作品名:Orchids to Dusk
開発元:Pol Clarissou
発表年:2015年
itch.ioにて無料配布(“Name your own price”)
未知の惑星に漂着した宇宙飛行士となって、残された最期の数分間を過ごすゲーム。
動いているかどうかによって消耗に差が出るようで正確に測ってはいないが、宇宙服の酸素が続くのは、5~10分といったところ。あなたはマット・デイモンではないので、地球に生還できる可能性はない、と考えてよさそうだ。無限のように広がる大地を歩き回り、確実に迫る死を孤独に迎え入れるのみである。
「実存的」といった、分かったような分からないような単語は使いたくないのだけれど、アートスタイルやサウンドトラックの美しさに還元し切れない、ゲームの3D空間の作り出す「そこにいる」というシンプルな感覚に圧倒される。あえてキャッチコピーをつけるなら、「実存的、内省的なウォーキング・シミュレーター」である。
なお、1周目で雰囲気に魅了されて早速、2周目を起動したところ、キャラクターの体型や(体型から察するに)性別、肌の色が1周目とは違っていた。また、操作せずにいるとキャラクターが座り込むのだが、3周プレイして三者とも座り方のアニメーションが異なっていた。おそらくプレイのたびにランダムに決定されるのだろう。
そういう、特に説明されない、ちょっとした仕掛けがいろいろとある印象。確実に2周はプレイすることをオススメしたい。私自身、2周目で、ハッとさせられる思いがけない瞬間に、二度も出くわした(1周目でこれらのものを見る人も多いのだろうと思うが)。
公式の紹介文の冒頭にも書かれているのでネタバレにはならないと思うが、シングルプレイヤーであるものの、「ネットワーク化された」(networked)体験と銘打たれており、この仕掛けも作品全体のユニークな感触に見事に貢献している。
スクリーンショット機能が内蔵されており、HUD(酸素メーター)なしのSSを撮影可能(保存先がデスクトップに固定されているのが、機能的にやや難ありだが)。オンライン機能のためか、ゲームプレイの短さに比べて、冒頭のローディングが長いのが、ちょっと残念。
Boing Boingの年末リスト記事「2016年にあなたが見逃すべきではない20本のゲーム」より発見。すみません、見逃したまま新年を迎えていました。というか、2015年12月に出ていたようだけれど。
作者Pol Clarissouは、フランスのクリエイター集団Klondikeのメンバー。彼らは、無料ダウンロード可能な、実験的なゲームを多く発表している。いずれまた彼らの作品を紹介する機会があるだろう。
なお、プレイして気に入ったら、是非クリエイターに寄付を。
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