【映画予告】ギャスパー・ノエを思わせる、悪夢的なメキシコ映画『Tenemos la Carne』

 『Tenemos la Carne』(英題“We Are the Flesh”)は、文明崩壊後の世界を舞台とした2016年公開のメキシコ映画。予告自体は今年1月に公開されていたものだが、要注目の日本未公開作と言えそうなので、たまたまた見つけたついでに紹介。タブーの絡む背徳的・暴力的な物語、実験的な映像など、全体的にギャスパー・ノエ作品を思わせる。

 予告編は、ヌードを含み、視覚的にも聴覚的にも刺激が強く、不安を誘う映像なので、閲覧注意。

Tenemos la Carne - Teaser Trailer from PIANO on Vimeo.

 IMDbによると、食料と住み家を求めて荒廃した街を何年もさまよう男女二人のきょうだいが、残されたビルの一つに入り込むが、そこにはすでに一人の男が住んでいて、男は彼らに生き延びるための危険な提案を持ちかけてくる・・・、というのが、あらすじ。予告を見る限り、近親相姦、カニバリズム、といった要素が確実に絡んできそう。

 なお、IMDb記載のあらすじには“two siblings”とだけあり、ふたりが兄妹か姉弟か双子かといったことは不明。いつも思うけれど、brother、sister、sibling といった年齢あるいは性別にニュートラルな表現に適した訳語がないのは、困ったところ。映画の字幕などでは、どちらが年上かを断定して訳していたりするが、どの程度根拠があっての訳し分けなのか分からないことが多いような気がする(はっきりと間違っているケースもあるだろう)。以上、脱線。

 監督エミリアーノ・ローシャ・ミンター(Emiliano Rocha Minter)は、本作が長編デビュー。アメリカのホラー映画専門誌 Fangoria は「アートハウス・ホラー・シーンにおける、最も大胆で、自信に満ちた、そして全くもって才気あふれる監督デビュー作の一つ」と絶賛している。上映時間79分。