クリストフ・ヴァルツ、トランプ勝利に深く憤る

 クエンティン・タランティーノ作品などでお馴染みのオーストリア出身のアカデミー賞俳優クリストフ・ヴァルツが、テレビの取材に対してドナルド・トランプのアメリカ大統領選勝利についてコメントした映像が海外で話題となっている。“Zib”というオーストリアのニュース番組の11月11日放送からの抜粋らしい。 あいにくドイツ語が分からないので出回っている英訳からの重訳だが、ざっと訳しておこう。

【海外記事紹介】「トランプと英EU離脱:だから経済とは関係がないのだよ、愚か者」(British Politics and Policy)

 バークベック・カレッジの政治学教授エリック・カウフマンによる記事「トランプとブレグジット:だから経済とは関係がないのだよ、愚か者」(Eric Kaufmann, "Trump and Brexit: why it’s again NOT the economy, stupid", British Politics and Policy , 2016/11/09)を抜粋的に紹介し、雑感を付す。
 今年6月のイギリスのEU離脱投票(Brexit)と今月のアメリカのドナルド・トランプ大統領選勝利、という二つの出来事についてよく語られる、「グローバル経済に対する白人貧困層の怒りが・・・」といった明確な根拠のない通説を、投票行動の分析を通して批判して、双方の支持層に本当に共通するものは何か、を論じている。

トランプの勝利、そして誰かが「オバマを殺せ」と叫んだ

 ドナルド・トランプのアメリカ大統領選勝利について真っ先に知るべきことは、彼の勝利演説の最中、支持者が「オバマを殺せ!」(Kill Obama!)と叫んだ、そのことに尽きると思う。


Donald Trump speaks after being elected President of the United States

【海外記事紹介】「解説:FBIのアンチ・クリントン叛乱」(Vox)

 アメリカの大統領選がなにやら不穏だ。というと、何をいまさら、なのだけれど、候補の話ではなく、FBIの話。

 選挙の投票を11日後に控えた10月28日に、FBI長官が、「訴追を求めず」と打ち切っていたはずのヒラリー・クリントン候補のいわゆる私用メールサーバー問題に対する捜査の再開を連邦議会に通知して物議をかもし、その後11月6日になって、「訴追を求めない」との方針に変更はない、と声明を出した。
 これが大統領選とFBIをめぐる最近のトップ見出し的なストーリーだが(CNN日本語版のこの記事この記事を参照)、長官のこの不可解な行動とは別のところで、「全面捜査に踏み切るだけの十分な証拠を持っている」だの「起訴状がすぐにも出る」だのとメディアに放言するFBI職員たちが現れているのだという。
 後者はデタラメと判明しているが、こんなあからさまにいかがわしい情報でも飛び交えばクリントン陣営に十分ダメージを与えられるわけで、だからこそ、FBIをめぐる一連の動向が不穏に映るのである。

 Voxの記事「解説:FBIにおけるアンチ・クリントン叛乱」(Yochi Dreazen, "The anti-Clinton insurgency at the FBI, explained")は、一連の騒動から垣間見える、不気味過ぎてほとんどシュールなFBI内党派の存在と彼らの暴走が引き起こす危険について論じている。

某大作ゲームのパロディ・ポルノ『Cock Of Duty』

・・・のあらましを動画レビューで見る。


"Cock Of Duty: A XXX Parody REVIEWED" by Jim Sterling

 ゲーム批評家でYouTuberのジム・スターリング(Jim Sterling)氏によるレビュー。ちなみに、同氏は本業のかたわら、時折インディー・ゲームにゲスト声優参加しており、この前紹介した現在KickStarterキャンペーン中のゲイポルノ・ゲーム『Project Tingler』にも出演予定。

 本作の制作会社Brazzersは、過去に『オーバーウォッチ』のパロディ・ポルノ『Oversnatch』を発表しており、スターリング氏はそちらもレビューしている(が、ポルノとしてあまり感心できなかったようだ。曰く、『オーバーウォッチ』のカラフルな色彩が活かされていないとか)。

【ネタバレ】『Virginia』ストーリー解釈補遺

 ゲーム『Virginia』(2016)について、ネタバレのストーリー解説を書いたが、書きそびれたことや気にかかったことなど少なくなかったので、元の記事につけ加えると煩雑になりそうな補足的な情報や雑感をこちらに順不同で並べておく。前提として、先に前記事での私の作品解釈に目を通して頂けると幸いである。

 以下、当然ながら、ネタバレを含むのでご注意。
 (なお、ネタバレ抜きのレビューはこちら。)

ゲーム『Project Tingler』は無料配信を予定、Kickstarterで愛の存在を証明したい人々の支援を募る


Kickstarted in the Butt: A Chuck Tingle Digital Adventure by Zoë Quinn

 以前紹介記事を書いた、ゲーム・クリエイターのゾーイ・クイン(Zoë Quinn)とゲイ・ポルノ作家チャック・ティングル(Chuck Tingle)のコラボ作品『プロジェクト・ティングラー』(Project Tingler)が、Kickstarterでクラウドファンディングを開始した。なお、『Project Tingler』は仮称で、「真の名前は黒魔術から身を守るためリリースのときまで伏せられる」という。

「『レッド・デッド・リデンプション 2』のPC版が欲しい」と替え歌で歌い上げる動画


Red Dead Redemption 2 Previewsical (Bon Jovi Style)

 とくに付け加えることもないのだが、記事タイトルの通り、先日予告編が発表された Rockstar Games のオープンワールド・ゲーム『レッド・デッド・リデンプション 2』(『Red Dead Redemption 2』)及びその前作について、ひたすら「PCバージョンが欲しかった」「PCバージョンが欲しい」とボン・ジョヴィ風(→原曲)に歌い上げる、イギリスのゲーム・サイト Videogamer のネタ動画。

【映画予告】『Without Name』:アイルランドの森を舞台とする内向的ホラー


Without Name (2016) Tiff Teaser Trailer

 森の奥へ入って行っておかしくなっていくホラー、っていいですね。『ブレア・ウィッチ・プロジェクト』(1999)とか『リクイッド・ウッズ 樹海』(原題“YellowBrickRoad”、2010)とか。アイルランドの名もなき奥深い静かな森のなかで、測量士の男は何を見るのか?
 Bloody Disgusting の注目インディー・ホラー記事より発見。

ドン・デリーロ『ホワイト・ノイズ』の映画化が進行中

 アメリカ現代文学の巨匠ドン・デリーロ(Don Delillo)の代表作『ホワイト・ノイズ』(1985)の映画化企画が進行中らしい。
 Variety 誌の報道によると、ユーリ・シンガー(Uri Singer)の BB Film Productions が同作の映画化権を取得し、イーサン・ホーク主演の『ハムレット』(2000)などで知られる映画監督のマイケル・アルメレイダ(Michael Almereyda)が脚色に着手する予定だという。シンガーとアルメレイダはプロデューサーと監督として、「ミルグラム実験」を題材にした映画『Experimenter』(2015、日本未公開)でコンビを組んでいる。

【映画予告】『Spaceship』:サイバーゴス少女の失踪


Spaceship | Accepted Film 2016 | SXSW

 これはかなりグッときた。映画『Spaceship』(2016)の予告編。

 YouTube の予告動画に付された説明文よりあらすじ:

【ネタバレ】『Virginia』ストーリー解釈

 ゲーム『Virginia』(2016)のストーリーについての私なりの解釈。

 どう解釈すべきか、未だに確信の持てないショットもあるが、ストーリーそのものはそれほど複雑なものではないように思う。ただし、作品のモチーフ、テーマを深く理解するには、アメリカ現代史の知識が多少必要でもある。また、日本語版では必要な情報が訳文から抜け落ちている箇所もあるようだ。

 当然ながら、ネタバレを含むのでご注意。
 (なお、ネタバレ抜きのレビューはこちら。)

【映画予告】『Best F(r)iends』:最低映画『The Room』のコンビが帰ってくる!

 「史上最悪の映画」と散々に酷評され、カルト・ヒットとなった『The Room』(2003)の監督・主演トミー・ウィソー(Tommy Wiseau)が、同作で主人公の親友マーク役を務めたグレッグ・セストロ(Greg Sestro)と再び映画で共演する。ただし、今回はウィソーの監督作ではない。以下が、その映画『Best F(r)iends』の予告だ。

恐怖と狂気の物語としての『Devil Daggers』

 『Devil Daggers』というゲームには、なにか根本的に不健康なところがあると思う。というのは、クリーチャーの乱舞する地獄絵的ヴィジュアルのことでも、それを支える見事なサウンドデザインのことでもない。この不健康な印象は、とりあえず「中毒性」と言い換えてもよいのかもしれないが、ただ、そこには、やっていると、夢中になる、というより、だんだん無感覚になっていく、そんな薄気味の悪いところがあるのである。で、やりながら感覚がぼんやりしてきたときに限って、よいスコアが出たりするから、ますます不穏な感じがする(というか、「お、自己ベスト更新!」などと意識が働き始めた瞬間、あっけなく死ぬ、というのが私のもっぱらのパターン)。

【映画予告】ギャスパー・ノエを思わせる、悪夢的なメキシコ映画『Tenemos la Carne』

 『Tenemos la Carne』(英題“We Are the Flesh”)は、文明崩壊後の世界を舞台とした2016年公開のメキシコ映画。予告自体は今年1月に公開されていたものだが、要注目の日本未公開作と言えそうなので、たまたまた見つけたついでに紹介。タブーの絡む背徳的・暴力的な物語、実験的な映像など、全体的にギャスパー・ノエ作品を思わせる。

 予告編は、ヌードを含み、視覚的にも聴覚的にも刺激が強く、不安を誘う映像なので、閲覧注意。

PS4向けMod 、ベセスダが全面妥協?

 ベセスダ(Bethesda Game Studios)が、取り止めを一時発表していたPS4版『Fallout 4』及び『Skyrim Special Edition』向けのModサポートを行うことを改めて発表した。現時点で公式の日本語訳は出ていないが、こちらで英語の発表が読める。(【2016/10/07更新】日本語でも読めるようになった。)

 ただし、Kotaku の記事が指摘するように、この発表の肝心の部分は、"You will not be able to upload external assets with your PlayStation 4 mods"という箇所で、ゲームに予め含まれているアセットは使用できるが、外部アセット(external assets)をアップロードすることはできない、というもの。要するに、オリジナルのテクスチャーやオーディオを含むModは一切サポートされない、というのである。

【ゲームレビュー】『Diaries of a Spaceport Janitor』:明るく陰鬱な、ワーキングプア・シミュレーター

作品名:Diaries of a Spaceport Janitor
開発元:Sundae Month
パブリッシャー:tinyBuild
リリース:2016年
PC(Steam にて購入

 ひょんなことから呪われ、浮遊するガイコツに付きまとわれることになる宇宙港の雑役係(janitor)を主人公とした、クリエイター曰く、「アンチ・アドベンチャー」。

 ゲームプレイも物語もいたって単純でありながら、好悪入り混じる印象含めて、語るのが難しい作品。愛おしく感じる部分、残念に感じる部分、ともにあるが、条件付きでオススメできる。

『ターボキッド』続編が制作中らしい


ミュージック・ビデオ“No Tomorrow - A Turbo Kid Tale”より

 チャリンコで『マッドマックス』する、80年代ポップ・カルチャーへの偏愛と豪快なゴア・シーンあふれるSFアクション・コメディ映画『ターボキッド』(2015)の監督トリオが、同作の続編を制作中らしい。まだ何の契約も結ばれていないが、前作の主演二人(マンロー・チェンバーズ、ロランス・ルブーフ)は続投に乗り気とのこと。

古代ゲルマン的未来が舞台の、光の槍投げシミュレーター『Lichtspeer』


Lichtspeer - Launch Trailer (PC/PS4)

 自分では買わないと思うが、変なものを見つけてしまったので紹介。とりあえず予告はおもしろい。

【ゲームレビュー】『Virginia』:ゲームゆえの映画的感動

作品名:Virginia(ヴァージニア)
開発元: Variable State
パブリッシャー: 505 Games
リリース:2016年
PC(Steamにて購入、PS4、Xbox One

 感想を一言でまとめると、アドベンチャー・ゲームと思って始めてみたら、全く別の何かだった、とてつもなくよい意味で。こんなにも濃密な映画的感動を味わったのは、なかなか久しぶりの気がする。しかし、それを与えてくれたのは、映画ではなかったのである。

【映画予告】『Tower』:銃乱射事件のドキュメンタリー

Tower - Official Trailer

 1966年のチャールズ・ホイットマンによるテキサス大学での銃乱射事件を、当時の資料映像と「ロトスコープ」手法による再現アニメーションとにより描くドキュメンタリー映画『Tower』の予告編。

[2016/11/01更新]Kindle Unlimited の印象とオススメ本


【更新】(2016/10/01)
記事の下のほうに追記したように、読み放題対象タイトルの大幅な消去を確認。利用者が振り回される状況が続きそうなので、「今のところ、おすすめできる」という評価を取り消します。

【更新2】(2016/11/01)
大量撤去の落胆を打ち消すほどではないが、追記をもう一つ付け加えたように、改善の兆しも感じられるので、期待したい。


 サービス開始からやや遅れて利用を始めたが、Amazon Kindle Unlimited を一ヶ月無料で試してみての感想は、「本が探しにくい」の一言に尽きる。品揃えにも満足とは言いがたいが、そもそもの品揃え自体が分かりにくいのである。

 では、使えないのかと言うと、そんなこともない。

『Nuclear Throne』作者が語るゲーム『Event[0]』のすばらしさ

 AIとの会話、というかたちでテキスト・アドベンチャー要素を組み込んだゲーム『Event[0]』について先日レビューを書いたが、投稿後に、『Nuclear Throne』(2015)で知られるインディ・ゲーム・クリエイター、ラミ・イスマイル(Rami Ismail)が同作を激賞している文章を見つけた。
 文章は、「『Event[0]』と意図されたぎこちなさ」と題されている。プレイ後に読むよう勧めているネタバレを含む考察なので、ここでは詳しく紹介しないが、プレイされた方には、ぜひお読みになることをおすすめしたい(あのゲームをプレイされる方なら苦労しない英文であろう)。私としてはとても共感を覚える感想で、読みながら、このゲームをもう一度プレイしたくなった。

【映画予告】『24x36 映画ポスターについての映画』


24x36 - A Movie About Movie Posters - Teaser Trailer

 今日失われてしまったアートである手描き映画ポスターの世界に迫るドキュメンタリー映画『24x36 A Movie About Movie Posters』の予告編。

『Destiny』に浪費した時間を競い合うサイト

 というものがあるんですね。知らなかった。


Time Wasted on Destiny(英語サイト)

 ゲーム機を持たない私は、PCリリースのない同作が日本でどの程度ポピュラーなのかすら見当がつかないのだけれど。

【ゲームレビュー】『Event[0]』:共感とパラノイアのあいだ

作品名:Event[0]
開発元:Ocelot Society
パブリッシャー:Ocelot Society
リリース:2016年
PC(Steamにて購入

 ゲームというメディアの可能性を感じさせる傑作である。プレイヤーは、キーボードでAIと会話をして、無人となった宇宙船を探索しながら、共感とパラノイアのあいだをさまようこととなる。

「155人の命を救い、容疑者になった男。」という『ハドソン川の奇跡』の困ったキャッチコピー

 クリント・イーストウッド監督、トム・ハンクス主演の映画『ハドソン川の奇跡』が「実話」と謳いながら、実際の出来事とかけ離れた、かなり問題のある脚色を行なっていることについて、先日、英ガーディアンの批判記事を紹介したが、たまたまネットを見ていたら、「155人の命を救い、容疑者になった男。」というキャッチコピー入りの広告を目にしてしまったので、再び一言。断っておくと、映画そのものは見ていない。

RZAによる『少林寺三十六房』ライブ・リスコア上映

 RZAが、ラウ・カーリョン監督のカンフー映画『少林寺三十六房』(1978)のライブ演奏によるリスコア上映をやるらしい。ロサンゼルスで開かれる Beyond Fest という映画祭での企画。

The Alamo Drafthouse presents RZA: LIVE FROM THE 36th CHAMBER OF SHAOLIN

【海外記事紹介】「『ハドソン川の奇跡』で、クリント・イーストウッドは英雄を政治の武器にしてしまっている」(The Guardian)

Stephen Cass, "Sullied: with Sully, Clint Eastwood is weaponizing a hero"(The Guardian, 2016/09/12)

 クリント・イーストウッド監督の映画『ハドソン川の奇跡』(原題Sully)は、「ハドソン川の奇跡」と呼ばれた、2009年に起きたUSエアウェイズのジェット機のハドソン川への不時着水を題材にした、いわゆる「実話もの」だ。トム・ハンクスが、離陸直後にエンジン機能を失ったジェット機を乗員乗客無事に不時着させた機長チェズレイ・“サリー”・サレンバーガーを演じている。

ビッグ・データのダークサイドとは? キャシー・オニール『数学破壊兵器』書評の拾い読み

 自分で読んでいない本を紹介するのは、無責任かつ怠惰な行いなのだが、書評やインタビューを各所で見かけて興味深く思ったので、キャシー・オニールによる話題の書『数学破壊兵器:ビッグ・データはどのようにして不平等を拡大しデモクラシーを脅かすか』(Cathy O'Neil, Weapons of Math Destruction: How Big Data Increases Inequality and Threatens Democracy, Crown, 2016)について、SF作家コリー・ドクトロウの書評より抜粋して紹介しておく。そのうち邦訳も出るのではないだろうか?

GeForce Experience をアップデートしなかったことにする

 GeForce Experience の3.0へのアップデートに伴うログイン必須化の件、愚痴りつつアカウント作成をしてしまうつもりだったが、NVIDIA は前バージョンのダウンロード・ファイルを削除していない、ということに気がつき、アップデート前のバージョンにロールバックしてみた。

今月のインディー・ゲーム注目作(2016年9月)

 今月の Steam には、「こんなおもしろそうなゲームが一体どこから出てきたのか!?」と叫びたくなるようなインディー・タイトルが少なくない。

 まずは、伏兵のごとく発売日が発表された『Diaries of a Spaceport Janitor』(Sundae Month)。『ある宇宙港用務員の日記』とでも訳すだろうか。


Diaries of a Spaceport Janitor - Trailer

「ログインしない」という選択肢が欲しい

【更新】(2016/09/26)
ログイン不要の旧バージョンの入手方法は、こちらを参照。

 NVIDIA の GeForce Experience の新バージョンの通知が出たので、調べもせずに3.0にアップデートしてしまったが、早速後悔。
 今バージョンから、アカウントによるログインが必須らしい。


っていうか、「る」がはみ出してますけど・・・

普通の人々の目を通して描かれる大災厄 制作中のスウェーデン映画『DEN BLOMSTERTID NU KOMMER』

DEN BLOMSTERTID NU KOMMER - PILOT TEASER

 去年 Kickstarter でクラウドファンディングに成功し、現在制作中のスウェーデンのスリラー映画。

 実際の映画の予告ではなく、あくまで Kickstarter キャンペーン用のパイロット映像と断っているが、実に見事な緊迫感。

ウォーキング・シミュレーターは映画編集の夢を見るか? 『Virginia』デモ覚書

【追記】(2016/10/16最終更新)
これはデモ版の感想です。本編の感想は、こちら
ネタバレありのストーリー解説は、こちら

 今年プレイしたなかで一番「おもしろい」と感じたゲームを挙げるなら、断然『Virginia』(ヴァージニア)のデモである。日本時刻では9月23日に発売予定(PS4、Xbox One、Steam)のアドベンチャー・ゲームの15分の無料体験版だ。スタジオ Variable State は本作がデビュー作となる。

Virginia - Cinematic Trailer

【ゲームレビュー】『The House Abandon』

作品名:The House Abandon
開発元: No Code(公式サイト
リリース:2016年
PC(itch.io にて無料配信

 Kotaku の紹介記事から興味を持ってダウンロード。72時間のゲーム・ジャムで制作されたという、ホラー・テキスト・アドベンチャー・ゲーム。
 四人チームを率いるジョン・マッケラン(Jon McKellan)は、『エイリアン アイソレーション』(2014年)のデザイナーとのこと。

【ゲーム予告】『Beautiful Desolation』

Beautiful Desolation - Trailer

 不気味な頭(ヘッドギアを付けている?)のキリンの行進。アンテナのようなものが付いているようにも見えるが・・・。

【書評】辻田真佐憲『楽しいプロパガンダ』

 アメリカでいま、アメリカン・フットボール選手コリン・キャパニック(Colin Kaepernick)の国歌演奏に対する起立拒否が物議をかもしている。国内における人種差別への抗議の意思表明として、試合前の国歌演奏時に起立を拒み、ベンチに座り続けるキャパニック選手の行為が、賛否を呼んでいるのだ[1]

 コメディアンのスティーブン・コルベア(Stephen Colbert)が、これについておもしろいコメントをしている[2]

【ゲーム予告】『Broken Reality』


Broken Reality - Trailer

 開発者によるゲーム紹介からの抜粋:

ジェイソン・ステイサムが誰かにパンチを繰り出すまでの時間を調査するサイト

 “俳優ジェイソン・ステイサム(Jason Statham)は、その出演作において遅かれ早かれ誰かを殴る。” そんな仮説のもと、「ステイサム・パンチまでの時間」(Time to Statham Punch = TTSP)を調査するサイト、Time to Statham Punch が立ち上げられた。作者は、プログラマーのマシュー・ハウイー(Matthew Haughey)氏。BoingBoingの記事から発見。

Zoë Quinn と Chuck Tingle によるゲーム“Project Tingler”

Vice Gaming Meets Zoë Quinn

 Vice のビデオで、インディー・ゲーム・クリエイターのゾーイ・クイン(Zoë Quinn)が、制作中のゲームについて語った。ゲイ・ポルノ作家チャック・ティングル(Chuck Tingle)とのコラボレーションによるフル・モーション・ビデオ(FMV)の恋愛シミュレーション・ゲームである(“Project Tingler”と仮称されている)。

【映画予告】『Do Not Resist』

“今やメキシコで警察の軍事化に不満を言うものなどいない。分かるか? そう遠くない将来、お前たちは正当化されるのだ。”

【映画予告】『Girl Asleep』

 オーストラリアの青春映画『Girl Asleep』(2015)のアメリカ向け予告編。

 「『ナポレオン・ダイナマイト』と『かいじゅうたちのいるところ』をウェス・アンダーソンが混ぜたような作品」との Variety 誌の評がうなづける。監督ローズマリー・マイヤーズ(Rosemary Myers)は、これがデビュー作の模様。The Mary Sue の記事から発見。

 主人公は、15歳になろうとしている目立たない女の子グレタ。両親が彼女の誕生日に学校中を招待するサプライズ・パーティーを勝手に打ち上げたことで、彼女の心地よい閉じた世界が崩壊の危機にさらされ、グレタはおかしなパラレル・ワールドに迷い込みながら自分探しをしていく、といったストーリーのようだ。

【アーティスト紹介】Moscow Youth Cult

 紹介といっても、アルバムとミニアルバムをデジタル購入しただけで、なにかとりたてて知識があるわけではないのだが、無名のままにしておくには惜しい音楽アーティスト Moscow Youth Cult(以下、MYC)をミュージック・ビデオとともに紹介。


Survivasm

【ゲームレビュー】『NORTH』

作品名:NORTH
開発元:Outlands
パブリッシャー:Sometimes You
リリース:2016年
PC(Steamにて購入

“この土地の人たちは、『南』から来る人間はみんなテロリストだとでも思い込んでいるらしい。”

R指定のCGアニメ『Sausage Party』が面白そう・・・なのだが

 日本での配給は依然未定のようだが、セス・ローゲン脚本・制作・主演のR指定のCGアニメーション映画『ソーセージ・パーティー』(原題)が、すこぶる面白そう。

 「人間に調理され食べられてしまう」という真実を知ってしまった食料品たちの騒動を描くコメディだが、レビューを読むと、これがなかなか奥が深そうなのだ。

【海外記事紹介】「ハリウッドはメソッド・アクティングをすっかりダメなものにしてしまった」(The Atlantic)

Angelica Jade Bastién, "Hollywood Has Ruined Method Acting"(The Atlantic, 2016/08/11)

 DCコミックスの映画化『スーサイド・スクワッド』は批評家から酷評されているが、なかでも、ジョーカーを演じたジャレッド・レトの撮影期間中の奇矯なふるまいの逸話(共演者たちに使用済みコンドーム、ブタの死体、生きたネズミといったものを送り付けた、などなど)は、実際の演技結果ともども、困惑の種となっている。

 記事は、レトの事例は、「メソッド・アクティング」として語られてきたテクニックがいまや、演技そのものよりもエゴとマーケティングにまつわるものへとなり果ててしまっていることを再確認させた、と指摘。
 また、増量・減量・日常でのなりきり、といった苦痛に焦点をあてた今日流の「メソッド・アクティング」理解が、ジェンダー的に色付けされた「男らしさ」(masculinity)の観念に深く根差したものであり、視線を求める男たちのマゾヒスティックな逸話の数々の一方で、優れたメソッド・アクターである女優たちに対してふさわしい評価が与えられてこなかった、とも論じている。

【海外記事紹介】「4つのツイートでわかる、『No Man's Sky』最大のテーマ上の問題点」(Polygon)

Ben Kuchera, "No Man's Sky's biggest thematic problem, explained in four tweets" (Polygon, 2016/08/11)

 アルゴリズムに従って生成された1800京もの惑星を探索できる(≒一生かかってもできない)ことで話題の新作ゲーム『No Man's Sky』(PS4 / PC)。その「居心地の悪いサブテクスト」について、ゲーム『Spec Ops: The Line』の脚本家ウォルト・ウィリアムズのツイートを紹介するかたちで論じた記事。
 ウィリアムズは、『No Man's Sky』はその美しさにもかかわらず、荒涼とした拡張主義的なメカニクスによって蝕まれている、として、次のように指摘する。

「これは、エイリアンの視点からの『インディペンデンス・デイ』なのだ。イナゴの大群のように星から星へ渡っては、あらゆる資源を食い尽くし、次の星へと移る。〔・・・〕わたしたちは、数限りない星々と生命種とを創り出すことはできるが、それらとなすべき新たなことを想像することができないのだ。」

【海外記事紹介】「相模原の19人を記憶する」(Pacific Standard)

David Perry, "Remembering the Sagamihara 19" (Pacific Standard, 2016/08/09)

 19人が殺害された7月の相模原市の障害者施設での殺傷事件。記事は、英語メディアでの報道が限られたものであったことを指摘したうえで、遺族の意向を受けたものとはいえ、〈被害者の氏名を公表しない〉という警察の決定が、事件と被害者の忘却に手を貸してしまっているのではないか、との危惧を、日本の障害者の権利運動に携わる人々の声を交えて論じている。
 なお記事では言及されていないが、著者ペリー氏は自身、ダウン症の子を持つ。

殺害は、明確に障害者の地表からの抹消を開始する企てとしてなされた。被害者たちのストーリーについての今なお継続中の沈黙は、この抹消に貢献しているのではないか?〔・・・〕犯人は、彼が「世に何ら貢献するところがない」「いなくなっても惜しまれない」と考えた人々を被害者に選んだ。相模原の19人の死に対する我々の沈黙によって、彼が正しかったと証明されることがあってはならない。