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【海外記事紹介】「児童虐待者、レオナルド・ダ・ヴィンチ」(Splice Today)

 紹介するのは、ノア・バーラツキー(Noah Berlatsky)の短い記事「児童虐待者、レオナルド・ダ・ヴィンチ」("Leonardo da Vinci, Abuser", Splice Today, 2017/12/29)

 2017年10月に刊行された、ウォルター・アイザックソン(Walter Isaacson)による600ページを超えるレオナルド・ダ・ヴィンチの伝記(Leonardo da Vinci, Simon & Schuster, 2017)が、事実としては認識しながらその含意を軽視している伝記的事実について論じたもの。

 プロデューサーのハーヴェイ・ワインスタイン、俳優ケビン・スペイシーといったハリウッドの大物によるセクハラ・性的虐待に対する告発の波をもたらした”#metoo”運動との重なり合いの中で、虐待の事実を前にダ・ヴィンチをどう描くべきか、という問いは、単なる過去の問題ではないことを示唆している。

 以下、記事より抜粋。

【海外記事紹介】「オルト・ライトは、ニーチェのダメな読みに心酔している。ナチスもそうであったように」(Vox)

 紹介するのは、Voxの記事「オルト・ライトは、ニーチェのダメな読みに心酔している。ナチスもそうであったように」(Sean Illing, "The alt-right is drunk on bad readings of Nietzsche. The Nazis were too." Vox, 2017/08/17)。「オルト・ライト」「オルタナ右翼」(Alt-Right)を自称するネットに軸足を置いた極右グループは、かつてのナチスがそうであったように、頭の悪い読み方をされたバージョンの哲学者ニーチェ(1844-1900)に勝手に心酔してうぬぼれている、というお話。

 アメリカの白人至上主義者についての記事だが、「ニーチェに影響を受けた」と自称する人々の約8割から9割が、誰も相手にする必要のないアホである(※出典不要)理由も示唆してくれる。

【海外記事紹介】「『きかんしゃトーマス』の抑圧的で権威主義的な魂」(The New Yorker)

本当は怖い『きかんしゃトーマス』

 1984年にイギリスで放送が開始され、1989年にはアメリカでも放送が始まった『きかんしゃトーマス』シリーズ。日本では、1990年から『ひらけ!ポンキッキ』の枠内で放送が開始された。人形劇からCGアニメーションへと姿を変えながら現在まで続いている人気シリーズである(Wikipedia 日本語 2017/10/01アクセス)。

 この子ども向け番組のことを、全体主義的なディストピアの描写、と呼ぶのは、突飛な見解に聞こえるだろうか?

 The New Yorker の記事「『きかんしゃトーマス』の抑圧的で権威主義的な魂」(Jia Tolentino, “The Repressive, Authoritarian Soul of ‘Thomas the Tank Engine & Friends’”, The New Yorker, 2017/09/28)は、『きかんしゃトーマス』の作品世界を覆う不穏なモチーフを分析している。

ゾンビ・ジャンルを可能にした「著作権の恐怖」

著作権の消失、ジャンルの誕生

 映画、ゲーム、コミックなどに遍在するゾンビ。その人気を可能にしたのは、ジョージ・A・ロメロの創造と、配給会社のミスだった。

 kaptainkristian ことクリスチャン・ウィリアムズ氏の動画「『ナイト・オブ・ザ・リビングデッド』:著作権の恐怖」(英語)は、そんなゾンビ・ジャンルの氾濫にまつわる歴史をあざやかに解説している(The Verge の記事より発見)。

【海外記事紹介】「北朝鮮危機は、機能している国務省を持つことがなぜ重要かを教えている」(Vox)

 北朝鮮のミサイルをめぐる緊張が示唆しているのは、外交には外交機関が必要である、ということだ。——そのように説くのは、アメリカのニュース解説サイト Vox の、思わず笑ってしまうようなタイトルの記事「北朝鮮危機は、機能している国務省を持つことがなぜ重要かを教えている」(Zack Beauchamp, "The North Korea crisis shows why having a functioning State Department matters", Vox, 2017/08/29)

 アメリカの「国務省」(Department of State)というのは、日本でいう外務省にあたる。G20のホテルの予約に失敗した際にも指摘されたが、トランプ政権は、要職の任命(nomination)・承認(confirmation)が極端に遅れており、とりわけ外交を担う国務省のスカスカぶりがもたらす支障が懸念されている。そして、北朝鮮をめぐるトランプ政権の対応にその危うさが端的に露呈している、というのである。

トランプ政権の外交は「無能のフラクタル」

 以下、Vox 記事より抜粋:

南部連合の像はいつどうして建てられたのか

図:5年単位で見た1870年から1980年のあいだの南部連合記念碑・記念像の建造数(Mother Jones

 ヴァージニア州シャーロッツビルでの白人至上主義者集会とそこで起きた殺傷事件をめぐり、白人至上主義者を名指しせず「多く陣営」(many sides)を非難して波紋を呼んだドナルド・トランプ米大統領。2日間の沈黙の末に「人種主義は悪」と言明したのも束の間、15日に記者団の質問に対し、「両方の側(both sides)に責任がある」と述べて、再び批判を集めている(参考:Huffpost日本版CNN日本版)。

 「両方の側」(both sides)というのが、ちょうど白人至上主義者が大統領の最初の声明の解釈に用いた言葉であったように(別の記事で触れた)、トランプ大統領の発言は、白人至上主義者グループの言い分をそのままなぞったもの、と言って差し支えない。集会に参加したKKK元指導者のデヴィッド・デュークは「左翼のテロリストを糾弾してくれた」とトランプに感謝の言葉を送っている(The Guardian)。

フレッド・トランプのKKK関与疑惑について

 14日の記事でドナルド・トランプ米大統領の父フレッド・トランプのクー・クラックス・クラン(KKK)関与疑惑について言及した。

 投稿後に、当時の新聞報道の詳細な調査を行っている Vice の1年前の記事の存在を知ったので、簡単に紹介しておく(Mike Pearl, "All the Evidence We Could Find About Fred Trump's Alleged Involvement with the KKK", Vice, 2016/05/11)。

「ローブをまとったデモ行進者」

 話は、2015年9月にブログ・サイト Boing Boing が、ニューヨーク・タイムズの1927年の記事を紹介したところから始まる。その記事には、警官隊との間で乱闘となったKKK集会における逮捕者として、フレッド・トランプの名が住所とともに記載されていたのである。

【海外記事紹介】「ロシアの隣国ウクライナは、アメリカの何年も前から『フェイク・ニュース』とハッキングに悩まされてきた」(Snopes)

 紹介するのは、アメリカのファクト・チェック・サイト、Snopes.com のニュース記事「ロシアの隣国ウクライナは、アメリカの何年も前から『フェイク・ニュース』とハッキングに悩まされてきた」(Bethania Palma, "Russia’s Neighbor Ukraine Besieged by ‘Fake News’ and Hacking Years Before United States", 2017/06/27)

 6月27日に欧米の政府機関や企業がランサムウェアを用いた大規模なサイバー攻撃に晒されたが、被害の中心はウクライナであり、そこから被害が広まった、と目されている(朝日新聞2017/06/29)。攻撃者の正体や動機は依然として不明であるが、直後からロシア政府機関の関与が疑われており、その疑いの背景には、ウクライナに対するさまざまな形でのサイバー戦争、というこれまでの経緯が関わっている。

過去を生きる人、ドナルド・トランプ:「ピッツバーグ」失言の意味すること

 日本語でも詳細な報道のある話なので、ごく普通のニュースの拾い読みの域を出ないが、“covfefe”ツイートなどよりも、ある意味では笑いを誘う出来事かもしれない(というか逆に、“covfefe”の一件は、デマ拡散の常習犯で、原子力潜水艦の配置のような軍事機密を電話会談で気軽に他国に漏らしてしまう大統領の個人アカウントが、スタッフのチェックもなしに運用されていることを明確にした、という意味では、実際のところ「怖い話」である)。

ピッツバーグ市長の反論

 CNN日本語版(2017/06/02)より:

【海外記事紹介】「歴史家ティモシー・スナイダー曰く、トランプがクーデターと民主主義の転覆を試みようとするのは『ほとんど避けがたいことである』」(Salon)

 紹介するのは、Salonの記事「歴史家ティモシー・スナイダー曰く、トランプがクーデターと民主主義の転覆を試みようとするのは『ほとんど避けがたいことである』」(Chauncey DeVega, "Historian Timothy Snyder: 'It’s pretty much inevitable' that Trump will try to stage a coup and overthrow democracy", Salon, 2017/05/02)。日本でも『ブラックアース』(慶應義塾大学出版会)、『ブラッドランド』(筑摩書房)の訳書がある、イェール大学の歴史学教授ティモシー・スナイダー(Timothy Snyder)へのインタビューをまとめた記事(私自身は聴いていないが、インタビューそのものもポッドキャストとして公開されている)。スナイダーは、ベストセラーとなっている新著『専制について:20世紀からの20の教訓』(On Tyranny: Twenty Lessons from the Twentieth Century, Tim Duggan Books, 2017)を下敷きに、アメリカの民主主義は専制への転落の危機状況にある、という持論を語っている。

【ゲーム予告】『All Walls Must Fall』:冷戦の終わらなかった未来で、核攻撃を防ぐため時をループする


All Walls Must Fall - Kickstarter Trailer

 『All Walls Must Fall』(「すべての壁は必ず崩れ落ちる」)は、冷戦の終わらなかった2089年のベルリンを舞台とする「テック・ノワール・タクティクス・ゲーム」(Tech-Noir Tactics game)。現在Kickstarterにてクラウドファンディング・キャンペーンを実施中。
 開発元はベルリンに拠点を置くinbetweengames。キャンセルされた開発が別のスタジオの手に渡った『Dead Island 2』の開発に携わっていた元YAGERの3人のクリエイターに、フリーランスとしてやはり『Dead Island 2』に参加していたオーディオ・デザイナーがフリーランス身分で加わった4人のインディー・チームである。メンバーのうち2人は、YAGERの代表作として名高い『Spec Ops: The Line』にも携わっていたそうだ。

【海外記事紹介】「ドナルド・トランプはファシストではない」(Vox)

 紹介するのは、政治学者シェリー・バーマンによる論説(Sheri Berman, "Donald Trump isn’t a fascist", Vox, 2017/01/03)。経歴を見ると、彼女は、これまで社会民主主義(social democracy)についての歴史研究書を2冊著しており、現在は『ヨーロッパにおける民主政と独裁』(Democracy and Dictatorship in Europe)という著作を準備中であるという。2冊目の著書のAmazon商品紹介には、ファリード・ザカリア、ハロルド・ジェームズ、マイケル・ウォルツァーといった日本でも訳書のある著名人による評が寄せられており、名の知れた研究者であるようだ。

 彼女の論旨は明快。「トランプは、右翼ポピュリスト(right-wing populist)であって、ファシストではない」というもの。ただし、これは、どちらならマシといった話ではなく、用語を厳密に用いていわば現象の傾向と対策をきちんと見極めよう、というのが、彼女の議論の狙いである。

【海外記事紹介】「リチャード・スペンサーの人種主義のエリート的なルーツ」(Jacobin)

 「トランプの大統領選勝利を支えたのは、『オルト・ライト』(Alt-right)ではなく、『キリスト教右派』だ」という別サイトの記事の紹介を書いたあとで、こちらを読んで「ふむ」と思ったので、紹介。Jacobinの記事「リチャード・スペンサーの人種主義のエリート的なルーツ」(Michael Phillips, "The Elite Roots of Richard Spencer’s Racism", Jacobin, 2016/12/29)

 タイトルのリチャード・スペンサーとは、少し前から英語圏ネット上の雑多な極右グループによって自称の語として用いられている「オルト・ライト」(Alt-right, オルタナ右翼)なる語の考案者とされる人物。2016年米大統領選におけるドナルド・トランプへの熱狂的支持によってグループの存在に注目が集まり、トランプ勝利後の演説会で「ハイル・トランプ!」とナチスを模して叫んだスペンサーの名も大きく報じられた(The Atlantic)。

【海外記事紹介】「キリスト教右派なくして、トランプ大統領はなかった:その見返りに彼らは何を求めているのか?」(AlterNet)

 「トランプの勝因」みたいなものにあんまり関心がないと言うと、こんな記事を書いたりもしたので、ちょっと欺瞞めいてしまうのだが、一般投票で300万票近く負けていた彼のきわどい当選は、なにか突発的な新しい事態や新たなトレンドというより、いくつかの中長期的なトレンドの歪な結節点のようなものとして論じられるべきものであろう、と思う。AlterNetの記事「キリスト教右派なくして、トランプ大統領はなかった」(Jason Wilson, "Without the Christian Right, There'd Be No President Trump: What Do They Want in Exchange?", AlterNet, 2016/12/18)は、その際の重要なトピックを正面から取り上げている。すなわち、話題としては何の目新しさもない、しかし政治的には重要な、「キリスト教右派」(Christian right)という存在である。

【海外記事紹介】「ポスト真実という誤謬」(Jacobin)

「僕は、この狂った世界のなかでようやく偽りのないものを見つけたと思っていた。だけど、いまになって、すべては嘘だった、と理解したわけだ」僕が厳かに認めた。
「すべてではないよ」と、ユニコーンが僕を安心させる。「嘘なのは、君の保守派の友人がソーシャル・メディアに投稿するイカれた陰謀論だけさ」

(Chuck Tingle, Fake News, Real Boners

 紹介するのは、アメリカの左翼雑誌Jacobinの記事「ポスト真実という誤謬」(Rune Møller Stahl & Bue Rübner Hansen, "The Fallacy of Post-Truth", Jacobin, 2016/12/14)
 アメリカ大統領選でのドナルド・トランプ共和党候補の勝利後、この結果にショックを受けたリベラル派のあいだで、「SNSの影響」「フェイク・ニュースの蔓延」といった話題とともに、「もはや政治において事実が無視される『ポスト真実』(post-truth)すなわち『真実以後』の時代に突入したのだ」といった診断が流行していることに対して、「事実の時代なんてものが一体いつあったというのか?」と異論を唱えている。その上で記事は、「事実に依拠したマネジメント的な政治」という発想こそが現実離れした空想であり、トランプ的なものと対決するためには、オルタナティヴを提示する本来の意味での「政治」の復活こそが問われている、と説く。

【ネタバレ】『Virginia』ストーリー解釈補遺

 ゲーム『Virginia』(2016)について、ネタバレのストーリー解説を書いたが、書きそびれたことや気にかかったことなど少なくなかったので、元の記事につけ加えると煩雑になりそうな補足的な情報や雑感をこちらに順不同で並べておく。前提として、先に前記事での私の作品解釈に目を通して頂けると幸いである。

 以下、当然ながら、ネタバレを含むのでご注意。
 (なお、ネタバレ抜きのレビューはこちら。)

【ネタバレ】『Virginia』ストーリー解釈

 ゲーム『Virginia』(2016)のストーリーについての私なりの解釈。

 どう解釈すべきか、未だに確信の持てないショットもあるが、ストーリーそのものはそれほど複雑なものではないように思う。ただし、作品のモチーフ、テーマを深く理解するには、アメリカ現代史の知識が多少必要でもある。また、日本語版では必要な情報が訳文から抜け落ちている箇所もあるようだ。

 当然ながら、ネタバレを含むのでご注意。
 (なお、ネタバレ抜きのレビューはこちら。)

【映画予告】『Tower』:銃乱射事件のドキュメンタリー

Tower - Official Trailer

 1966年のチャールズ・ホイットマンによるテキサス大学での銃乱射事件を、当時の資料映像と「ロトスコープ」手法による再現アニメーションとにより描くドキュメンタリー映画『Tower』の予告編。

【書評】辻田真佐憲『楽しいプロパガンダ』

 アメリカでいま、アメリカン・フットボール選手コリン・キャパニック(Colin Kaepernick)の国歌演奏に対する起立拒否が物議をかもしている。国内における人種差別への抗議の意思表明として、試合前の国歌演奏時に起立を拒み、ベンチに座り続けるキャパニック選手の行為が、賛否を呼んでいるのだ[1]

 コメディアンのスティーブン・コルベア(Stephen Colbert)が、これについておもしろいコメントをしている[2]