7、8日のG20サミットに出席するためドイツのハンブルグを訪れているアメリカのトランプ大統領。ところが、どうやらホワイトハウスは、大統領一行の宿泊するホテルの予約を取ることに失敗していたらしい。Buzzfeed に、そんなドイツ語版からの翻訳記事が掲載され、後を追って各英語メディアによっても報じられた。アメリカ政府が予約を取ろうと動き始めたときには、どのホテルもとっくに満室になっていた、というのである。
一方、ニュースサイト「Buzzfeed」は5日から、トランプがハンブルグで豪華ホテルを確保できなかったと伝えている。地元紙によると、米政府担当者は当初「フォーシーズンズ」での宿泊を予定していたが、すでに満室になっていた。他の高級ホテルも予約で埋まっていたため、最後はハンブルグ市当局が宿泊先の確保に協力したようだ。
トランプの家族が経営する「トランプ・オーガニゼーション」は、ゴルフコースやオフィスビルと共にもちろんホテルも経営している。しかしハンブルグには系列のホテルはなく、トランプはドイツ連邦参議院の宿泊施設を利用し、随行スタッフはアメリカ総領事館に宿泊する。
なお、この引用箇所には「トランプ系列のホテルがない!」という英語の原記事にはない見出しがつけられているが、そんな付随的な情報の部分を強調されても、という印象。系列ホテルがあったら予約を押し込めたのかよ、あるいはトランプ一族専用ルームでもあるのか、というか、その場合、「利益相反」(conflict of interest)問題含めて、別のニュースになってしまうようにも聞こえるが・・・。
さておき、予約ミスの背景としては、Vox の記事が、興味深い指摘をしている。
トランプ政権が宿泊施設探しに困ったのはこれが初めてではない。Bloomberg の報道によると、レックス・ティラーソン国務長官がドイツで今年開かれたG20の会合に出席した際には、彼は温泉で知られる小さな村の保養所(sanitarium)に宿泊しなければならなかった。
会合が催された都市ボンのホテルは、ティラーソン長官が出席の意向を表明するまでにすべて予約が埋まってしまっていたのである。
では、どうしてこんなことが繰り返し起こるのか? 国務省が現在のところ人員不足できちんと組織されていないことと関係があるのかもしれない。国務省の124の要職のうち9つのみが承認(confirm)されている。
外交官やその他高官が国外を旅行する際にアメリカの外交使節団のセキュリティを計画・提供する外交使節室(the Office of Foreign Missions)の室長には誰も任命(nominate)すらされていないのである。
参照されているのは、上院の承認を必要とする要職564の任命・承認状況を一覧化したワシントン・ポストのデータベースで、7月3日の最終更新によると、現時点で承認を受けた役職が46、任命すらされていない役職が384、とのことである。
「アメリカ・ファースト」を掲げるトランプ大統領だが、外交を担う国務省のスカスカぶりこそが、彼の「アメリカ・ファースト」の中身を物語っているのかもしれない。
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