「あのお方の特別指令」
日本時刻では3月29日に発売予定の『Far Cry 5』(Ubisoft)。アメリカ合州国モンタナ州を舞台とするこのオープンワールド・アクション・ゲームに、ドナルド・トランプ大統領の「おしっこテープ」(Pee Tape)疑惑を仄めかすミッションが登場するそうだ。
「おしっこテープ」とは、元MI6諜報員クリストファー・スティール(Christopher Steele)によるプーチン・ロシアとトランプとの関係をめぐる調査報告によって存在が示唆された盗撮記録。トランプ氏がモスクワのホテルの一室で、娼婦たちにベッドに向かって「ゴールデン・シャワー」(放尿)させているところをロシア当局に盗撮されていた、というもの(報告書は2016年に複数の報道機関と諜報機関に提供されていたが、2017年1月にBuzzfeed が全文公開に踏み切った)。
アメリカのゲーム情報サイト Polygon によると、問題のテープが登場するのは、「愛国的行為」(Patriot Acts)と名付けられたサイド・ミッション。「あのお方」(the Big Man himself)の指令で送られてきたスペシャル・エージェントを名乗る男(シリーズ過去作に登場するCIAエージェント)が、「国に尽くす準備はあるだろうな?」と切り出して、プレイヤーにミッションを与える。
俺は、あのお方直々の特別指令でここに送られてきたのだ。なんてこった、ちくしょう! そう口にするだけで、俺は半分勃起しちまうぜ!
エージェントは、プレイヤーに「もし公開されることがあれば、あの方の世間的評判を悪くするおそれのあるテープ」を回収する任務への協力を依頼し、見返りとして、ゲームの悪役であるカルト集団「エデンズ・ゲート」との闘いに国が乗り出すことを約束する。
国のためにこの任務を果たせ、そうすれば、国が君のカルト問題とやらを君のために解決するだろう。
テープの内容が明らかにされることはないが、エージェントは無線交信機に向かって、「ベッドはびしょ濡れだ、繰り返す、ベッドはびしょ濡れだ」と謎めいた暗号を用い、プレイヤーに向かって、「これは汚れ仕事(wetworks)ではない。監視に徹しろ。指示のないかぎり、標的とは交戦するな」と説く。そして、この標的は、スイートルーム客のプライバシーを詮索した元ホテル従業員なのだと語られる。
回収したテープを手渡すと、エージェントは、「悪いが、もっと重要な仕事があるんでな」と、カルト問題への協力の約束をあっさり裏切り、去って行く。
「発売を中止せよ」
アメリカを舞台に白人男性の率いるキリスト教カルトを悪役としたシリーズ最新作は、プロットの詳細が定かでない制作発表当初から、ネット上で保守派グループの反発を招き、change.org には「内容を変更しないかぎり発売を中止せよ」と求める署名活動まで投稿された(Cancel Far Cry 5 ※参考:Mic)。「悪役をイスラムにしろ」「クリスチャンだとしても、黒人とメキシコ系の割合を増やせ」という、パロディともつかない、あからさまで滑稽な要求だが、少なくとも、この署名に表明されているタイプのバックラッシュそのものは、冗談ではなく現実に存在している。同じ Ubisoft のゲーム『Watch Dogs 2』(2016)が黒人青年を主人公としたことに対しても、似たようなバックラッシュが繰り広げられたのである(Jimquisition)。
火に油、もといトランプ支持者に小便を注ぐサイド・ミッションといったところか。
Far Cry 5 – Story Trailer
【関連記事】
0 件のコメント:
コメントを投稿
投稿されたコメントは管理人が承認するまで公開されません。