【海外記事紹介】「ハリウッドはメソッド・アクティングをすっかりダメなものにしてしまった」(The Atlantic)

Angelica Jade Bastién, "Hollywood Has Ruined Method Acting"(The Atlantic, 2016/08/11)

 DCコミックスの映画化『スーサイド・スクワッド』は批評家から酷評されているが、なかでも、ジョーカーを演じたジャレッド・レトの撮影期間中の奇矯なふるまいの逸話(共演者たちに使用済みコンドーム、ブタの死体、生きたネズミといったものを送り付けた、などなど)は、実際の演技結果ともども、困惑の種となっている。

 記事は、レトの事例は、「メソッド・アクティング」として語られてきたテクニックがいまや、演技そのものよりもエゴとマーケティングにまつわるものへとなり果ててしまっていることを再確認させた、と指摘。
 また、増量・減量・日常でのなりきり、といった苦痛に焦点をあてた今日流の「メソッド・アクティング」理解が、ジェンダー的に色付けされた「男らしさ」(masculinity)の観念に深く根差したものであり、視線を求める男たちのマゾヒスティックな逸話の数々の一方で、優れたメソッド・アクターである女優たちに対してふさわしい評価が与えられてこなかった、とも論じている。